《99回告白したけどダメでした》170話

「なんか、老舗ってじの店だな……」

は、畳みに座布団、木のタンスに古いラジオなども置かれ、なんだか昔の家のようだった。

誠実達は、四人テーブルに座り商品が來るのを待つ。

誠実達以外のお客さんも多く、何故かその中で男客は複雑そうな表でそばをすすっていた。

「なんか、客多くないか?」

「そう? 普通だと思うけど」

「誠実君、最近良くの子見てるね、なんで?」

「恐い恐い、沙耶香さん、顔が恐いっす! いや、変な意味じゃなくて、なんかそんなじがしたから言っただけで……」

そんな話しをしていると、店員のおじいさんが商品を運んできた。

「はいよ! 板そばお待ち!!」

「あ、ほら來たわよ」

「わぁ、味しそう!」

「……」

運ばれて來たそばは確かに味しそうだった。

しかし、誠実は一つだけ大きな疑問をじ、おじいさんに尋ねる。

「すいません、なんか俺のだけないんですけど……」

誠実に運ばれて來たそばは、他の二人と比べて明らかになかった。

沙や沙耶香のそばよりも、誠実のそばは半分以下しかなく、付け合わせの漬け沙達の分はあるのに、誠実の分は無かった。

「気のせいじゃないですかね? それじゃ、これで……」

「いやいや、同じですよね? おかしく無いっすか?!」

「男ならぐちぐち言わず、早く食って一人で帰れ! 全く最近の若い男は…」

「えぇ……俺が悪いの……」

「大店の看板を見なかったのか、ほれ!」

そう言って、おじいさんは壁にってある張り紙を指差す。

誠実は言われた通り、その張り紙を見ると、そこには驚くべき事が書かれていた。

「えっと……『當店は、客に対する接客は他店以上ですが、男への接客は他店以下です』って……アホか! 接客云々の問題じゃ無いだろ!!」

「文句があるなら、食わずに帰れ若造が! わしは本當はだけがれる店にしたかったのに……ばあさんが邪魔するから……」

「こ、このエロジジイ~……」

だから客が多かったのかと、納得する誠実。

店の中に居る、誠実を含めた數の男客が複雑そうな表をしていたのは、そういう事かと納得し、誠実は仕方なくそばをすする。

「……味いのが逆に腹立つ」

味の方は予想以上に味しく、文句の付けようが無いところが逆に腹立たしかった。

不満を抱えつつも、食事を済ませ誠実達は店を後にする。

「あ、レビューに書いてあるね、には最適の店って」

「男には最悪の店だったよ……」

「まぁまぁ、味しかったし良いじゃん」

晝食を済ませた誠実達は、再びガイドブックを見ながら、何処に行くかを考え始める。

「そう言えば、お土産まだ買ってないね」

「あぁ、確かに! 土産屋さん行こうか!」

「そうだな、俺も一応買っていかないと」

「ちなみに誰に?」

「ん? まぁ、家族とバイト先……後は先輩と恵理さんかな……って、沙耶香なんでそんな恐い顔!?」

「別に怒ってないよ? 早く行こっか」

「じゃあ、なんで背後に鬼神が見えるんだ……」

「アハハ、沙耶香は人一倍嫉妬深いからね~」

「そんな事無いよ? さ、沙も行きましょ?」

そう言った沙耶香の笑顔に、沙と誠実は恐怖をじた。

土産屋に來た三人は、それぞれ家族や友人への土産を選び始める。

家族へのお土産は、適當にお菓子でも買っていけば良いだろうと、誠実は適當に味しそうなお菓子を選ぶ。

「う~ん……バイト先には、山瀬さんと被らないようにしないとな……」

誠実はそう思い、綺凜にメッセージを送る。

『バイト先へのお土産買いましたか?』

すると、直ぐに返事が來た。

『まだです、伊敷君は何を買いますか?』

「無難にお菓子だろうな……みんなで休憩中に食えるし」

誠実は、綺凜に返信し返事を待った。

そして、またしても直ぐに返事が帰ってきた。

『じゃあ、私は燈臺の近くのお店で買って行きます。店が別なら被ることも無いと思うので』

『了解です』

誠実は返信をし終え、再びお土産を選び始める。

「何か良いは……さ、沙耶香……」

「え? どうかした?」

「そ、その手に持ってるは?」

「え? 包丁だけど?」

誠実がお土産をしていると、沙耶香が真剣な表で包丁を見ている様子が目にって來た。

誠実は、なぜだか知らないが、の危険をじてしまった。

「さ、刺すなよ?」

「え、誰を?」

思わずそんなそんな事を聞いていしまった誠実。

沙耶香は困ったじで、誠実に聞き返す。

そんな沙耶香の言葉に、誠実は自分の言った事のおかしさに気がつき、話しを変える。

「い、いや~それにしても包丁なんて売ってるんだな」

「うん、なんか包丁を作ってる職人さんがこの町に居るみたいだよ」

「そうなのか、やっぱり料理部の部長としては、道もこだわってたりするのか?」

「まぁね、でも高くて買えないから、ちょっと見てたんだよ」

「なるほどな、確かに萬なんて単位は、高校生にはなかなか出せないしな……」

誠実も包丁の値段を見て納得する。

「沙耶香はお土産決まったか?」

「うん、家族にはこのお菓子で……おねえちゃんには、これ」

「……なんでわら人形?」

「なんか、買ってきててお願いされてね。お姉ちゃん、最近フラれちゃったらしいから」

「呪うのか……」

そんな話しを聞くと、なんだか自分まで恐くなって來てしまう。

「てか、藁人形なんて売ってるのかよ……」

そんな事を思いながら、藁人形が大量に積まれた棚を見る誠実。

すると、し離れたところで、いつにく真剣な表沙が視界にった。

沙は何を悩んでるんだ?」

「ん? あぁ、これどっちが良いかと思って」

「……それ何処の観地によく売ってる、キーホルダーじゃん……」

何を真剣に選んでいるかと思ったら、沙は観地のお土産屋さんによく売っている、竜が巻き付いた剣のキーホルダーを選んでいた。

「昔、お土産で親戚のお兄ちゃんから貰ってから、地味に集めてるんだ~、そのうちコンプリートしちゃうかも!」

「いらねーだろ……」

誠実が呆れた様子でそう言い、沙の元を離れ、お土産を再び選び始めた。

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