《99回告白したけどダメでした》204話
車は相変わらず豪華で誠実はやっぱり落ち著かなかった。
座り心地の良すぎる椅子、広い室。
そして、異様に距離の近い栞。
「あの………」
「なんですか?」
「近く無いっすか?」
「近くありませんよ? 狹い車ですし、こんなものでしょう?」
「いや……十分広いと思うんですが……」
満面の笑みの栞が隣に居るということが誠実にとっては問題だった。
理由はシンプルで張するからだ。
しかも今日の栞は浴姿。
誠実の目にはいつもの三倍増しくらいに可く見えた。
「先輩、浴似合ってますね」
「ウフフ、ありがとうございます。このまま浴姿にれてもらえなかったらどうしようかと思いましたよ」
栞の黒い浴は彼をし大人っぽく見せていた。
大きな瞳が誠実を見つめ、誠実はそんな視線に赤面し、顔を反らす。
そんな誠実を見た栞はし嬉しくなり、誠実をからかい始める。
「どうして顔を反らすんですか?」
「いや……べ、別に……」
「ふーん……」
「あの……ニヤニヤしながら顔のぞき込むのやめて下さい……」
「なんでですか~?」
「あの……年下をめないでもらえませんか……」
「ウフフ~」
初っぱなから機嫌の良い栞であった。
*
「おかあさん」
「どうしたの奈穂?」
「ちょっと友達とお祭り行ってくる」
「はいは~い」
私は母にそう告げて家を出た。
浴を著るのは久しぶりだったが、一人で著れて良かった。
スマホと財布を持ち、私は友達との待ち合わせ場所に急ぐ。
「あ、奈穂~」
「ごめん、し遅れた」
「全然良いよ~、珍しいよねぇ~奈穂が來てくれるなんて~」
「うん、私も行きたかったから」
待ち合わせ場所には、友人が二人と他に男子が三人居た。
恐らくどっちかが誰かを狙っているのだろう。
數も男でぴったりだし、二人とも浴姿で気合いもっている。
「い、伊敷さん」
「ん? えっと……」
「せ、関口だよ! 同じクラスの!」
男子の一人が私に話し掛けてきた。
顔を真っ赤にして、張している様子が良くわかる。
「あぁ……どうかしたの?」
「い、いや……その、浴……似合ってるね」
「ん、ありがと。早く行こうよ」
「そ、そうだね!」
関口を含めた三人はクラスでも人気のある男子達だ。
クラスの子が良く話しをしているのを知っている。
私達は話しをしながら、祭り會場に向かって歩き始める。
ワックスでがちがちに固めてある髪が、私はあまり好きでは無い。
「そ、そう言えば伊敷って、か、彼氏とかいるの?」
「え………」
突然関口君に尋ねられ、私は直ぐに居ないと答えようとした。
しかし、その言葉を言う前に、友人の子二人が聲を出す。
「そう言えば気になる!」
「奈穂って、モテるのにそう言う話しは一切しないわよね?」
「いや、それは……」
「もしかして……好きな人でもいるの~?」
子二人の質問に私は答えを考え始める。
男子の方も私の回答に興味があるようだ。
「居るよ」
私は考えたすえに正直に言うことにした。
「えぇぇぇ! 誰! 一誰!?」
「同じクラス?? まさか年上!?」
興気味に尋ねてくる友人二人。
男子はなんだかガッカリしている様子だった。
特に関口君が……。
「」
「えぇ~良いじゃん教えてよぉ~」
「ダメ、付き合えたら教えてあげる」
「絶対だよ~!」
私は笑みを浮かべながら友人二人にそう言い、みんなと先を急ぐ。
関口君はなんだか急にテンションが下がっていた。
どうかしたのだろうか?
「……おにぃ、もう居るのかな……」
そんな事を考えながら、私はみんなと一緒に花火大會の會場に向かう。
*
「おい、クソガキ」
「とうとう、ストレートに言ってきたな……」
會場に到著した誠実と栞は車から下りていた。
義雄に別れを告げて、會場の席に向かおうとした誠実と栞だったが、誠実が義雄に捕まってしまった。
「お嬢様に手を出してみろ……貴様を八つ裂きにしてやるからな!!」
「出しませんよ……一俺が何をすると思ってるんですか……」
「そんなもん! 人気の無い茂みの中で……」
「義雄さん……誠実君を困らせてはいけませんわよ?」
「は、はい! も、もうしわけございませんでした!」
本日二度目の栞の黒い笑みに義雄は恐怖を覚え、直ぐさま謝罪し車に戻る。
「それでは、迎えが必要になったら電話しますね」
「か、かしこまりました……」
義雄はそう言ってその場を後にした。
殘された誠実は栞と共に會場に向かって歩き始める。
大きな花火大會だからか、人はかなり多い。
「やっぱり人多いですね」
「そうですね……ここははぐれないように手を繋ぎましょう!」
「え! で、でもそれだとまるで……」
「まるで?」
「い、いや……その先輩が良いなら良いんですけど……」
「はい、私は全然気にしませんよ!」
「なんで、そんな嬉しそうなんですか………」
興気味に言う栞の態度に誠実は疑問を浮かべる。
そんな誠実を他所に、栞は誠実の手を取り歩き始める。
そんな栞のらかい手の平に、誠実はまたしても顔を赤らめる。
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