《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom8 は盲目でも、【2】
「おもしろかったな」
「うん。でも、意外。諏訪くんって、こういうジャンルは観ないかと思ってた」
「俺、基本的になんでも観るよ。映畫も本も雑食だし。志乃は?」
「私は邦畫が多いけど、ホラー以外はわりと観るかな。漫畫はものとか、小説だとミステリーが好きだよ」
「俺もミステリーは結構読むな。あ、おすすめの作家がいるんだけどさ」
どんなに些細なことでも、彼のことを知っていけるのは嬉しい。またひとつ新たな発見があったことに、自然と頬が綻んだ。
「晩ご飯はどうする? どこかで食べて帰る?」
「諏訪くんの家ってホットプレートとかある?」
「結婚式の二次會で當たったのがあるけど、使ったことはないな」
「じゃあ、お好み焼きでもしない? あ、タコ焼きもいいかも」
「いいな、それ。材料を買って帰ろう」
地下に下りると、生鮮食品からスイーツ店が軒を連ねるフロアにはたくさんのお客さんがいた。混み合う時間帯とはいえ、夕方のデパ地下の人出は侮れない。
「俺の服、どっか摑んでいいよ」
すると、隣にいた諏訪くんが私を見て微笑み、シャツの裾あたりを指差した。
彼を見上げ、再びシャツに視線を戻す。それを二度ほど繰り返したあと、おずおずとばした右手で大きな左手にそっとれた。
「……こっちじゃダメ、かな?」
「あ……い、いや……」
諏訪くんの様子を窺うように視線を上げれば、彼は明らかにたじろぎ、揺をあらわにしていた。
ほんの數秒前の私は、張でいっぱいだった。それなのに、予想だにしなかった諏訪くんの反応に肩の力がわずかに抜け、ふっと瞳が緩む。
の奧でじんわりとした覚が広がり、鼓を高鳴らせる心臓のあたりがらかな溫もりで包み込まれる。
ふと、彼のことが好きだな……とじ、同時にこれがおしさだと気づいた。
ドキドキするのに、戸う諏訪くんの姿を見ていると幸せで。私の小さな一歩をけ取ってくれることが嬉しくて、それでいて心が溫かくなる。
いくつもの覚が混ざり合って芽生えた〝おしい〟というが、私を大きく満たしていった。
「志乃には、ときどき驚かされるよ」
「私は毎日驚かされてるよ」
諏訪くんのギリギリのスキンシップのことを暗に言えば、「敵わないな」と困り顔になった彼が笑う。どこか複雑そうなのに、その面持ちには喜びが覗いていた。
(諏訪くんのこういうところ、本當にずるいなぁ)
程なくして、私の手を引いた諏訪くんがゆっくりと歩き出す。早くも平素の冷靜な態度に戻った彼は、さっきの揺を懐したようだった。
自ら仕掛けた私は、早鐘を打つ心臓を諫められずにいるというのに……。やっぱり、諏訪くんには敵いそうもない。
そんな風に考える思考に過った悔しさとは裏腹に、人混みで繫いだ彼の手から伝わってくる溫に幸福を抱いていた――。
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