《99回告白したけどダメでした》192話
溜息を吐きながら、俺と綾清は駅に向かう。
そう言えば、スマホを置いてきたと言っていたが、財布は持っているのだろうか?
さっきの喫茶店はとりあえず、俺が払ったが……。
「おい」
「なによ?」
「さっきの喫茶店の金を今のうちに返せ」
「男のくせに奢ってくれないの? ケチね」
「良いから返せ。それと、これ以上、俺をガッカリさせないでくれ」
「わかったわよ……えっと………あれ?」
財布を探して、服のポケットに手れて、財布を探して始めた。
しかし、一向に財布は出てこない。
やっぱりか……俺は何となくそんな予はしていた。
基本的に、財布とスマホはセットで持ち歩く人が多い。
スマホは忘れて、財布だけ持ってきているという事はそうは無いと思う。
「無いのか?」
「………うん……スマホと一緒にしてた……」
「やっぱりな……それじゃあ駅に行っても電車に乗れないぞ?」
「う……お金貸して?」
「生憎、お前がパフェなんて食うから俺もほとんど無い」
「え?! じゃあどうするのよ!」
「お前の事後自得だろうが、俺は知らん!」
なんてだ全く……。
コレはもうどうしようも無いな、こいつも諦めてライブに行くだろう。
綾清も頭を悩ませており、どうするか悩んでいるようだった。
「あぁぁ! もう、仕方ない! 戻るわ!」
「それが利口だ、じゃあ俺はコレで」
「何言ってるのよ、アンタも行くのよ?」
「は?」
何を言っているんだこのは、俺はここからは本當に関係無いだろ?
そんな事を考えていると、綾清は俺の手を取って歩き始める。
「ほら! 良いから行くわよ!」
「おい、引っ張るな!」
俺は綾清に引きつられ、ショッピングモールに向かって行く。
なんでこうなったんだ……。
俺はそんな事を考えながら、溜息を吐く。
*
「で、來た訳だが……なんでお前は、俺に隠れてるんだよ……」
「しょうがないでしょ! 一応アイドルなんだから……」
「はぁ……めんどくせぇ……」
ショッピングモールに到著した俺と綾清は、外の駐車場がある方のり口から、中にろうとしていた。
時間はもうお晝時とあって、ショッピングモールの飲食店は混み合っていた。
一瞬、武司がいたような気もしたが、気のせいだろうと思い、俺は綾清とショッピングモールの中にって行った。
「んで、どうするんだよ」
「荷を置いてある、スタッフルームよ。そこに行けば私の荷が置いてあるわ」
「勝手にれるのかよ……一応アイドルだろ、そう言うところのセキュリティーは厳重なんじゃねーの?」
「大丈夫よ、私に考えがあるわ」
「もう、普通にライブ行けよ……逆に面倒だろ……」
俺はがっくりと肩を落としながら、綾清の後ろについて行く。
なんでこんな事に付き合っているのだろうか……。
自分のやっている事に疑問を抱きながら、俺は早く終わってくれと願う。
関係者以外、立ちり止と書かれた扉を抜け、長い廊下を歩いて行くとスタッフルームと書かれた部屋と、休憩室と書かれた部屋が見えてきた。
「ここよ、私が居なくなって、皆丁度探しに行ってるみたいね」
「素直に戻ってやれよ。々迷掛けてるんだぞ?」
「……嫌よ……折角の高校生活もアイドル活のせいで何も出來ないし………ライバルは多いし………グループの中もギスギスしてるし……」
「ドルオタにそういう裏事を暴すんなよ……」
休憩室にり、自分の荷をまとめる綾清。
ぶつぶつ文句を言いながら、荷をまとめると直ぐに部屋を後にした。
「大ムカつくのよ! 何が顔が良いと特よ! 何が運が良いよ! 私の苦労も知らないくせに!!」
「々あるんだな」
「そうよ! 顔が良いだけで仕事が來たら苦労しないのよ! 挙げ句にマネージャーは枕営業まで持ち出すし! もう耐えられないのよ!」
コレは結構事が重たそうだな……。
そんな事を考えながら、俺は綾清の後ろをついて行く。
俺たちファンが思っている以上に、アイドルは大変なのかもしれない。
「でも、お前のファンも居るんだぞ?」
「良いわよ、そんなのどうでも」
「は?」
「どうせ、ファンに私の気持ちなんてわからないし、ファンがなんとかしてくれる訳でもないでしょ。ファンの必要なんて、自分の価値を上げるのに必要な數字でしょ」
「おい、その言い方はどうかとおもうぞ」
「なんでよ? じゃあ、貴方が何かしてくれるの? 私の為に何かしてくれるの? 私が苦しい時に助けてくれるの? ファンなんてそんなもんでしょ!? 人気が無くなれば、どうでも良くなって離れて、直ぐに次に行く! 貴方だってそうじゃない!」
確かに綾清の言うことは最もだ、いくらファンと言っても、なんでもしてあげられる訳じゃ無い。
それどころか、人気が無くなったり、スキャンダルがあると、直ぐに他のアイドルに行ったりする。
俺もそう言う経験はある。
冷めたりするし、飽きるのは人間ならば當然だ。
「貴方もそうじゃない、本當の私を知ったからファンをやめたんでしょ? そう言うものなのよ、いくらファンだって言っても、本當の私を知ったら、皆離れて行く……」
確かにそうだ。
俺がそれの良い例かもしれない。
アイドルがアイドルでいる姿しか見ず、プライベートの報を全くれない。
そして、極めつけがコレだ。
數時間前まで、大ファンだったアイドルの本を知っただけで、俺はファンをやめた。
俺はこいつに何かを言う資格は無い。
でも、間違い無いようにこれだけは言いたかった。
「なぁ、確かにお前の言うとおりのファンばっかりかもしれねーよ……」
「アンタ自信がそうだもんね」
ズンズンと廊下を歩きながら、俺は綾清に言葉を続ける。
「でもよ。俺の知ってる奴らは、真剣にお前を応援してるぜ」
「どうせ、アンタのドルオタ仲間でしょ? そいつらも同じよ」
「ちげーよ」
「え?」
俺の言葉に、綾清は足を止めて俺の方に向き直った。
そう、あいつらは違う。
真剣に綾清ゆきほという人間を応援している。
それは、皆をよく見てきた俺だからこそ、自信を持って言える。
まぁ、俺自は過去の事があって、あいつらほどアイドルを信用出來ていないが……。
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