《99回告白したけどダメでした》165話
*
「酷い目にあった……」
食事が終わり、誠実は男子部屋に戻り、布団の上に寢そべっていた。
健の発言によって、その場はまさに修羅場と化した。
武司は、明日の朝こそはとお見合い風呂に向かう事を決意し、今は布団の上でスマホを弄っている。
健は、鈴に弄られ続け、心共にかなり疲労した様子で、早々と寢てしまった。
「ま、誠実は自業自得だよな~」
「うっせ! 男なら、混浴って聞いただけで反応すんだろ!」
「ま、その気持ちはわからんでもないがな……」
時刻はまだ、二十一時を過ぎた位で誠実も武司も全く眠くはなかったが、子部屋に行くのは、何か気まずかった。
「俺、ちょっと散歩してくるわ…」
「あぁ、ついでにコンビニ行ってなんか買ってきてくれよ、二人で飲もう……コーラを」
「コーラかよ……まぁいいや、了解」
誠実はそう言って、部屋を後にしコンビニに向かった。
夜は夏でも風が涼しく、誠実は旅館からすぐのところで、海を眺めていた。
「夕涼み?」
「ん? 綺凜。何してるんだ?」
海を眺めていると、誠実は綺凜に聲を掛けられた。
優しい笑みを浮かべる綺凜に、誠実も笑顔で尋ねる。
「ちょっと、海を見たくてね」
先ほどの事もあり、誠実はし綺凜と話すのが、気まずかった。
「海が近いせいか、涼しいな」
「そうね……沙と沙耶香が、今部屋で荒れてるわよ?」
「う……まぁ、そうだよな……」
綺凜の言葉に、誠実は言葉を詰まらせる。
正直、この事は自分の自業自得だと誠実は思っていた。
子と一緒、しかも自分に好意を向けてくれる相手と一緒の旅行で、混浴まがいの溫泉にされろうとした。
「お、男は混浴という言葉に弱くてですね……」
「それでも、二人の気持ちを考えたら、そんなところにろうなんて考えないんじゃない?」
「う……か、勘弁して下さい~、俺はもうあの二人からのお仕置きで……」
「ウフフ、ごめんなさい……そうよね、私は誠実君にそんな事を言う資格なんてないものね……」
綺凜が寂しそうな視線を海に向けながら、そう言った。
綺凜は、誠実の好意を利用し、そしてその思いを踏みにじったと言っても過言ではない。
しかし、そんな事があった後でも誠実は、綺凜と友人として、新しい関係になる事をんだ。
綺凜はうれしかった。
それと同時に、誠実の力になりたいと、常々思っていた。
「二人のうち、どっちを選ぶか決まった?」
「……山瀬さんは意地悪だなぁ~………そんなの決められないよ……それに……」
誠実はふと綺凜を見る。
月明かりに照らされた、綺凜の橫顔はしく、やっぱり綺麗だなと誠実は綺凜に見とれる。
「それに?」
「……どっちも俺には釣り合わない、だからな~……それに格も良いし……本當に…俺の何処が良いんだか…」
「私も、同じような事を伊敷君に思ってたことがあったわ…」
「え……それってどう言う?」
「伊敷君とほぼ同じような理由よ、私は周りに想を振りまいてるだけの最低な……なのに、なんでこんない一生懸命で努力家で……友達からも信頼されてる伊敷君が、私なんかを好きなんだろうって……」
「そんなの、好きだからに決まって……あ!」
誠実は綺凜の話しを聞いていて気がついた。
人を好きになるのに、理由は必要だろうか?
その答えを誠実は知っていた。
「好きなもんは……好きだからしょうがないよな…」
「そうよ……思い出した? 私を好きだった気持ち?」
「あぁ……ありがとう、おかげで明日は、ちゃんと言えそうだ」
「え? 何を言うの?」
「あぁ……それは……」
誠実は真剣な表で、月を見ながら綺凜に明日、誠実が計畫している事を話す。
それを聞いた綺凜は、何も言えず、ただただ無理な笑顔を浮かべる誠実を見ている事しか出來なかった。
*
「たく……誠実の奴、何処行きやがった」
武司は帰りの遅い誠実文句を言いながら、旅館の自販機で飲みを買っていた。
「あ…」
「ん?」
自販機の前で、武司は飲みを買っている志保とばったり出會った。
食事の時の一件があり、武司はし志保との間に気まずさをじていた。
「飲み買いに來たのか?」
「アンタに関係無いでしょ、変態」
「んな! お、お前なぁ! それは健に言えよ!」
「ろうとしたアンタも同罪よ、全く……」
ぶつくさ文句を言いながら、自販機橫のベンチ座り、志保はお茶を飲み始める。
武司も自販機で炭酸飲料を購し、飲み始める。
「安心しろ、お前のになんか微塵も興味はねーから」
「はぁ?! 海で私の水著をジロジロ見てたのは、誰でしたっけ!」
「そ、それはお前の気のせいだ!」
「あら~? 私を見てエロいっていったのは誰でしたっけ?」
「それは認めよう、しかし興味があるかどうかは別だ!」
「アンタ、やっぱりむかつくわ」
武司の言葉に、志保は持っていたペットボトルを強く握りしめる。
志保の怒りに気がついたのか、武司は志保から一歩下がる。
「な、なんで怒るんだよ……興味をもたれても困るだろ?」
「ま、まぁ……そうだけど……」
「じゃあ、なんで怒るんだよ、お前変だぞ?」
「う、うっさいわね! 変態! ドスケベ!」
「へいへい、もう慣れたよ、そう言われるのにも」
武司は溜息を吐きながら、志保の隣に座った。
「ちょ、ちょっと! 何隣に座ってんのよ!」
「別に良いだろ、それにこんな離れてんだからよ」
武司はベンチに座りながら、炭酸の飲料水を飲む。
「偶には、喧嘩じゃなく、なんでも良いからちゃんと會話してみたいと思っただけだよ」
「な、なによ? ちゃんとした會話って……」
「……昔、話してみなきゃわからないって、ある奴に言われた事がある……だから、俺はちゃんと話しをして相手の印象を決めることにしてる」
「なによそれ? 意味分かんない」
「わからなくて結構だよ。でも……俺はお前と仲良くしたいと思ってるから、ちゃんと話しをしたい。それだけだ」
武司は何かを思い出すように志保に言う。
まるでいつもの武司ではない、別人のような顔をしながら。
- 連載中105 章
島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪
罪を著せられ島流しされたアニエスは、幼馴染で初戀の相手である島の領主、ジェラール王子とすれ違いの日々を過ごす。しかし思ったよりも緩い監視と特別待遇、そしてあたたかい島民に囲まれて、囚人島でも自由気ままに生きていく。 『王都よりよっぽどいいっ!』 アニエスはそう感じていた。……が、やがて運命が動き出す。
8 78 - 連載中45 章
俺の幼馴染2人がメンヘラとヤンデレすぎる件
幼稚園の時に高橋 雪が適當に描いたナスカの地上絵がメンヘラとヤンデレになってしまう呪いの絵だった。 それからと言うもの何度も殺されかけ雪は呪いのかかった彼女達とは違う中學へ入った。 そしてしばらくの月日が経ち…… 一安心した雪は高校生になり入學式初日を終えようとする。 「……?」 確かに聞き覚えのある聲がしたのだが隣にいた彼女はあったことも見た事もないはずのものすごく美人で綺麗な女性だった。 そして雪は彼女に押し倒されると聞き覚えのある名前を告げられる。 雪の高校生活はどうなってしまうのか!? 彼女たちの呪いは解けるのか!?
8 84 - 連載中50 章
ニート16歳の俺が、戀愛なんて間違っている
久々に、學校に行ったらクラスメイトから「おまえいたっけ?」といわれたけど久々だから仕方ないと思いつつ內心傷ついているのに誰も気が付いてくれなっかったけど、「やっほう、お久―」といわれて、(付き合いてぇぇえええ!!!)と思い俺は、、、、、
8 66 - 連載中25 章
女であり男でもある私は復讐をしていきます
容姿端麗、文武両道な伯爵令嬢シトラル・サランバールは國の次期権力者達の嫉妬を買い、15歳の時無実の罪で殺されてしまう。 その後、神と名乗る少年に出會い神に選ばれ、加護を貰っている同い年の子に転生(?)する。 転生した子は男の姿にも女の姿にもなれる體質に強力な魅了魔法と光魔法を持って生まれていた。 その力を使い、無実の罪でシトラルを殺した人たちに復讐をしていくことを決意する 今度こそ最愛の人と幸せな人生を!! 初めて書いた作品なのでまだまだ下手なところは沢山あると思いますが、アドバイスやフォローをしていただけるとありがたいです!
8 134 - 連載中34 章
俺の隣の席の人が毎日違うのですが?
俺の隣の席の女子は何故か毎日違う人がくる。 青髪ポニーテール、緋色ショート、金髪ロング×2黒髪の本人 そして月曜になったらまた最初に戻るを繰り返している。なのに誰にも気がつかれていない彼女達 これはそんな彼女達と俺との日常
8 174 - 連載中103 章
親の操り人形は自らその糸を切ろうとしている
幸せな親に恵まれた青年 毒親に支配された少年 青年は交通事故に遭い、家族を失った。 少年は親から逃げ出し孤獨になった。 運命の悪戯は彼ら二人が出會うことから始まり、協力し合うことでお互い幸せを手に入れたかった。 しかし、青年が言った「交通事故を調べたい」この一言が二人の今後を大きく変えることになる…… ※カクヨム様、エブリスタ様にも連載中です。
8 188