《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom9 雲となり雨となるとき【5】
「志乃……」
時間をかけて解された心とは、きっと諏訪くんを求めていた。涙に濡れた瞳で彼を見上げ、こくりと首を縦に振る。
それを合図に諏訪くんが私のを押し開き、ゆっくりと重なっていった肢がひとつになった。
「……っ! 諏訪く……っ」
を裂くような甘い痛みに、初めて知る覚。自分のものとは違ういと、嗅ぎ慣れた彼の香り。すべてを掻き抱くように目の前の首に手を回せば、瞳に張っていた水が破れて雫が頬を伝った。
「志乃……。名前で呼んで」
「……しょう」
甘えるような願いをけれれば、諏訪くんが幸福を滲ませて破顔した。
「翔……翔……」
「うん、もっと呼んで。ずっと呼んでて」
涙が零れるほどに甘切なくて、私を満たすなにもかもがひどくおしい。
こんなは、諏訪くんが相手じゃなければ知らずにいたのかもしれない。彼だからこそ、私はこんなにも幸せな行為があるのだと知った。
「志乃……っ、好きだ……」
睦言のように繰り返す、の囁き。私も同じように想いを紡ぎ、諏訪くんの名前を何度も呼ぶ。
思考が酩酊していっても、離れたくなくて逞しいに必死にしがみついていた。
「志乃……!」
けれど、噛みしめるような低い聲を聞いた直後、彼の腕の中で意識を失った――。
ふわふわとしたらかい覚に、心を包むような優しい溫もり。安堵の中で瞼を開けると、和な雙眸が私を見つめていた。
「おはよう、志乃」
まだ脳が覚醒しない。ぼんやりとしたままでいると、クスッと笑われた。
「……え? ……諏訪くん 」
「寢ぼけてる志乃、めちゃくちゃ可い」
クスクスと笑い続ける諏訪くんが、私の額や頬にを寄せる。揺の中でようやく昨夜のことを思い出し、一糸纏わぬ姿で彼の腕の中にいるのだと気づいた。
「は平気?」
「……っ」
平気かどうかなんてまだわからない。それよりも、この狀況をどうにかしたい。
リネンを纏っていても、その下ではお互いに全のわけで。私を抱きしめる諏訪くんに離してくれる素振りはなく、し足をかしただけでも素がれ合う。
「あの、諏訪くん……」
「翔」
「あ、えっと……翔……」
名前を呼ぶだけでも恥ずかしくて、ドキドキして。けれど、幸せそうに瞳をたわませる彼を見ると、の奧がきゅうぅ……と締めつけられる。
「あの、ちょっと離れてほしいんだけど……」
「ダメ。離したくない」
「でも……」
「まだ五時前だし、もうひと眠りする?」
戸う私を余所に、諏訪くんは一向に私の要を聞きれる気がないようで、チュッとリップ音を鳴らしながら顔中にキスの雨を降らせてくる。
恥心でいっぱいで、ドキドキしすぎて余裕がない。頬が熱くてたまらないのに、あっという間に彼のくちづけに絆されてしまう。
午前五時の寢室は、甘やかで優しい空気に包まれていた――。
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