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健が綾清と口論になっている間、誠実は恵理に連れ回され、ショッピングモールを駆け回っていた。

「え、恵理さん……」

「何？　あ、コレどう？」

「い、良いんじゃないっすか……」

「もう、ちゃんと見てよ！　お姉さん怒っちゃうよ！」

「じゃあ、怒っても良いので……休憩させて下さい……」

誠実は恵理の買った買い袋を持ちながら、背中を丸めてそう言う。

あれから一時間、休み無く買いに付き合わされ誠実はクタクタだった。

「もう！　男の子でしょ！　頑張って！」

「無理ですよ～、恵理さん自分の買いになった時點でメッチャ元気なんですもん……」

「そ、それは……き、気のせいよ！」

「いやいや……」

恵理は先ほどとは打って変わって生き生きしていた。

まるで水を得た魚のように、ショッピングモールを駆け回っていた。

「と、とにかく休憩させて下さい……暑いし、渇いたしで……」

「そ、それもそうね。じゃああそこで休憩しましょうか」

恵理が指さしたのは、ショッピングモールにあるカフェだった。

夏限定のオープンらしく、アイスやかき氷などの冷たい商品を中心に扱っているようだった。

店にった誠実と恵理はそれぞれレジで注文をし、席に座る。

「誠実君、飲みだけで良いの？」

「はい、さっき晝食は済ませたんで。恵理さんはよく食べますね、マンゴーかき氷なんて」

「そ、そうかしら？」

顔を赤くしながら答える恵理。

誠実によく食べるだと思われたのが、恥ずかしかったのか恵理はそのまま俯く。

「はデザートは別腹っていいますけど、アレって本當なんですね」

「そ、そうなのよ！」

誠実の意見に同調し、恵理は大聲を上げる。

「俺の妹もたらふく食った後にデザートでパフェなんて頼むんですよ」

「で、でしょう？！　普通なのよ！　の子はデザートもいっぱい食べるのが普通なの！」

「は、はぁ……？」

恵理の言葉の勢いに誠実はなんでこんなに必死なのだろうと疑問を浮かべながら、恵理の話しにうなずく。

「で、まだ回るんですか？」

「當たり前よ！」

「今日って俺の買いに付き合って貰ってたはずじゃ……」

肩をがっくりと落とし、誠実はふと窓の外を見る。

「ん？」

「あ？」

窓の外の見慣れた人と、誠実は目があった。

そして窓の外のその人と數秒間見つめ合い、同時にぶ。

「「いやぁぁぁぁ！！」」

「ど、どうしたの誠実君？」

「あ、いや……見知った顔が……居まして……」

誠実は手を震わせながら、恵理に答える。

誠実の背中からは大量の汗が噴き出していた。

窓の外に居たのは武司だった。

思いがけない人の登場と、恵理と一緒にいるところを見られた事で誠実は激しく揺していた。

別に武司に見られても困ることは無いのだが、なぜだか誠実は嫌な予がして仕方なかった。

「だ、大丈夫？　凄い汗だよ」

「は、はい……さ、さっさと食べて行きましょう」

＊

「び、びっくりしたぁ～」

「どうしたのよ、いきなり大聲なんて上げて」

「いや、この店に誠実が居てつい……」

「あんたらの関係が時々わからなくなるわ……」

「そう言えばあいつもと一緒だったような」

「はぁ？　それホント？」

「噓ついてどうすんだよ、なら見てみろよ」

「沙耶香というものがありながら、一誰と何を……って、またあの人？」

志保は喫茶店の窓から中を見る。

そこには誠実と、奈穂のモデルの先輩である恵理が向かいあってお茶をしていた。

「うわ、メッチャ人！　誠実の野郎！　羨ましぃ！！」

「あの人、確かモデルさんよ」

「うわぁ……マジで誠実発しないかな……」

「ちょっと私話しを聞いて來るわ！」

「え？！」

志保はそう言って、ずかずかと喫茶店の中にって行く。

「お、おい！　待てよ！！」

志保に続き武司も続いて喫茶店にって行く。

沙耶香のを応援している志保にとって、この狀況は見過ごすことができなかった。

恵理と誠実の関係をハッキリ聞く事にした。

沙耶香から聞いた話では、二人は人同士では無いらしいが、怪しい関係らしい。

誠実たちの席まで真っ直ぐ向かい、志保は誠実に聲を掛ける。

「伊敷君」

「ぶっ！　な、なんで古賀がここに……」

「ん？　誠実君のお友達？」

「おい待てって！」

「な！　武司まで！」

「よう、お楽しみのとこ悪いな」

「俺は違う、お前の方がお楽しみだろ？」

「勘弁してくれよ、古賀と一緒じゃなにも…ぐはっ！」

「アンタは黙ってなさい」

武司は志保に腹を小突かれ、そのままうずくまる。

「お、お前……みぞおちにれやがった……な……」

「ちょっと黙ってなさい！」

武司と志保を見ながら、誠実は先ほどの言葉が間違いだった事に気がつく。

顔を引きつらせながら武司を見ていると、眉間にシワを寄せて志保が誠実に話し掛けてくる。

「誠実君！」

「は、はい！」

「私もあんまりこんな事言いたく無いけど……この人って誠実君の彼？」

「え？　そんな訳ないじゃん」

「ホントに？」

「本當で……イッテ！！　何するんですか恵理さん！」

「別に……」

恵理はつまらなそうな顔をしながら、誠実にそう言う。

誠実はなぜ恵理がそんな事をしたのかがわからず、不思議そうに恵理を見る。

「じゃあ、この人とは何でもないの？」

「當たり前だろ？　なんでそんな事聞くんだよ？」

「………海で沙耶香の事、振ったんでしょ？」

「……ま、まぁ……はい」

振った相手の友人にそんな事を言われてしまうと、真っ直ぐに顔を見れなくなってしまう誠実。

「でも、まだ好きで良いか聞かれて、誠実君はそれを許可したと……」

「は、はい」

「振るなら振るでハッキリ振ってあげてよ……じゃないと、沙耶香も沙も可そうだよ」

志保の言葉はもっともだった。

誠実の答えは、都合良く付き合うをストックしている最低男のようだ。

二人の事を考えるなら、ハッキリと斷って終わるべきだった。