《99回告白したけどダメでした》195話

「お前ら何してんだ?」

「「あ……」」

聲を掛けて來たのは、志保と武司が尾行をしていた健だった。

呆れた様子で二人を見ながら、健は溜息を吐く。

「今日は厄介な奴らに會うな……お前らは……デートか?」

「「違う!!」」

健の言葉に志保と武司は聲を揃えて否定する。

三人は近くのベンチに座り、飲みを飲みながら話しを始めた。

健は今日の出來事を二人に話し、武司と志保も二人で買いに來た理由を説明する。

「なるほど、武司はただの荷持ちか」

「そ、そうよ! 當たり前よ!」

「まぁ、古賀がそれで良いなら俺は何も言わんよ」

「ど、どう言う意味かしら!? 古沢君!!」

「別に」

顔を真っ赤にする志保を他所に、武司は健の話しの事を考えていた。

「お前の方も々あったんだろ? それに良いのか? そのアイドル引き留めなくて」

「だって、もう俺ファンじゃねーし」

「そうか? まぁ、お前の昔を知ってるからな……お前のその態度も納得だけど、CDショップの前でお前の仲間らしき人たちが不安がってたぞ?」

「あぁ……あいつらか……」

健は武司の話しを聞き、改めて悪いことをしてしまったと自分を責める。

理由はどうあれ、自分の勝手で仲間との約束をほっぽり出してしまった。

リーダーと言って、慕ってくれていた仲間を裏切ってしまったと、健は後悔していた。

「あいつらのところに行くだけ行くか……もう今日のライブは中止だろうけど……」

「そうしてやれよ」

武司に言われ、健は仲間の元に戻る事にする。

もうライブは中止だろうが、元々約束をしていたことなので、リーダーとして約束を守ろうとCDショップに向かう事にする。

「じゃあ、俺はあいつらのとこに行ってみるわ」

「あぁ、じゃあな」

健はそう言って、武司達の元を離れて行く。

「しっかし、やっぱりイケメンにはが寄ってくるのかね?」

「漫畫みたいな展開だったわね…」

「あぁ、しかも普通そこからが始まるよな? 始まるどころか後退してるぜ?」

「珍しい展開よね」

「全くだ、俺の友人達は変なばっかりしてるな……」

「アンタはすらしてないじゃない」

「う、うるせーな! 俺は好きな人が居ないだけ!」

「あっそ。さーて、買いの続きをしましょ」

「あ、やっぱり?」

「そうよ、ほら行くわよ!」

「へいへい」

武司と志保は健が行った數分後に、ベンチを離れた。

二人は近くのアパレルショップにり、買いの続きを始める。

健は武司達と別れ、一人でCDショップに向かっていた。

ゲリラライブを聞きつけてか、CDショップ周辺は人が多かった。

健は人混みの中にって行き、仲間を探す。

「あ! リーダー! やっぱり來たんですね!」

「あぁ、お前らとの約束を急にすっぽかすのもどうかと思ってな……悪かったな、さっきちょっと々あってな」

健は仲間の皆にそう言い、綾清と出會った事を伏せ、今日のゲリラライブは中止かもしれないと、皆に伝える。

「え! マジですか!? リーダーそれはどこ報ですか!? SNSにもそんな事書いて無いですよ?」

「あぁ……獨自ルートだ」

「「「リーダーすげー……」」」

流石にメンバーの一人の逃亡を俺が手伝ったからとは言えない健。

上手く説明を済ませて直ぐにその場で解散する事になった。

「なんか殘念だな……折角エメラルドスターズの生歌を間近で聞けると思ったのに……」

「仕方ないだろ? 最近知名度も上がってきたから、忙しいんだ」

「そうだよなぁ……」

ガッカリする一同を見て、健は心が痛む。

あの時、自分が綾清を説得でもしていれば、今日のライブは予定通り開催されたかもしれない。

健はまだ綾清は駅に居るだろうかと考え始めた。

そんな時だった。

「居たか!?」

「居ないっす!! 荷も無くなってて!!」

「勘弁してほしいよ全く……まぁ、ゲリラライブだから、告知とかしてないのが救いだけど、SNSとかでず居てる人がこんなに居るんだぞ?」

「もう一回見て來るっす!」

恐らくイベントのスタッフだろう、綾清を探しているらしく、急がしそうだ。

々な人に迷を掛けているなとじながら、健は考える。

それに荷擔した自分も同罪なのだろうと……。

しかし、綾清も々と思うことがあっての事だと、健は知っている。

知っているからこそ、一方的に綾清を責める事が出來ない。

「はぁー楽しみだったんだけどなぁ……」

「またやるかもしれないし、気長に待とうぜ」

仲間のそんな言葉を聞き、健は走り出した。

「あれ? リーダー??」

「すまん、用事を思い出した」

健は走り出し、駅に向かっていた。

向かうのはもちろん綾清のところだ。

しかし、健は綾清を説得に行くわけでは無い。

自分が説得しても、綾清の気持ちが変わらない事を何となくづいているからだ。

しかし、現狀を伝える事は出來るだろうと、健は走り出した。

ショッピングモールを出て、健は走って駅に向かう。

歩いていたので、駅に著く前に見つけられるかと思ったが、そうはいかなかった。

駅に著き、健は綾清を探す。

「どこだ……」

駅のホームを掛け、綾清を探す。

數分探した時、改札に並ぶ綾清を発見する。

「いた!」

健は走って綾清の元に向かい、切符をれようとした左腕を摑んで止める。

「え! な、なに?」

突然腕を捕まれた綾清は驚き、健を見て目を見開く。

綾清が話し始める前に、健は綾清を改札から連れ出す。

「ちょっと! 何よアンタ!」

「別に……ただし言いたいことがあってきた」

「言いたいこと? 何よ?」

健は綾清に、今日の會場の様子を伝える。

ファンが楽しみにしていた事、そして々な人に迷を掛けている事を……。

しかし綾清は……。

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