《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom2 災い転じて同居が始まる【2】
「香月、今は赤塚と住んでるんだって?」
「あ、うん。敦子から聞いたの?」
「ああ。香月が飲み會を抜け出したことも、赤塚が教えてくれたんだ」
「挨拶もしないで出てきちゃってごめんね。さっき、今は求職活中ってことは話したでしょ? でも実は、住むところもなくて……。ゴールデンウィーク中に住んでたアパートで火事があって、部屋を出るしかなくなっちゃったの」
大家さんの話では、被害をけた家電などは保険で賄えるものもあるらしい。ただ、どちらにしてもあのアパートはもう取り壊しが決まっている。
「それで、引っ越し先が決まるまでの間だけお世話になるつもりだったんだけど、結局は一ヶ月も居座らせてもらってて……。そんな狀態だから、本當は今日も參加するつもりじゃなかったんだ。仕事先も家も、早く探さないといけないし」
「赤塚、引っ越すって言ってたよな?」
「うん。今の部屋は今月いっぱいまでなの」
敦子はさっき、引っ越しの件と婚約したことを報告していた。私はそれに補足をした上で、「でもこれまで助けてもらっただけでも充分すぎるから」と笑う。
「香月はそのあとどうするつもり?」
「本當は仕事が決まってから家を探したかったんだけど、悠長なことは言ってられないし、ひとまず來週にでも家を決めてしまおうかなって。仕事よりも先に家を決めるのは、ちょっと不安なんだけどね。でも、実家も頼れないし、それが一番かなって」
このまま無職の狀態が続けば、マンスリーマンションは不経済だ。もちろん、そんな想像は現実にならないでほしいけれど。
それに、できれば東京とうきょうにいたいという気持ちがある。いつかまた、容師として復帰したい思いはなからずあるし、そのときには都の店で働きたい。やっぱりファッションや最先端の技なんかは、東京は地方とは一線と畫するからだ。もともと、そのために上京を視野に験をし、東京の専門學校とサロンをけたという経緯もあって、このタイミングで出戻るのは嫌だった。
「でも、就活って思ってたより大変なんだね。容師のときは、特に就活なんてしなくても就職先が決まったから、まさかこんなに苦戦するとは思わなかったよ。資格を活かせない職を選ぼうとしてるのがいけないのかもしれないけど……」
「香月、なにかあった?」
「え?」
「昔はあんなに容師になりたがってたし、努力家で真面目な香月ならきっとすごく頑張ったんだろうなって思う。でも、資格を活かせない職ってことは、容師をするつもりはないってことだろ? 香月がそう思うなら、なにかあったのかなって」
「諏訪くん、買い被りすぎだよ。私、そんなに真面目じゃないし、努力家ならもっと容師として頑張れたはずだもん」
「でも……さっき、全然上手くあしらえなかったって話をしたとき、香月は『容師だったときも』って言ったよな?」
自嘲混じりの微笑をらせば、諏訪くんが心配げに眉を寄せる。
「……引かないで聞いてくれる?」
職を失った言い訳をしたくて、彼を見つめて問う。
「ああ、絶対に引かない。約束するよ」
力強く頷いてくれた諏訪くんは、あの頃のままの優しさを見せてくれた。私はすっかりかっこ悪くなってしまったけれど、せめてしだけ言い訳をさせてほしい。
「私ね……上司や同僚と上手くいかなくて、辭めたの……。その、パワハラとかセクハラ……されちゃって……」
語尾が小さくなっていく私に、彼は目を大きく見開いた――。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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8 131俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
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8 141狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著愛〜
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。 とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。 そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー 住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに觸れ惹かれていく美桜の行き著く先は……? ✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦ ✧天澤美桜•20歳✧ 古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様 ✧九條 尊•30歳✧ 誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社會の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心會の若頭 ✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦ *西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨ ※R描寫は割愛していますが、TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。 ※設定や登場する人物、団體、グループの名稱等全てフィクションです。 ※隨時概要含め本文の改稿や修正等をしています。文字數も調整しますのでご了承いただけると幸いです。 ✧22.5.26 連載開始〜7.15完結✧ ✧22.5 3.14 エブリスタ様にて先行公開✧ ■22.8.30より ノベルバ様のみの公開となります■
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