《代わり婚約者は生真面目社長に甘くされる》14
どこか上の空で、だけどもわたしは例のワンピースを取り扱っている店に寄り、サイズを確認して購した。こういうのは思い立った時に買わないとずるずると後回しにしてしまうためだ。
紙袋に金の文字で刻印された店名を指でなぞりながら私は私の気持ちに対して改めて考えてみる。
好き? 悠馬さんのことを?
いやいやいや、なにか勘違いしているだけだ。一緒に住んで、近い位置にいるから何か勘違いしているだけだ。
二週間も同じ屋の下で暮らしていたら、そう思ってしまうこともあるだろう。
――好きになってはいけない人なのに。
かり、と紙袋を爪で引っ掻く。がシールのように爪で剝ぎ取れるのならば、良かったのに。
「つばき」
口の中で呟いた。
「これはあなたが持つべきじゃないの?」
本來なら、悠馬さんとつばきが育んでいく関係で、芽生えていくのはずだ。
だから、代理の「私」ではない。私のものではない。
これ以上考えないようにを押し込める。だけれど、きっとまた膨れ上がっていくことは予想できていた。
□
玄関を開けると髪をタオルで乾かしている悠馬さんがいた。
上半で。
「きゃ!?」
「おかえり」
「た、ただいま――どうしたの?」
「別に、風呂を上がったタイミングでつばきさんが帰ってきたから出迎えに來ただけ」
「あ、そうなんだ…ありがとう」
そうだとしても上を著てほしい。目のやりどころに困るというか…あの、家の中だからいいのだけど、刺激が強すぎるというか。
すらりとした形だと思っていたが、実際には引き締まった筋質なだった。著やせするタイプなのだろう。
「湯冷めしちゃうから早く上を著て!」
「それ以外にも何か理由があるんじゃない?」
悠馬さんにしてはめずらしく、いたずらっぽい表をした。
あんまりにも不意に見せた顔だったので私は真っ赤になってしまう。
「い…いいから!」
「はいはい」
もう、なんだってこんな、がごちゃついている時に!
意識してしまうじゃない!
服を著ながら「そういえば」と悠馬さんは言う。
「晝間のワンピースはどうなった?」
「買ってきたよ」
「え」
彼は目を丸くさせる。
「早いな。良かったのか?」
「うん。どれにするか迷っていたし、」
悠馬さんに選んでほしかった――とは気恥ずかしくて言えなかった。
私は誤魔化して笑う。
「…似合うと良いな」
「つばきさんは何だって似合うよ」
「あはは、お世辭でも嬉しいな」
「お世辭ではないよ。――きっと、淡いブルーのドレスも似合うと思う」
「え?」
淡いブルーの…ドレス?
なにか記憶をゆすぶられた気がした。思考の奧底で、空の可らしいレースが掠めたような…。
ぴかぴかの白い靴、カラフルな髪飾り、それから――
――ずきりと傷痕が痛んで我に返る。これ以上思い出すのを拒むかのように。
「悠馬さんは青が好きなの?」
意図が分からず問えば、悠馬さんはほほ笑みながら頷いた。
「ああ。小さいころからずっと」
「そうなんだ――じゃあ、青いものが良かったかな?」
「気にしなくていいよ、つばきさん。今回のネイビーもつばきさんにしっくりくるだろうなって思っているし」
う、なんて真っ直ぐな目で言うんだ。それこそ冗談めかしてくれてもいいのに。
「そうだ、ひとつ気になったことがあって」
「なに?」
「首周りが広いから、當日はネックレスかなにかする?」
「確かにそれは私も考えていたけれど…この服に合うもの持っていないから、このままでいく予定だった。駄目かな?」
「いいや。確認で聞いただけ」
何の確認だろう。
でも最近のは首周りをすっきり見せるデザインも流行っているし、似合わないネックレスよりは何もつけないほうがいいだろう。
私もそろそろフォーマルな場でつけるアクセサリーを買ったほうがいいのかもしれない…。でもほんの思い付きで買うには高いから込みしてしまうんだよね。
リビングで紙袋からワンピースをだし、ハンガーにかける。店と家で服の印象が変わるのは何故だろうか。
「ああ、いいね」
「うん。袖口のレースとかかわいい」
「この袖、七分丈よりちょっと長いんだな。この季節にし暑くない?」
「…大丈夫だよ」
「そうか」
極力傷痕は曬さないように。
部屋で著替えをするときに気を付ければバレることはないはずだ。お風呂は所にカギあるし。
「でも張するなあ。人見知りってわけではないんだけれど、私うまく挨拶できるかな」
「平気だよ。なにかあっても俺がフォローするから」
「ふふ、頼もしいね」
まあ、挨拶以前にあやめというボロを出さないようにしなくてはいけないわけで。
今からちょっと不安を覚えつつ、カレンダーを見る。…日曜日までもうし。
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