《99回告白したけどダメでした》177話
*
誠実はバスに乗って、恵理の家に向かっていた。
右手には海に行った際のお土産を持ち、太の下を貓背で歩く。
「あっつ……」
先ほどまでクーラーの効いた自室で寢ていたせいか、外が以上に暑くじる。
早く行こう、そう思いながら誠実は足を進める。
ようやく恵理の家のアパートが見えて來た。
誠実は、もうしでつきますと恵理にメッセージを送り、歩みを進める。
後數メートル、そんな時だった、誠実のスマホが音を出して鳴り始めた。
「なんだよ……恵理さん?」
スマホをポケットから取り出し見てみると、電話の主は恵理さんだった。
「もしもし、なんですか?」
『あぁ、誠実君? 悪いんだけど、暑いからアイス買ってきて~』
「………」
誠実はその言葉に、炎天下の中の道路の真ん中で立ち盡くす。
あと數メートルで目的の場所だったと言うのに、まさかのこのタイミングで買いを頼まれてしまった。
コンビニは、今居る場所から道を引き返して、約五分。
それほどの距離では無いが、この暑さでしかももうすぐゴールと言うところで簡単にそう言われると腹が立つ。
しかし、急にお邪魔して良いかと聞いたのは誠実だったので、ここは怒りをグッと堪える。
「わ、わかりました……何が良いですか?」
誠実は買ってくるアイスの種類を恵理から聞いて、道を引き返してコンビニに向かう。
「何がイチゴ系のアイスだよ……全く」
誠実はアイスを買い終え、再び恵理の家の前まで來ていた。
これでやっと休める。
そう思った誠実の元に、またしても恵理からの電話が來る。
嫌な予がしながらも、誠実は電話に出る。
「もしもし?」
『あ、誠実君? ごめん、ちょっとお茶も買って來てくれない?』
「oh……」
まさかの言葉に、誠実は思わず口から言葉がこぼれる。
本當にこの人には一言言ってやろうかと思ったが、誠実はまたしても怒りをグッと堪える。
(いや、他に買ってくるが無いかを聞かなかった俺が悪いな……)
「わ、分かりました……」
『ごめんね~、お願い』
誠実は電話を切り、スマホを握って再びコンビニに戻って行く。
「あの店員……また來たのかこの人、見たいな目で見やがって……」
誠実はお茶を購し、再び恵理の家の前に戻って來ていた。
しかし、誠実はなんだか嫌な予がした。
念のためスマホの電源を落としておこうと、誠実はポケットからスマホを取り出す。
誠実がスマホを取り出した丁度そのとき、再び恵理から電話が掛かってきた。
「………」
誠実は靜かにスマホをしまい、深呼吸をした後で恵理の家の前までダッシュする。
無言で恵理の部屋のドアの前に立ち、インターホンを鳴らす。
「は~い」
恵理の聲が聞こえた後、部屋のドアが開き、恵理が姿を表す。
その瞬間、誠実はぶ。
「いい加減にして下さいよ!」
「うわ! ビックリしたぁ~……何を怒ってるの?」
「アンタが何回も俺をコンビニに戻そうとするからだろ! この炎天下の中! さっさと室にれろよ! 熱中癥で倒れるぞ!」
「え! そんなにお姉さんの部屋にりたかったの? そ、そんな必死に言われると、お姉さんの危険をじちゃう……」
「アンタのなんかどうでも良いんだよ! 俺は暑いの!」
「な……ど、どう言う意味よ! お姉さんのより、うちのクーラーが目的ってわけ?!」
「そうですよ! 炎天下の中を何回往復したと思ってんだ!」
「あ、そうそう、ついでにお菓子も買ってきて貰おうと思ってたんだ、買ってきて」
「自分で行け!」
そんな會話を繰り広げた後、誠実はようやく恵理の部屋にれて貰った。
クーラーが効いた部屋、それだけで誠実にとっては天國だった。
正直クーラーさえあれば、後はどうでも良い。
子大生の部屋だとか、モデルの部屋だとかは今の誠実にはどうでも良かった。
「あぁ……生き返る……」
「誠実君、子の部屋でその言葉が危ないと思うわよ?」
「あ、大丈夫っす、恵理さんになんと思われても気にならないんで」
「そ・れ・は! どう言う意味かな? 誠実く~ん」
「イダダダダ!! ヘッドロックをしながら、ペットボトルでこめかみをグリグリしないで下さい!」
部屋にれて貰い、誠実は座ってくつろいでいた。
恵理の部屋は、らしい部屋で、大きな姿見が置いてあったり、化粧臺が置いてあったりしていた。
あまりジロジロ見るのも悪いと思い、誠実は恵理はお茶を準備してくれている間、スマホを弄って暇を潰す。
「まったく、急に來たいなんて言うから、お姉さんビックリしたよ」
「それに関してはすみません。でも、この前の約束覚えてますよね?」
「覚えてるわよ、お姉さんとまたデートしたいんでしょ?」
「違います」
「そんな冷めた目で言わなくても……冗談よ、買いでしょ? なんで私に付き合ってしいの?」
恵理は誠実の正面に座り、麥茶を出す。
「実は、八月って奈穂の誕生日なんですよ。だからプレゼント選ぶの手伝ってほしくて」
「ほうほう、なるほど~、そう言えばそうだったわね。ちなみに私の誕生日は……」
「じゃあ、お願いします」
「話しを最後まで聞かないのはなんでかな?」
「正直どうでも良いんで」
「お姉さん、急に買いに付き合いたく無くなって來たかも~」
「………はぁ……この人めんどくさ」
「あ! 今面倒くさいって言った! 年上のの人に向かって、面倒くさいって言った! 男はいつもそうだよ! 何かあると面倒くさいって!」
「なんすか恵理さん急に……」
「そうですよ~、私はどうせ面倒くさいですよ~だ」
「はぁ……謝りますから、相談にのって下さいよ」
なんとか説得と、謝罪を繰り返し、誠実は恵理の機嫌を戻した。
相談する相手を間違えたかとも思ったが、今更もう良いですとも言えないので、誠実は恵理と奈穂の誕生日プレゼンについての話しを始める。
「アクセサリーは? ネックレスとかなら良いんじゃ無い?」
「そう言われても、男の俺には何が良いのかさっぱりで……」
「う~ん……これなんかどう?」
恵理は雑誌を取り出し、アクセサリーの紹介ページを見せる。
「こう言うのが流行なんですか?」
「まぁ、正直無難なところね、これをあげれば、とりあえずの子は嬉しいっていう商品かな?」
「なるほど……って! この値段なんすか! 四萬って!」
「まぁ、普通はこれくらいよ? ブランドだし」
「卻下です! 高校生のお財布事くらい考えてください! 旅行に行ってあんまり金もないんですから!」
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