《我が家の床下で築くハーレム王國》第114話姉から妹へ 前編
偶然にも私がお姉ちゃんを見かけたのは、翔平の家の近くだった。聲をかけることはできなかった私は、ただその背中を遠くから見つめることしかできない。
(あそこが翔平の家、なんだよね)
最初どうしてお姉ちゃんがその場所にいるのか分からなかった。
「このに來るのも久しぶりだなぁ。と言っても、今は誰も住んでないわよね」
家を眺めながらため息をつくお姉ちゃん。そして次に喋った言葉が、お姉ちゃんの本當の想いに気づいた瞬間だった。
「人を好きになれたのに、多分あの子がそろそろ會いにくるだろうし、この気持ちは葉わないのかな……」
それはふとした一言だった。でもそれが何を示しているのか、今になってハッキリ分かる。
お姉ちゃんは本當は翔平の事が好きだったんだって。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
ハナティアの話はあまりの予想外の容だったので、俺はただただ呆気を取られた。
「ま、待て、幾ら何でもそれは話が飛躍しすぎじゃないか。そもそも俺とクレナティアさんは面識すらないのに、どうしてそれが好きに繋がるんだよ」
「確かに面識がないかもしれない。でもそれは翔平が気づいてないだけなのかもしれないよ?」
「俺が気づいていない?」
確かクレナティアさんがこの國からいなくなったのはかなり昔の話だ。俺が會ってないのも當然で、名前すら分かっていなかった。
なら向こうはどうだ。もしかしたら何かの聞きずてで、あの事件の事とか俺の事とか々知っていた可能はゼロではないはず。
何せ俺の両親はハナティア達の事を知っていたのだから。
「もしかしてどこかで會っていたりするのか?」
「その可能はゼロではないってだけの話。でもお姉ちゃんが翔平の事を好きなら、私と結婚はやめてお姉ちゃんが結婚して、この國の王になればいいって話なの? 理解できた?」
「だから変なんだってば々。お前の話は々滅茶苦茶すぎて、真面目な話をしようとしたのが馬鹿らしいくらい今混してる」
「し、真剣に話をしているのに、何よその言い方」
「真剣ならどうしてそんな事になるんだよ。いくら姉想いだからって、そんな一方的な親切心でかれたら、クレナティアさんも迷だろ」
「め、迷?! でもお姉ちゃんは絶対に」
「ずっと何を迷っているのかと思ったら、そんな事だったのね、ハナティア」
「「え?」」
話をしていたハナティアの部屋に第三者の聲がってくる。そこにやって來たのは、その張本人であるクレナティアさんだった。
「お、お、お姉ちゃん?! どうしてここに」
「サクヤに頼まれたの。もうすぐ結婚式なのに、ハナティアがごねていて困っているから、助けてって」
「ごねてるって、私は正しい事をしているだけで」
「そんな勝手な決めつけのどこが正しいのかしら」
「だってお姉ちゃんは」
「この前の演説の時も言ったわよね。あなたは何でもかんでも決めつけて、私や翔君の事を何一つ考えていないじゃない」
「考えている! 全部! だから結婚式だって中止して、お姉ちゃんが王として翔平と結婚すればいいの! それをどうして分かってくれないの?!」
「分かるわけないでしょ! どうしてあなたはそこまでして、自分の幸せを考えないのよ!」
姉妹喧嘩を始める二人。俺はそれをあえて止めずに、見守る事にした。
ぶっちゃけ、クレナティアさんの言っている事の方が正しい。ハナティアの考えの方が間違っていると思う。
そもそも結婚式わやめたい理由が、クレナティアさんが俺の事が好きで、尚且つ王としてトリナディアに戻るべきだと考えているから。
「お姉ちゃんだって自分の幸せを考えてないじゃない! 本當はこの場所に戻りたいと思っているくせに、どうして私にその場所を譲るの?!」
「それはあなたの為に決まっているでしょ!
「え?」
でもそれはクレナティアさんも同じ想いなんだと思う。妹が姉を思うように、姉だって妹を思っている。
 「あなたがずっと一人で今日まで頑張って來てらようやく摑める幸せなんでしょ? その幸せを私が奪う必要なんてどこにもないじゃない」
「それは……」
「それにもう知っているんでしょ? 私達の両親はこの世にはいないの。あなたがあの場所に立つのは、今この國を支えるのは私でもない、あなたしかいないのハナティア」
「私しか……いない?」
「私もね、勝手な事をしたとは思っているの。あなたに全部責任を押し付けて、自分だけ勝手に逃げ出して。本當に申し訳ないと思ってる」
だからその想いをハナティアは知って、一歩を踏み出せる。誰よりも大切な一人の家族のために、今のハナティアには立ち上がる道しかない。
「ずっとずっとあなたに會いに來ようともしなかったのはね、ここに來づらい事もあったんだけど、これをあなたにプレゼントしたかったの。ちょっと待っててね」
クレナティアさんはそう言うと一度部屋を出て行った。
「ねえ翔平」
「ん?」
「私ずっと勘違いしてた。お姉ちゃんはずっと、ずっと、私の事を考えてくれてたんだね」
「當たり前だろ。クレナティアさんがお前にとってたった一人の姉であるように、クレナティアさんにとってお前はたった一人の妹なんだから」
「……うん」
五分ほどして、クレナティアさんはサクヤと一緒に戻ってきた。
「サクヤまでどうして一緒に?」
「私も協力させてもらっていたからですよ、ハナティア様」
「え?」
「これが私からのプレゼントよ、ハナティア」
クレナティアさんがサクヤと一緒に持ってきたのは、
「これって」
「すごく綺麗……」
まるでその時のために用意されていたような、とても綺麗な純白なウェディングドレスだった。
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