《99回告白したけどダメでした》217話

*

誠実が奈穂を探し始めてから一時間が経過しようとしていた。

時間が経てば経つほど誠実は奈穂の事が心配で仕方なかった。

奈穂……一どこにいったんだ……」

誠実が奈穂を探し河原の方を歩いていると目の前から見慣れた二人組が歩いてきた。

「ん? 誠実じゃないか」

「こんなところで何をしてるんだ?」

「健、それに武司も……お前らこそ何してるんだ?」

目の前からやってきたのは健と蟲網を持った武司だった。

「蟬を捕りに行ってきた」

「俺はそれに付き合ってきただけだ」

こいつらは一何をしているのだろうか……。

なんて事を思いながら、誠実は肩を落としさっさとその場を離れて奈穂を探しに行く。

「じゃあ、悪いけど俺は先を急ぐから」

「ん? なんだ見ないのか? 蟬」

「見ねーよ」

「まぁ、武司のアホは放って置くとしても……なんでそんな急いでるんだ?」

「いや……ちょっとな……」

誠実と奈穂が本當の兄妹では無いことを武司と健は知らない。

奈穂のこともあるので、誠実は誰にもこの事実を話さずにしていた。

しかし、誠実の様子がおかしい事に健と武司が気がつき誠実を問い詰める。

「何かあったのか?」

「蟬取れなかったのか?」

「武司、お前はし黙れ」

「あ、いや……その……」

奈穂にこの事実がバレてしまった以上、この二人に隠しておく理由も無くなってしまった。

それにこの二人なら訳を話せば協力してくれるかもしれない。

誠実はそう思い二人の方を向く。

「俺の蟬分けてやろうか?」

「だから、蟬関係じゃないだろ」

(こいつらに話して本當に大丈夫だろうか?)

そんな自問自答をしつつも誠実は二人にすべてを打ち明けた。

「……隨分込みった話だな」

「てか……え? マジで? お前と奈穂ちゃんて、繋がって無いの?」

「あぁ……俺も中二の時に初めて聞いたんだけどな……」

「そりゃあショックだろうな」

「俺たちも手伝うぜ! 奈穂ちゃんは俺らにとっても妹みたいなもんだしな!」

「そうだな、あの子には世話になった事もあったしな」

「悪いな二人とも」

「良いってことよ! 良し健! まずは山に行くぞ!」

「武司……お前は蟬を探したいのか? それとも奈穂ちゃんを探したいのか?」

「良いから行くぞ!!」

「引っ張るな」

武司は健を引っ張ってそのまま行ってしまった。

本當に大丈夫だろうか……なんて心配に鳴りつつも誠実は再び奈穂を探しに走る。

「本當にどこに行ったんだ……」

駅前、學校周辺、河原など々なところを探し回ったがどこにも居なかった。

電話も掛けて見てはいるが繋がらない。

「あとは……公園か……」

昔二人でよく行った公園。

あと誠実が思いつくのはそこしか無く、誠実はその公園に向かった。

奈穂は公園のベンチで一人膝を抱えていた。

なんだかさっきまで違う世界に居るような、そんなじがする奈穂。

世界で自分だけがひとりぼっちのような気がして寂しさをじる奈穂。

「……お母さんもお父さんも……本當の両親じゃない……」

じゃあ一自分の両親は誰なのだろう……。 そんな事を奈穂は考えていた。

ぼーっとしていた奈穂の元に誰かが近づく。

「はぁ……はぁ……」

「……何よ」

「はぁ……お、おまえ……さ、さがしゲホッゲホッ!!」

「疲れ過ぎじゃ無い?」

奈穂の目の前に現れたのは、息を切らせた誠実だった。

々なところを探し回った誠実は、かなり疲れていた。

「わ、悪い……や、休ませて……」

「……さっきまでのシリアス展開はなんだったのよ……」

奈穂はそう言いながら、自分の隣を開けて誠実を座らせる。

「はぁ……つ、疲れた……」

「何しにきたのよ……」

「迎えに來たんだよ」

誠実は奈穂の方を見てそう言う。

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