《99回告白したけどダメでした》207話
*
「へっくし!」
「あら? 風邪ですか?」
「いや、なんか急に鼻がむずむずして……」
奈穂と綺凜が遭遇しているその頃、誠実は栞と共に観覧席に向かっていた。
観覧席は自由席と指定席に別れており、誠実達は自分たちの席を探している途中だった。
「えっと……俺たちってどこの席ですかね?」
「もっと前の方ですよ」
「え? もっと前って……もしかして指定席ですか?」
「いえ、もっともっと前ですよ」
「え? それって何席ですか?」
不思議そうに誠実が尋ねると、花火大會の運営委員の人が數人走ってこちらにやってきた。
「こ、これはこれは蓬清様! いつもお世話になっております!」
「あ、いえいえこちらこそ」
「ささ、どうぞこちらへ! VIP席はこちらですので!!」
(VIP席!? 流石は蓬清財閥……)
誠実と栞は運営委員のおじさんに連れられ、一番前の広くゆったりした席に案される。
「お飲みでもお持ちしましょうか?」
「いえ、先ほど購して來ましたので大丈夫ですよ」
にこやかに答える栞だが、心は早く誠実と二人きりにしてしかった。
VIP席は他の席からは離れており、しかも他のVIP席とも離れている。
人の視線があまり気にならないので、栞にとっては最高のシチュエーションだった。
しかし……。
「本日はお父様とお母様はこちらにいらっしゃらないのですか?」
「は、はい、父と母は他に用事が……」
「そうでしたか! よろしければ花火の種類のご説明など……」
「い、いえ! お忙しいでしょうし……私には構わず……」
「いえいえ、そんな事は……」
「ほ・ん・と・う・に! 良いですから、早く戻ってください」
「は、はい! し、失禮しました!!」
栞はとうとう鬱陶しくじたのか、栞は笑顔のままで後ろから黒いオーラを放ち運営委員會のおじさんを追っ払う。
誠実は席のすごさにしていたので、そんな栞には気がついていなかった。
「あれ? もう話しいいんですか?」
「はい、大丈夫です」
「そうですか。しかし……凄いですね……俺VIP席なんて始めてですよ」
「そうなんですか? ここは見やすくて良いですよ」
「そうですね、こんな間近で見れるなんて思ってもみませんでしたよ!」
誠実の興した様子を見て栞は笑みを溢す。
打ち上げまであと數分、誠実と栞は焼きそばを食べながら打ち上げを待っていた。
「こんな立派な席でも焼きそばは焼きそばですね」
「それは當たり前じゃないですか」
「でも、こうしてるとなんだか……」
「え……」
誠実の言葉に栞はし期待をする。
デートみたいだと言って貰えれば、しは希が持てる。
栞はドキドキしながら誠実の言葉を待った。
そして誠実は……。
「金持ちになった気分です!」
「あ……はい……そうですか……良かったですね……」
「はい!」
嬉しそうにそう言いながら、誠実は焼きそばを食べる。
あの屋臺のおじさんからも言われていたのに、なんでその言葉が出てくるのだろうかと栞はがっくりと肩を落としながら焼きそばを食べる。
「はぁ……私の路は通そうです……」
「ん? 何か言いました?」
「別に何でもありません!」
「あれ? なんか怒ってます?」
「怒ってないです!」
(いや、怒ってるじゃん……なぜ?)
誠実はぷんぷんした様子の栞を見ながら、不思議な顔で焼きそばをすする。
その時、急に大きな音がして辺りが明るくなった。
「あ、始まったみたいですよ先輩!」
花火大會が始まり、花火が打ち上がり始める。
誠実と栞は空に打ち上げられた、とりどりの花火に視線を奪われる。
「いやー凄い迫力っすねー!」
「そうですね」
花火の迫力に興する誠実。
そんなし子供っぽい誠実を栞は可いと思いながら、視線を送る。
誠実は花火に夢中でそのことに気がついていない。
栞はそんな誠実を見ながら、しづつ距離を詰める。
そして……。
「えっと……先輩?」
「なんですか?」
「あ、あの……肩に……」
「重たかったですか?」
「い、いえ! そんなことは……しかし……」
栞は誠実の肩に頭を乗せ、その狀態で花火を見ていた。
*
時間はし戻って、綺凜と沙が奈穂に遭遇していたところに戻る。
奈穂は綺凜と沙と別れ、友人達と屋臺を回っていた。
「ねぇねぇ! さっきの人たちもモデル仲間の人!?」
「凄い綺麗な人だったね!」
「やっぱりモデルってすげーな」
「オーラがあったよな」
「お、俺は伊敷の方が……」
聞かれた奈穂は面倒だと思いながらも友人の質問に答える。
「あの人達はお兄ちゃんの……友達よ」
「えぇ! 奈穂のお兄さんってもしかしてモテるの!?」
「えっと……まぁ、普通なんじゃない? 私はわからないかな……」
「へぇ~、兄妹揃って男なんだろうねぇ~」
「良いなぁ~」
奈穂は苦笑いをしながら友人達の言葉に答える。
確かに最近異様にモテるが、別にイケメンではないし、この二人が會ったらきっと期待外れに終わるだろう。
それは別に良いのだが、期待させてしまっている分、遭遇した時にガッカリされるのもなんだか気の毒だ。
「い、伊敷ってお兄さんが居たのか!?」
「え? うん。言ってなかったっけ?」
そう聞いてきたのは、奈穂に好意を抱く関口だった。
「ど、どんなお兄さんなんだ?」
「えっと……まぁ、一言で言うと……馬鹿?」
「な、仲良いのか!?」
「まぁ、良い方じゃないかな?」
「そ、そうなのか……」
それを聞いた関口は奈穂に背を向けてぶつぶつ獨り言を言い始める。
「シスコンの兄貴だったら………いや、伊敷のお兄さんだし……」
「おーい、関口行くぞー」
「あんまり遅いと置いてくぞ」
他の二人の男子にそう言われ、関口は急いで友人達のところに戻る。
「おい、しっかりしろよ!」
「お前が伊敷に告るっていうから、子と花火大會っていう企畫を準備したんだぞ!」
「あ、あぁわかってるよ」
そもそもこの花火大會に行こうと企畫したのは、この男子三人であった。
中學最後の夏休み、関口のを応援しようと関口の友人二人の協力で企畫されたものだった。
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