《99回告白したけどダメでした》180話

「えい」

「何やってんですか、恵理さん……」

恵理は誠実の背中に乗り始める。

(フフフ……これなら嫌でもドキドキしちゃうでしょ! さぁ、さっさと顔を赤面させなさい! そして私は誠実君をからかって遊ぶ!)

などと、恵理はそんな事を考えながら、誠実の背中に全重を乗っける。

一方の誠実は、また何かくだらない事をしているなと、半分呆れて居たのだが、背中に伝わってくる二つのらかいに気がついた瞬間、頬を真っ赤に染める。

「え、恵理さん……」

「ん~? なにかな? 誠実君」

「どいて下さい、重たいです」

「な! お姉さんになんてことを!!」

「だって……重いんですもん……」

「重くありません!!」

「思いです! いい加減にどいて下さい!」

(お、重いですとぉ~……なんでこの子は毎回! 私をとして見てないのかしら?)

恵理は誠実の反応にそんな事を思う。

しかし、誠実は確実に恵理を意識意識していた。

背中に當たる、しかも結構な大きさだ、健全な男子高校生が意識しないハズが無い。

しかし誠実は、恵理に顔を隠し平靜を裝って離れるように言うが、それが逆効果になってしまった。

恵理は、それならばと、更に誠実を後ろから抱きしめる。

「おりゃ!」

「え、恵理さん! い、いい加減にして下さい!」

最早、恵理もただの意地だった。

(ええい! もう何でもしてやる! さっさと顔を赤らめて、お姉さんの遊び道に……ってこの格好……まずくない?)

抱きついた瞬間、恵理は今の誠実と自分の勢を改めて確認し、冷靜に考える。

そして、考えた瞬間、顔を赤くしたのは恵理だった。

(な! なにこの勢! 破廉恥! って違う!! 早く離れよう……これはやり過ぎた……)

恵理は早速誠実から離れようとする、しかしなんだか抱き心地が良く、離れがたくなってしまった。

「あの……早く離れてくれません?」

「ど、どうせお姉さんで興とかしないんでしょ?」

「いや……あの……」

(ヤバイ! 結構良いかも……えへへ良い匂いもするし……って私は変態か!)

「恵理さん……當たってるんですけど……」

「え? あ………」

誠実に言われ、恵理はようやく気がついた。

自分のが誠実の背中に著している事に……。

しかし、これは恵理にとってチャンスだった。

「あれれ~? 何? お姉さんで興しちゃったの?」

「し、してないです……」

誠実の真っ赤な顔を見て、恵理は待ってましたと言わんばかりに、誠実をからかい始める。

「じゃあ、離れなくてもいいよね~?」

「あ、暑苦しいんです!」

「お姉さん熱くないも~ん」

「あぁぁ! もう! いい加減にして下さい!」

「きゃっ!」

誠実は恵理から離れようと、勢いよく立ち上がる。

恵理は誠実が立ち上がった衝撃で、床に倒れてしまった。

「もぉ~痛いよぉ……」

「恵理さんが悪いんです! あんな悪ふざけをするから……」

「……ねぇ、誠実君…」

「なんですか?」

「なんでそんな前屈みなの?」

立ち上がった誠実は、何故か不自然に前屈みだった。

恵理はそんな誠実の姿を見て、楽しそうな笑みを浮かべながら尋ねる。

「……腹が痛いんです……」

「ふぅ~ん……」

「なんですか、その目は」

「別に~、誠実君も男の子なんだなぁ~って、お姉さんそのうち食べられちゃう?」

「怒りますよ」

「アハハ冗談だって、そんな事したら、奈穂ちゃんに後ろから刺されちゃうよ」

「何故に?!」

「誠実君が」

「しかも俺?!」

そんなやりとりをしているうちに、ご飯が炊きあがり、無事カレーが完する。

誠実と恵理は二人で向かい合ってカレーを食べる。

「おぉ、なんか自分で作ったからか、味しい気がする」

「そう思うなら、しづつ自炊しましょうよ。冷凍食品とコンビニ弁當じゃ、を壊します」

「う~でも、面倒かも……」

「はぁ……こんな大學生にはなりたくないな……」

「あ、またお姉さんを馬鹿にしたな! そんなに言うなら、誠実君が定期的に教えに來てよ、どうせ暇でしょ?」

「なんですかその言い方! 俺だってバイトあるし、學校だってあります!」

「お姉さんだって、仕事とか大學とかあるもん!」

言い爭う二人、良い爭いながらも二人はカレーを口に運ぶ。

「はぁ……じゃあたまに教えに來ますから……しは自炊して下さい。もったいないですよ、折角スタイル良いのに」

「え、本當?」

「ま、妹もお世話になってますし」

「やった! じゃあ、私が暇な日に連絡するね」

「はいはい」

その後、誠実と恵理はカレーを食べ終え、食を片付けた。

時間は夜の二十一時を回っており、外は真っ暗だった。

「それじゃあ、俺はこの辺で」

「うん、気を付けて帰るんだよ」

「恵理さんにだけは言われたくないです」

そう言って、誠実は帰宅していった。

誠実が居なくなった後、恵理は先ほどまで誠実が居た部屋を見渡す。

「この部屋……こんなに広かったんだ……」

先ほどまで誠実が居て、凄く楽しかった。

誠実が居なくなり、靜かになった部屋の中が何故か広くじた。

恵理はクッションを抱きしめ、ベッドに橫になりスマホを手に取り、連絡先の誠実の項目を開く。

「電話しても……良いかな?」

さっき別れたばかりなのに、何故か聲が聞きたくなった。

そして、スマホの通話ボタンを押そうとした瞬間、恵理はハッとする。

「な、何を私は!! なんで誠実君が居なくなっただけで、寂しがってんのよ!! 乙か! あ、乙だった……」

などと一人でボケて見るが、恵理はしづつ気がつき始めていた。

誠実の事を男として意識し始めていると言う事に……。

「………良い匂いだったなぁ……」

恵理は誠実の背中に抱きついた時を思い出し、そんな事を呟く。

そして再びハッとし、自分に言い聞かせる。

「違う! 違う! 私は誠実君の事なんてなんとも思ってない! だって三個下だよ?! なんで私が年下なんか、私は年上の大人っぽい人が……」

自分で言っているうちに恵理は気がつく、自分の顔をがどんどん熱くなり、真っ赤になっている事に……。

「あぁぁぁ! 誠実君の馬鹿!!!」

ベッドに潛って、恵理は誠実を罵倒する。

しかし、恵理の顔は赤いままだった。

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