《【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族~》第3章 家族 兄妹 !?(2)今度は回転壽司に行きましょう
今週は殘業続きだったが、締め日當日の金曜はさらに遅く、終わったのは九時近かった。
「おわっ、たー」
さすがにドイツメーカーとの契約の話と同時進行で締めとなると、忙しさは倍増だ。
「三ツ森はまだいるのか」
帰ろうと準備をしていたら、なぜか仁が降りてきた。
「はい、まだいますけど……」
もしかして、いまからさらに仕事? とか警戒しながらも手を上げる。
「一緒に帰るぞ」
ざわっ、と目に見えて部にいる人たちがざわめく。
あとで大変なことにならなきゃいいんだけど。
「えっ、あのっ」
「なにをしている、早く帰るぞ」
「あっ、はい!」
軽く仁はイラついていて、とりあえずバッグを摑んでその後に続いた。
「今日は食事をして帰るぞ」
地下駐車場には降りず、一階の裏口から出た。
「一度出てくる。
あとで車を取りに戻る」
「はい!
かしこまりました!」
警備員に聲をかけ會社の敷地を出た仁は、私の手を摑んで歩きだす。
し歩いてったのは、壽司屋だった。
「……あの。
ここってお高いんじゃ」
ついつい、カウンターで隣に座る仁にこっそりと訊いてしまう。
回らない、ってだけでも恐れ多いのに、職人と向かいあうカウンター席のみの店。
しかも職人は仁と一緒で、笑顔どこに忘れてきた?ってじで厳しそうだ。
もう全てがいかにも、私が場違いな雰囲気を醸し出している。
「悪かったか?
……すまない。
僕はこの近辺の、接待で使う店しか知らないんだ」
仁のいままでの生活を思いだし、急いで首を振った。
お腹が空いてもなにも食べないか、そこにあるものをなんでもいいから摘まむ。
そんな、全く食にかまわなかった人が、知っているお店なんて限られている。
「いえ、かまいません」
それに今日はきっと、いまから帰って作るのは大変だろうという気遣いだと思うし。
それでなくても今週、仁からはサンプルお菓子の夕食を何度か提案されたくらいだ。
「それに高級だとか気負うことはない。
たかが壽司だ」
おしぼりで手を拭き、仁は職人に今日のお勧めなど訊いている。
仁にとってはもしかして、空腹を満たすために食べるお菓子も、このお壽司も一緒なのかもしれない。
そう考えたらおかしくて、し張が解けた。
「おまかせでいいか」
「はい。
あ、でも、青魚は苦手なので、避けていただけると……」
「かしこまりました」
にこりとも笑わずに職人から返事をされ、反的に姿勢がびた。
目の前に出された壽司を口にれる。
「……!」
はしたないこととわかっていても、仁の肩をバンバン叩くのを止められない。
もう百円の回るお壽司が霞むほど、ネタが口の中から消えていくのにあわせて、シャリがほろほろとほどけていく。
しかも本當にこれがいつも食べているのと同じ魚!? ってくらい、臭みがなくて旨味をじる。
「そんなにうまいか」
ぶんぶんと勢いよく、首を縦に振った。
味しすぎて言葉にできない。
「僕は、涼夏が作ってくれる食事の方がうまいと思うけどな」
ふっ、と小さく笑い、仁はパクリとエビのお壽司を口にれた。
これより私の作る料理の方が味しい?
そんなこと、あるわけがない。
仁のお世辭はちょっと過ぎている。
もう遅いのに、お腹いっぱい食べさせてもらった。
勧められてお酒がったのもあって、店を出たときにはいい気分だった。
「仁ー、今日はありがとうございました」
「別に?
いつも頑張っている涼夏にご褒だ」
私の手を摑んで歩きながら、仁はくすくすおかしそうに笑っている。
なんだかそういうのが、幸せだなーってじた。
「このお壽司もよかったんですが今度、回転壽司に行きませんか」
「回転壽司?」
「味は天と地ほど違いますけど、家族で行くお壽司といったら、やっぱり回転壽司なのでー」
回転壽司に行ったことがないわけじゃない。
ブラウナランドとは違い、こちらは何度か母とふたりで行った。
でも、家族連れの多いあそこで母子ふたりは浮いていて、心の底から楽しめなかった。
けれど、仁となら。
ブラウナランドもあんなに楽しかったのだ、絶対に楽しいに違いない。
「そうか。
ならぜひ行こう」
「はい、約束ですよ」
「ああ」
小さい子のように、小指を絡めて約束した。
こんなに満ち足りた気分はいつ以來だろう。
仁と義兄妹になると知ったときは最悪だと思っていたが、いまでは最高だ。
【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族戀愛~
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下著泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 當たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏 24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以來、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 戀愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を與えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以來、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 表紙畫像 湯弐様 pixiv ID3989101
8 107妹は兄を愛する
初めて好きになった人は血の繋がった二歳年上のお兄ちゃんだった。私が世界で一番欲しいのはたった1つ。大好きなお兄ちゃんの「愛」。
8 186部活の後輩と付き合ってみた
部活の先輩である僕と同じ部活の後輩が 付き合う事になった。 日々テンション高めで甘えてくる時はかなり 甘えてくる後輩と お人好し過ぎて周りに心配されている僕との いちゃいちゃ話。 そしてそれを見ている周りの人達との日常を 描くラブコメ 「センパイ!これで私たちのイチャイチャを 見せつけてやりましょう!」 「君は1度落ち著こうか?」 果たしてどうなるのやら?
8 70あえて鈍感のふりをしてみた
お父さんが新しいお母さんと再婚することになった! それと同時にアメリカ留學していた裕太は日本に帰ることに そして、ものすごく可愛い妹が一人できるみたい かなり俺のことを好意的に見てるみたいだけど、これってもしかして鈍感なふりをしたらいっぱい甘えてくれるとか? ありえるよね!よし、そうしよう! 軽音要素多めです。苦手な人はブラウザバック。 ちなみに筆者はバレー部です笑 初投稿なのでミスなど指摘してくれるとありがたいです かなり誤字あるみたいですすみません! 指摘され次第すぐに直します! コメントも待ってます! ツイッターアカウント作りました!フォローしてちょ @yamataro_364 DMやリプも受け付けてます 表紙描いてくれる人募集中!! 740フォロー、640いいね、ありがとう!!! 投稿再開!!
8 124彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…
女性向け、悪の組織派ラブコメ。--- 普通のダサメガネ女子高生の雪見時奈はバイト帰りに悪の戦闘員らしき男に水を渡した。 しかしその男はアイドル顔のイケメンクソサイコ金持ちだったのだ! 私の平穏な貧乏生活は一體どうなるのだろうか? ※お話によって戦闘シーンで暴力描寫がある場合がありますがそこまで酷いものではないと思います。 基本ラブコメですが性的表現は控えております。お試し投稿中です。応援いただければ幸いです…。 基本はヒロイン視點のお話ですが彼氏視點になったり他キャラ視點になったりもします。
8 128お嬢さまと犬 契約婚のはじめかた
「おねがい久瀬くん。お金あげるから、わたしと結婚して」 幼い頃の事件で心に傷を抱えたひきこもりの畫家・鹿名田つぐみと、久瀬 葉は半年前に結婚したばかりの新婚夫婦だ。 繊細なつぐみとおおらかな葉。表向きは仲睦まじいふたりだが、じつは葉はつぐみが不本意な見合いから逃れるために3000萬円で「買った」偽りの夫であり――。 お金で愛を買った(つもりの)少女×買われた(ことにした)青年の、契約結婚からはじまる、面倒くさくて甘くて苦い戀。 第2部連載中。 【登場人物】 鹿名田 つぐみ(19歳) 戀人のヌードと花を描く「花と葉シリーズ」のみ発表する畫家。 もとは名家の令嬢。見合いから逃れるために葉を3000萬で買った。 久瀬 葉(23歳) つぐみの専屬モデルで、続柄は夫。 素性不明の貧乏な美青年。
8 193