《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom2 災い転じて同居が始まる【8】
港區みなとくの一角にあるこのマンションは四階建てのようで、諏訪くんがモニターの傍にカードキーをかざせば『Ⅳ』のパネルがる。すぐに四階に著き、ドアが開いた。エレベーターを中心に左右に廊下が広がっていて、両方の突き當りにドアが一枚ずつある。彼は私のキャリーバッグを持ち、「こっちだよ」と左に向かって歩き出した。
慌てて後を追いながらも、違和が大きくなっていく。部屋の前で足を止めた諏訪くんは、センサーにさっきのカードキーをかざし、ドアを開けて微笑んだ。
「どうぞ」
「あの、ここって……」
「ほら、早く」
疑問を紡ぐ暇もなく急かされ、私は広い玄関に込みしそうになりながらも「お邪魔します」と小さく言い、いだパンプスを揃える。最奧のドアまで行くように告げられ、ゆとりのある廊下を進んだ。後ろからびてきた手がドアを開けると、モデルルームのようなリビングが視界に飛び込んできた。
「ここ、寮じゃない、よね……?」
確信を持ちながらも戸っていた私に、彼がにっこりと笑みを湛える。
「寮だよ? ただし、香月専用だけど」
「ええっ 」
「大家は俺……あ、この場合は寮監って言った方がいいのか? まぁとにかく、ここは俺の家だけど、部屋なら余ってるから遠慮しなくていい」
「ま、待って……! そんなの――」
「でも、他に住むところなんてないだろ?」
「それは……」
「赤塚の家はもうすぐ引き払うし、仕事はうちに來るとしても、家を借りるなら敷金禮金はそれなりにかかる。ここは會社からも近いし、セキュリティも萬全だから」
「で、でも……だからって……」
「それに、ここにいたら香月を助けてあげられる。もちろんずっと住む必要はないし、落ち著いて家を探せるときが來れば不産屋も紹介するよ」
揺と困で冷靜さを欠いた私は、諏訪くんの行が理解できない。一方で、彼はなんでもないことのように言ってのけたかと思うと、おもむろに眉を下げた。
「赤塚から香月のことを頼まれたし、ここで香月に斷られたら赤塚の信頼を裏切ることになるな……」
今の諏訪くんは、まるで捨てられた子犬のような目をしている。そんな顔で見つめられてしまったら、全力で拒否できない。
「男とふたり暮らしなんて不安かもしれないけど、焦って部屋を見つけてセキュリティが萬全じゃなかったり、隣人が変な奴だったりしたら困るだろ? ひとまず落ち著くまではここにいて、今後のことはゆっくり考えればいいんだよ」
優しく、當たり前のように説明されると、確かにその通りだと思いそうになった。
(で、でも……同居ってこと、だよね? 確かに、敦子にはこれ以上甘えられないし、諏訪くんのことは信頼できるとは思うけど……。だからって……)
仮にも相手は男で、學生時代には好きだった人。もっと言えば、初で、ずっと忘れられなかった人。
(そんな人と一緒に住むなんて……)
そこまで考えて、頭をブンブンと振る。やっぱりここは斷るべきだ。
「あの、諏訪くん――」
「とりあえず、仕事のことも説明したいし、コーヒーでも淹れるよ」
「え? いや、あのね……っ」
アイランド型のキッチンに行った彼を追いかけると、優しい笑みを向けられた。
「大丈夫だよ。俺の目の屆くところにいてくれた方が守れるし、香月には安心して暮らしてもらえるように努力する。もちろん、香月が嫌がることは一切しない」
真っ直ぐな瞳に、たじろいでしまう。
「それとも、俺のことは信頼できない?」
すると、その一瞬の隙を突くように、諏訪くんが不安そうに眉を寄せた。そんなことはない、と言うように、咄嗟に勢いよく首を振ってしまう。
「じゃあ、決まり。今日からここが香月の家だ」
ふわりと瞳を緩める彼につられて頷いてしまったのは、その直後のこと。
斷るつもりだったはずが、諏訪くんの笑顔を前にすると流されていく。ずっと災いばかりの日々を送っていたのに……。なぜか突然、初の彼との同居が始まることになったのだった――。
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