「ところで、何をプレゼントするんだ？」

「寫真立てだよ」

「おぉ、誠実にしてはマシだな」

「俺にしては、ってどう言う意味だよ」

「さっき言ったけどよ、別に普通に渡せば良いんじゃねーの？　何張してんだよ」

武司の言うことも最もなのだが、ちゃんと誕生日プレゼントを渡すのはし張する高志。

最近は奈穂の様子も変な事もあり、高志にとってはこんなどうでも良いことでも悩んでしまう問題だった。

「まぁ、どうだけどよ……」

「だろ？　はい、じゃあこの話しは終わりだ！！　夏休みもあとしだし、どこかに遊びに行かないか？」

「良いけど、俺はそこまで金無いぞ？」

「マジか、健は？」

「俺は若干殘ってるが……言い出しっぺの武司はどうなんだ？」

「え？　俺は………すまん、誰か金貸して」

「「ねーのかよ！！」」

結局、武司の金が無い問題があり、誠実達はその場で解散となった。

誠実は家に帰る道すがら、普通に渡すとはどういうことなのかを考えていた。

「普通か……はい、これプレゼント！　うーむなんか軽い気がする……」

考えている間に家に到著してしまった。

玄関を開けると、誠実の両親が帰ってきていた。

「ただいま」

「あぁ、おかえり」

喪服姿の二人に誠実はそう言う。

誠実の父親はソファーにを預け疲れをとり、母親は冷蔵庫から出した麥茶をコップに注いで飲んでいた。

「今年もお疲れ様」

「あぁ……毎回この日が憂鬱でな」

「來年の事を考えたら私はもっと憂鬱になるわよ……ねぇ、本當に來年言うの？」

「決めただろう……それにあの子も大人だ……知らないままと言うわけにはいかない」

「……奈穂……ショックをけるわよね」

「まぁ……そうだろうな」

誠実は二人の話しを聞きながら、自分も冷蔵庫から飲みを取り出して飲む。

「あいつなら大丈夫だよ……なんたって母さんの娘だろ？」

「あぁ……それは一理あるな！　たまにうるさいけど」

「親父、それって本當にたまにか？」

「ほぼ毎日」

「「アハハハ！！」」

「ん、んんん！！　なんか言った？」

「「ごめんなさい何でも無いです」」

誠実と誠実の父親は鬼のような形相の母親に土下座をする。

よほど頭にきたのだろう、誠実の母親の額には管が浮き出ていた。

「ハァ～ア……あの二人が生きていればなぁ……」

「やめてよ……悲しくなるでしょ」

「そうだけどよ……」

誠実の父親はそう言いながら、自分の財布から寫真を撮りだした。

そこに映っているのは、若かりしころの誠実の両親と綺麗なと爽やかな男が楽しそうに寫っていた。

「この二人が？」

「あぁ……奈穂の本當の両親だ」

「そうなんだ……この二人の伝子だったら、あれだけの人が生まれてきたのにも納得がいくな」

「うちはお父さんがこれだかね……生まれてきたのもこれだし」

「これってなんだよ！！　息子に対して失禮だろ！！　親父はどうでも良いけど……」

「おい高志！　しは父親のフォローをしろ！」

誠実の父親が言ったとおり、奈穂の両親は別に居る。

その事実は奈穂以外の全員が知っていた。　高校に學した誕生日に、誠実達はこの事実を奈穂に伝えようと昔から決めていた。

「……奈穂の両親……奈穂の長を見たかっただろうな……」

「そりゃあそうだろう……あんなに可い子だ……」

「そうね……きっと天國で見守っているわよ……」

「よし、この話しはもう終わりだ。今日は奈穂の誕生日だし！　何か食べに行くか！」

そう誠実の父親がんだ瞬間だった。

リビングのドアが勢いよく開き、誰かがリビングにってきた。

誠実達三人がドアの方を振り向くと、そこには……。

「み、奈穂……」

「お父さん……さっきの話し……どういうこと……」

ドアを開けたのは、モデルの仕事を終えて帰ってきた奈穂だった。

誠実達は驚き、全員が奈穂に注目する。

奈穂は父親にゆっくり近づきながら、今にも泣き出しそうな表で尋ねる。

「い、いや……そ、その……は、早かったんだな……」

「誤魔化さないで！！　私はお父さんとお母さんの子じゃ無いの！？」

「み、奈穂、し落ち著きましょう」

「落ち著ける分けないでしょ！！　じゃあ何？　私は……私だけが……この家の人間じゃないの？」

「み、奈穂！！　し落ち著いて親父達の話しを……」

誠実がそう言うと、奈穂は誠実の顔を見て尋ねる。

「おにぃは知ってたの！？」

「そ、それは……」

「なんで……なんで早く言ってくれなかったの！！」

「いや……それはお前がもうし大きくなってからって……親父達と……」

「なんで……なんで早く言ってくれなかったの……」

奈穂はそう言うと、ドアを出てそのまま外に走って行ってしまった。

「奈穂！！」

誠実は大聲を出して奈穂を呼ぶ。

しかし、奈穂は止まらず、そのまま家の外に行ってしまった。

「まずいわよ！　早く探しに行かなきゃ！」

「わ、分かってる！！　あの子の神狀態じゃ、何をするか分からないぞ！！」

自分がこの家の子では無い。

それを知った中學生の神狀態は不安定だろう。

頭も混して、正常な判斷が出來ないかもしれない。

誠実達は奈穂を探す為に、直ぐに家を出た。

「奈穂……」

誠実は自分の言った言葉を思い出し、自分に腹が立った。

「何が大丈夫だ……いくら気が強くても……あいつはただの子中學生じゃないか……」

誠実は走って奈穂を探した。

しかし、奈穂はどこにも居なかった。

電話にも出ず、誠実は焦りをじていた。

「くそっ……どこに行ったんだ」

誠実は駅前を探していたが、奈穂の姿はどこにも無い。

別なところを探してみようとしたところ、誠実はある人とであった。

「あら？　誠実君、どうかしましたか？」

「え？　あ……先輩……」

そこに居たのは優しく微笑む栞だった。