《我が家の床下で築くハーレム王國》第115話姉から妹へ 後編
「お姉ちゃんがどうしてこんなウェディングドレスを」
クレナティアさんが持ってきたウェディングドレスはとても綺麗で、俺もハナティアも目を奪われた。
(これをハナティアが著るのか……)
想像しただけでが高鳴る。
「妹の一生に一度の大切なイベントだもの。これくらいのプレゼントはしないと」
「でも確かウェディングドレスはもう、仕立てていて」
「すいませんハナティア様、あちらは間に合わなかった時の為に用意していたものなんです」
「そういえばサクヤも協力したって言ってたから、もしかしてずっと知っていてのか?」
「はい。ですからどうにかしてでも翔平様には説得してほしくて」
まさか自分達の知らないところで、サクヤやクレナティアさんが頑張ってくれていたなんて思ってもいなかった。
(ずっと遠い存在なのかと思っていたけど、近い存在だったんだな……)
思い返せば演説の時に彼が姿を現した時に、気付くべきだったのかもしれない。本來追い出されたこの國に、彼の姿があった事に。
「というかこれ、俺が説得する必要なかったんじゃないのか?」
「いえ、翔平様の想いがあったからこそだと思っていますよ私は」
「そんなものかな」
結局のところ、クレナティアさんが全部持っていってしまった。本當は一日をかけてでもハナティアを説得しようと思ったんだが……。
「お姉ちゃん、私のために……。本當はお姉ちゃんが著る予定じゃなかったの?」
「もう、いつまで勘違いしているつもりよ。確かにしだけ気があったのは否定しないけど、それも全部あなたに託す」
「お姉ちゃん……」
「私がサポートしたんだから、結婚式を挙げないなんてなしよ。皆あなたが幸せになるのを願っているんだから」
「……分かったよ、お姉ちゃん。私……この國の未來のために頑張る、翔平と」
どうやらその必要もなかったらしい。なんというかとても呆気ない気がするけど、
「これ私に似合うかな」
「あなたが著る用に合わせたんだから、似合わないわけがないでしょ」
「うん!」
彼が幸せならそれでいいか。
■□■□■□
翌日、クレナティアさんがプレゼントしてくれたウェディングドレスを改めて著つけるために、二人で朝から姿がなく、俺はフウカとのんびり過ごしていた。
「結婚式二日前の新郎とは思えないだらけっぷりね。翔君」
「何もやる事がないんですよ」
すると何年振りかにトリナディア城に泊まったクレナティアさんがやって來た。彼と二人きりで(フウカはいるけど)話すのは、ハナティアの演説以來だ。
「こうして二人で話すのは久しぶりね」
「と言っても一ヶ月振りくらいですよ」
「あの時は私が々言っちゃったっけ」
「王になる資格がないとか、々言われた気がします」
「そんな事も言ったっけ。でも、申し訳ないけどその言葉は今も変わらないかな」
「え?」
ハナティアと結婚式を二日後に挙げるし、彼の説得も一応はできた。それに以前話をした時は、まだトリナディアで暮らしを初めて間もなかったから、迷っていた事も多かった。
だけど今はどうだろうか。昨晩の事だって、俺はハナティアの想いと向き合って生きていく事を決めたからこそ、取った行であって、全てを捨てる覚悟もできた。
「俺はまだ覚悟ができていないって言いたいんですか?」
「そう思っているから私はそう言っているの。まだあなたに足りないものが沢山ある。あの子と結婚したとしても、それをまかなえるわけではないの」
「俺に覚悟以外に何が足りないんですか?」
「気持ちよ」
「気持ち?」
「あなたは本當にハナティアが好き?」
「そんなの決まっているじゃないですか。そうでなければ、結婚なんて」
「ならどうしてハナティアは、私と翔君が結婚すべきだって言ったと思う?」
「それは……」
俺のハナティアに対する気持ちが足りないから、と言いたいのだろうか。確かに俺はハナティアに対して自分の気持ちをあまり話した事はないが、それでもハナティが好きだという気持ちは変わらない。
「俺はハナティアの事が好きですよ。結婚したいくらいに」
「ならその気持ち、行で表しなさい」
「行で?」
「いい? あなたは今日の夜から明日の夜まで……」
■□■□■□
夜。
「ハナティア、俺と一夜を共にしてくれ」
「な、な、何を言っているのよ。明後日結婚式なのよ!?」
「明後日だからこそだよ。ちなみに明日もお願いしたい」
「ど、どうしたの? 熱でもあるの? おかしいよ翔平」
「悪い、俺もおかしいと思ってる」
ハナティアを俺の部屋に呼んだ俺は、彼の目の前でとてもおかしな事を言っていた。これもそれも、原因はクレナティアさんにある。
「本気でハナティアが好きなら、結婚式直前までハナティアと一緒に過ごしなさい。サクヤには私から話を通しておくから」
俺の気持ちを証明するためのものらしいが、ちょっと過激すぎる気がするのは気のせいだろうか。
いや、気のせいではないだろう。
「しょ、翔平、本気で言っているの? 翔平の格からして、そんな事言わないと思うんだけど」
「ほ、本気だぞ俺は。ほ、ほら結婚式前だしそれもアリなのかなって」
「翔平が本気なら……私が拒む理由はないけど」
「じゃ、じゃあよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
結婚式までの夜はまだまだ長い。
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