《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom6 堰かれて募るの……なんて言うけれど【4】
初めてった諏訪くんの頬はらかで、骨張った手とはまた違ったが伝わってくる。ただ、彼の溫はしっかりとじ取れる。
(でも……これって、ちょっと……)
思っていたよりもずっと、恥ずかしい。勢いに任せればなんとかなるかと考えていたけれど、わったままの視線すらかせないほど張している。
熱いのは、私の手か諏訪くんの溫か……。どちらの熱かわからない。
鼓は早鐘を打って落ち著きを失くし、このままでは平靜を裝えなくなるのも時間の問題だ。それなのに、引き際を見つけられない。
そのせいで、手を握り合って私が彼の頬にれた形でけなくなり、なんだかおかしな狀態で靜止していた。
「えっと……香月……。これはどう捉えればいい?」
揺しているのは私だけじゃないようで、ようやく口を開いた諏訪くんもまた、困をあらわにした。私の意図を図りかねたらしい彼が、どこか気まずそうに微笑む。
「あの……敦子がね……」
思わず言い訳を引っ張り、経緯を話した。もちろん、最終的に決めたのは私だけれど。ただ、まずはそこから話さないことには、上手く説明できそうになかったから。
「……つまり赤塚が提案されたからこんなことした、ってことでいいんだよな?」
「う、うん……。でも、こうするって決めたのは私だよ? 諏訪くんに練習の果があるって伝えたくて、〝百聞は一見に如かず〟かなって」
すると、諏訪くんは息を大きく吐き、「そうだよなぁ」と複雑そうに眉を寄せた。
「香月、練習の果が出てるのはわかったから、とりあえず離れようか。で、今日の練習はもう終わろう」
「え?」
なにかまずかったのかもしれない、と不安が過る。けれど、彼がすかさず微笑んだ。
「香月はなにも悪くないよ。でも……今日はもう充分かなって」
さっき、諏訪くんは『こんなこと』と言った。捉え方によってはマイナスにけ取れる表現は、いたずらに私の不安を大きくする。
「えっと、ごめんね……。急に変なことして……」
「謝らなくていい。香月はなにも悪いことしてないんだから」
「でも……」
優しかった彼の瞳に、わずかに厳しさが宿る。
「すぐに謝るのは香月の悪い癖だよ。なにも悪くないのに謝る必要はないんだ」
靜かに、けれどしっかりとした口調で紡がれた言葉は、私の自己肯定の低さを叱責されているようだった。
今に限って言えば、私に非がなかったと言い切る自信はない。
一方で、二言目には謝罪を口にしてしまうのが癖づいている自覚もある。それが容師時代のセクハラとパワハラに遭った経験からだ……ということも。
「これまでにつらい思いをしてきたからこそ、そういう態度になってしまうんだろうなとは思う。香月にとって自衛のためだったのかもしれないし、それ自がダメなことだとは言わない。自分を守るのは大切なことだから」
厳しさを孕ませた聲音なのに、どこか溫かくて優しい。そう思うのは、諏訪くんがどれだけ優しい人なのかを知っているから。
私は、彼に返し切れないほどたくさんの優しさをもらっている。
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