《99回告白したけどダメでした》201話

誠実は夏休みなのに學校に登校していた。

その理由は夏休みの々で忘れかけていた、新聞部の一件である。

「めんどくせー」

「なんで俺たちがこんなことを……」

「寫真に釣られたのはどこのどいつだ?」

「お前らも似たようなもんだろ」

學校に向かう道すがら、健と武司に出會い、誠実は背中を丸めながら學校に向かっていた。

「あぁ、來ちまったな」

「なんでこんな事になったんだけ?」

「元々は新聞部のあの部長のせいだろ?」

「まぁ、その他に各々が弱みを握られたり、餌に釣られたりだけどな……」

「正直、もうチケットなんてどうでも良いんだが……」

「「は?」」

健のその言葉に、誠実と武司が目を見開く。

あのアイドルオタクが、超がつくほどのプレミアムチケットを目の前にしてそんな事を言うなんて、二人には想像できなかったからだ。

「頭でも打ったか?」

「熱でもあるのか?」

「なんだ、急に心配しはじめて」

「いや、アイドルオタクを自稱するお前がそんな事を言うなんて……」

「地震の前れか?」

「俺だって推しが変わることはある」

「え? 乗り換えたのか?」

「いや、応援する気がなくなったから乗り換えだ。今は推しをさがしている」

部室の前で思わず話し込んでしまう三人。

そんな三人に一人の子生徒が呆れた様子で話しをかける。

「あんたら、部室にって話しなさいよ……」

「あ、出たな! 諸悪の源!」

「夏休みに呼び出しやがって!」

「なんでも良いが、俺は帰って良いか?」

「あんたら先輩に向かってその口ぶりはどうなの?」

三人の元にやってきたのは、誠実達の一個上の先輩で新聞部部長の吉田暁(よしだあけみ)だった。

背が低く、フレームの無い眼鏡を掛けており、誠実達を見てため息を吐く。

誠実達は部室にり、作戦會議を始めた。

「はい、じゃあどうやったら部員が集まるかを考えるわよ!」

「「「無い!!」」」

「あんたらぶっ殺されたいの?」

話し合いを始めたは良いが、全く意見が出ない。

やる気の無い三人に暁はイライラし始める。

「あんたら真面目にやんなさいよ! 新聞部でしょ!」

「「「部した覚えは無い!!」」」

暑いこともあり、全員集中できず、話し合いは進まない。

「やっぱり私が言った通り、伊敷君になんとか副會長を落としてもらって……」

「いやいや、それは夏休み前にも……」

「「良いですね、その作戦」」

「え……お、お前ら?」

の提案に健と武司は聲を揃えて同意する。

しかし、誠実は二人がなぜその案に乗ったのか、不思議で仕方なかった。

「いや、そんな事をしなくても部員さえ集めれば……」

「面倒だし、誠実がこのまま蓬清先輩と付き合った方が早いかもな」

「俺たちは何もしなくて良いしな」

「お、お前らなぁ……」

二人が絶対に面白がって言っていることが容易にわかった。

「大無理に決まってるだろ? あんな綺麗な人と、俺みたいな奴じゃ……」

「いや、実際わからんぞ」

「確かこの前ちらっと聞いたが、家に行くとかなんとか言ってなかったか?」

「そうだけど、それは親父も一緒だし」

「親公認じゃないか」

「最高だな」

そんなのは絶対に無理だと誠実は思っていた。

相手は二年で一番モテる子生徒。

一方こちらは、同じ相手に何度も告白をして振られ続けたダメ男。

「やってみなきゃわからないでしょ! 実際もしも功したら、あんな人と付き合えるのよ? 最高じゃない!」

「俺の気持ちも考えて下さいよ!」

「振られたら全力でめてやるぞ?」

「失パーティー第二部だな」

「勘弁しろよ……」

「とにかく! アンタは栞を落とす! 私たちは……無難にチラシをつくって夏休み明けにくばりましょう」

「「りょーかーい」」

「俺の作戦だけ要らないだろ……」

その日の話し合いはこうして幕を閉じた。

「俺は絶対にしないぞ」

「いきなりなんだよ」

「荒れてるな」

學校からの帰り道、健と武司と一緒にファミレスで食事をしていた誠実。

話しているのはもちろん、先ほどの話し合いの事だ。

「先輩はやさしくて良い人なんだぞ? 利用するようなことは出來ない!」

「あぁ、はいはい。それは付き合えてから言おうなぁ~」

「まぁ、そうだけどよぉ……」

「最近誠実はモテるからな」

「そんなのただの偶然だろ? まぁ、地道にチラシを配って部員を獲得するしかねーだろ」

「「面白そうだったのになぁ……」」

「おい、お前ら本音が出てるぞ」

こいつらは相変わらずかと思いながら誠実は二人と別れて家に帰る。

すると、家に帰宅したのと同時に、蓬清先輩から電話が掛かってきた。

「噂をすれば……か」

誠実は呟いたあと電話に出た。

「もしもし?」

『あ、誠実君ですか? お久しぶりです栞です』

「先輩、お久しぶりです」

電話の主は栞だった。

相変わらずの丁寧な口調に、誠実は心しながら話しを聞く。

『私と花火大會に行く話しは覚えていますか?』

「あ……」

すっかり忘れていた誠実。

確か、22日の話しだったなと思いした誠実は、一応予定が無いか確認する。

「お、覚えてるに決まってるじゃないですか!」

『そうですか、よかったです。忘れていたら……』

「え、なんですか! 忘れてたら、俺は何をされていたんですか!!」

『ウフフ……誠実君で遊ぶのは楽しいですね。大丈夫です、何もしません』

「ほんと勘弁して下さいよ……」

誠実は栞に遊ばれ、不満そうにそう言う。

栞はそんな誠実の反応は面白く、上機嫌だった。

『當日は、執事の義雄と車で迎えに行きますので』

「わかりました。それじゃあ……」

電話はそれっきりで切れた。

「先輩と花火か……」

何を著ていこうかなんて事を考えていると、またしても電話が來た。

今度はなんと沙耶香からだった。

あの日からあまり會話をしていないので、張する。

「も、もしもし?」

『あ、誠実君? あのさ……22日って暇? 良かったら私と花火見に行かない?』

「あぁ……悪い、先約があってな……」

『あ……そ、そうなんだ……じゃ、じゃあ仕方ないね』

「ホントごめんな……」

『大丈夫だよ。じゃあ、また一緒にどこか行こうね』

「あぁ、本當に悪いな」

誠実はそう言って電話を切った。

まさか沙耶香までってくるとは思わなかった誠実。

「待てよ……」

もしかしたら、會場で鉢合わせになって気まずくならないだろうか?

などと誠実は考えてしまった。

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