《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom8 は盲目でも、【4】
諏訪くんが帰宅したのは、翌朝の六時前だった。
昨夜のうちに【遅くなるから寢てて】と連絡をくれていたものの、まさか朝になるまで帰宅しないとは思っていなかった。
「おかえりなさい」
部屋から出てリビングに行くと、「ただいま」と疲労混じりの笑みを返された。
「ごめん、起こしちゃったか」
「ううん、目が覚めてたから」
本當は彼が心配で眠れなかっただけ。けれど、それを口にすると気を遣わせてしまうとわかっているから、笑顔で「お疲れ様」と労った。
「しでも眠る?」
「いや、仮眠を取ると起きれない気がするから、シャワーだけ浴びて出るよ。今日は金曜だし、帰ってからゆっくり過ごす」
腕時計を外した諏訪くんは、バスルームに向かった。その背中を見送ったあとでキッチンに行き、食がなかったとしてもしでもなにか口にしてほしくて鍋を出した。
こういうとき、無力だと思う。私にできるのは食事を出すことくらいで、彼の仕事を手伝うことも気の利いた言葉もかけられない。
「なんかいい匂いがする」
落ち込みかけていると、タオルで髪を拭きながらキッチンに顔を出した諏訪くんが気が緩んだような微笑を零した。
「卵雑炊を作ったの。食べられるかな?」
「ん、サンキュ。あんまり食べる気分じゃなかったけど、お腹空いてきたかも」
嬉しそうに瞳をたわませた彼は、私の頭をポンとでてからソファに行き、息を吐きながら腰を下ろした。
最近は隨分とスキンシップにも慣れてきて、これくらいのことなら構えることもなくなってきた。むしろ喜びの方が大きい。
テーブルに雑炊をよそったを置き、諏訪くんを呼ぶ。笑顔を見せる彼の調は心配だったものの、ひとまず普通に食べてくれてホッとした。
「雑炊って久しぶりに食べたな」
「本當? 私、昔から好きで、よく作ってたんだ」
なんてことはない、簡単なもの。鍋にれたご飯に水と調味料を加えて煮込み、溶き卵を回しかけて刻んだねぎを散らすだけ。今日はだしと醤油ベースで作ったけれど、ひとり暮らしのときはめんつゆで代用していた。
食のないときや調が悪いとき、それに神的に參ってしまったときでも、この卵雑炊だけはしは食べることができ、隨分と助かったものだ。
「いいな、これ。食べやすいし、なによりもうまい」
「よかった。おかわりもあるよ」
「じゃあ、もらおうかな。これならいくらでも食べられそうだし」
安堵の笑みが零れる。トラブルがどうなったのかはもちろん、諏訪くんの調が心配だったけれど、彼はおかわりした分も綺麗に平らげてくれた。
いつもは朝食後にコーヒーを淹れるけれど、徹夜明けの諏訪くんの胃には悪そうで、今朝は溫かいほうじ茶を出した。彼は一口飲み、力が抜けたように微笑んでいた。
出勤すると、社では昨日のトラブルが解決したという話で持ち切りだった。それだけ、みんなが心配していたんだろう。
『心配しなくていいよ。トラブルは解決したし、村野社長とも和解できたから』
家を出る前にそう言った諏訪くんは、詳しくは語らなかったけれど。児嶋さんいわく、諏訪くんが村野社長に真摯に頭を下げ、早急にバグを解明したのだとか。
その後、諏訪くんが先方に殘ってほぼひとりで復舊作業を行い、児嶋さんは社に戻って遠隔で作していたらしい。深夜一時頃に會社に戻ってきた諏訪くんは、児嶋さんと篠原さんを帰らせ、ひとり社に殘ったようだった。
「さすが社長だなー」
「學生時代に起業したってだけでもすごいけど、初期の頃のアプリやシステム開発はほとんどひとりでしてただけあるよね」
「副社長もすごいけど、やっぱり社長は別格だよな」
エンジニアたちはそのすごさがでわかるからか、諏訪くんのことを口々に褒め、そこから〝社長のかっこいいところ〟と題したくなるような會話が続いた。
木野さんたち事務員の面々は、口は挾まないものの相槌を打っている。そんな社員たちを前に、彼がいかに尊敬されているのかがよくわかった。
褒められているのは諏訪くんで、私はただそれを聞いているだけ。けれど、人がこんなにも素敵な人だと改めて実でき、心の中では誇らしげになる私がいた。
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