《99回告白したけどダメでした》178話

誠実と恵理は、奈穂の誕生日プレゼントを決めるのに悩んでいた。

誠実はまず子の好きながわからず話しにならない。

恵理に関しては、奈穂の年代の子がしがるアイテムがわからず、二人は悩んでいた。

「このアロマセットとかどうですか?」

「確かに安上がりで、お灑落だけど……奈穂ちゃんには違うなー」

「違うってなんですか、全く……」

「全くとはなんだよー、人が折角一緒に悩んでやってるのに~! そんなに言うなら、下著でも買ってプレゼントして、軽蔑されれば良いんだよ!」

「何とんでもない提案を出してるんですか! 妹のに下著をプレゼントする兄なんて居ませんよ!」

「うん、そうだけど……奈穂ちゃんはなんだかんだ言って、付けそうよね……」

「何言ってるんすか……そんなわけあってたまるか……」

何故か苦笑いをしながら、恵理は答える。

誠実は本格的に何を買って良いか悩んでいると、ふと部屋の隅に置かれた雑誌の山に目をやる。

「この雑誌も見ていいですか?」

「ん? 良いけど……何の雑誌だったかしら?」

「えっと……な! こ、これは……」

その雑誌は、用下著の通販カタログ雑誌だった。

中にはページが折られている箇所もあり、読み込んだ後が見けられた。

「す、すいません……これはいいです……」

「ほっほう~、まさか本當に下著をプレゼントする気じゃなかろうね~」

「そんな訳無いっすよ!! そしてニヤニヤするのはやめて下さい!」

「ちなみに、男子高校生の誠実君は、の子にどんな下著を著けていてしいのかなぁ~?」

「変な質問もやめて下さい!」

「あ、ちなみにお姉さんこの下著を~」

「やめて下さいって言ってるんでしょうが!」

ニヤニヤしながら、下著のカタログを誠実に見せて話す恵理。

そんな恵理から視線を反らし、誠実は頬を赤く染める。

「あぁ、もういいです! 買いの時にでも決めますから!」

「下著を?」

「恵理さん、本當に怒りますよ?」

誠実は見せてもらった雑誌を恵理に返し、お茶を一口飲む。

そこで誠実は、お土産を持ってきた事を思い出した。

「あ、そう言えば恵理さん、はいこれ」

「ん? なぁに?」

「海に行った時のお土産です」

「おぉ、気がきくねぇ~、ありがと」

「まぁ、買いにも付き合ってもらうんで、これくらいは……」

誠実は恵理にキーホルダーを渡す。

買いについての話しも出來たし、お土産も渡したので、これで用事は終わった。

誠実は時間も時間なので、そろそろ帰ろうと立ち上がる。

「じゃあ、そろそろ俺はこれで……」

「誠実君待った!」

「え?」

誠実が帰ろうとした瞬間、恵理が誠実の肩をがしっと摑んだ。

「えっと……何か?」

「誠実君って、確か料理出來たよね?」

「は、はい……人並み以上には出來るつもりですけど?」

「ずいぶんな自信だね、お姉さんそう言うの嫌いじゃ無い」

「あ、ありがとうございます……」

「それで、本題なんだけど!」

「は、はい?」

「……ご飯作って」

「………」

恵理は誠実に真剣な表で食事を作る事を頼んできた。

その様子に、誠実ただただ、なんでそんな事をしなくてはならないんだろうと、疑問しか沸いてこなかった。

「いや、いきなりなんですか……」

「だって、誠実君料理出來るんでしょ? お姉さんにも味しい料理つくってよ~バイトの時にも言ったじゃ無いの~」

「そんな急に言われても、だいたい材料はあるんですか?」

「ない!」

「元気いいですね……」

誠実は溜息を吐きながら、恵理の頼みをどうするべきか考える。

料理を作ることに問題は無い。

しかし、時刻は夕方の六時、一人暮らしの子大生の部屋にいつまでもお邪魔する訳にはいかないと誠実は考えていた。

「また今度でダメですか? 暗くなるまで部屋に居るのは流石に……」

「あぁ、大丈夫大丈夫。誠実君が狼さんになっても、逆にお姉さんが食べちゃうから」

「……それはどう言う意味ですか?」

「そう言う意味です」

言っている意味は何となく理解出來たが、それでもどう言う意味かわからない誠実。

結局誠実は恵理に晩飯を作る事になってしまった。

「冷蔵庫見てもいいですか? 何があるか確認したいので」

「いいよ、別に恥ずかしいって無いから」

誠実は許可を貰い、部屋の冷蔵庫を開ける。

「……なんすかこれ」

「えっと……冷凍食品……」

「あとは?」

「こ、コンビニのお総菜……」

「………はぁ~」

「何その溜息! そうですよ! 私は一人暮らしを初めてから、一切自分で料理をつくってませんよ! でも、子大生の一人暮らしなんて大そんなもんだから! 夢なんか見ない方が良いんだからね!」

「にしても、こんなばっかり食べてたら、壊しますって……よく見たら、冷蔵庫の上にカップ麺まで……サラリーマンの単赴任見たいっすね…」

「し、仕方ないでしょ! 仕事もあるし、大學のレポートあるし……」

確かに恵理は、モデルもしているし、大學もあって忙しいのかもしれない。

だから、早くて手早く食べられる食事が続いてしまうのだろうと誠実は考える。

そう思うと、なんだか可そうな気もしてきた誠実。

バイトの時に、料理を作りにきてくれと言ったのは、こういう意味かと納得し、キッチンの方を見る。

「道は……うわ、全部新品同様……でも、一式ありますね」

「まぁ、最初は自炊しようと思ってたし……」

しゅんと小さくなりながら、恵理は誠実に言う。

誠実は人一通り道を見た後、顎に手を當てて何を作るかを考える。

「恵理さん、今からスーパーに買いに行きましょう」

「わ、わかったわ。材料を買いに行くのね!」

「はい、今日は俺が恵理さんでも作れそうな料理を教えます。流石に冷凍食品とカップラーメンだけじゃ、いつかその綺麗なスタイルが崩れかねないので……」

「う……痛いとこつくなぁ~。よろしくお願いします」

誠実と恵理は二人揃って家を出てスーパーに向かう。

誠実はそこで料理の材料を買い、恵理と共に部屋に戻って來た。

「結構買ったね、何を作るの?」

「部屋についたら教えますよ」

誠実と恵理はアパートに到著し、部屋の前まで來ていた。

恵理が鍵を開けようと、ポケットから鍵を出していると、隣のお姉さんが部屋から出てきた。

「あら? 恵理ちゃん、今帰り?」

「あ、どうも。今日はお休みで……」

隣から出てきたは、恵理さんよりも年上のお姉さんだった。

ご近所付き合いも大変そうだなと思いながら、話しが終わるのを待つ誠実。

すると、急にお姉さんがニヤニヤしながら誠実に視線を向けた。

「にしても、恵理ちゃん彼氏居たんだ~、二人で買いなんてラブラブね~」

「え! あぁ、か、彼は……」

揺する恵理に誠実は溜息を吐き代わりに答える。

「あぁ、俺はそう言うのじゃないです。単なる友達で……」

「あら、そうなの? もしかして、恵理ちゃんの片思い?」

「にゃ! にゃにをそんな!」

(にゃって……)

未だに揺している恵理を見ながら、誠実は溜息を吐いて肩を落とす。

こんな事で揺して、恵理は、本當にお姉さんと呼べるのだろうか?

目の前のこのお姉さんの方が、ずっとお姉さんっぽいのに……。

などと誠実が考えていると、隣のお姉さんは用事があるとかで、さっさと行ってしまった。

「いつまで揺してるんですか?」

「ど、どうようなんかしてにゃい!」

「貓っぽい喋り方になってますよ……なんでも良いんで早く開けて下さい、暑いっす」

「わ、わかってるわよ!」

暑さのせいか、恵理の顔は真っ赤に赤くなっており、誠実は恵理が暑がりなのでは無いだろうかと心思っていた。

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