《家庭訪問はのはじまり【完】》第26話 お誕生日會
私たち4人は、瀬崎さんに勧められて、Accueilアクィーユに向かった。
2臺で移し、駐車場で再び落ち合う。
店のり口で待ちながら、武先生は、瀬崎さんの車を見て、目を見張った。
「瀬崎さんって、何者?
車が凄すぎない?」
「ですよね?
私も以前、送っていただいた時に、びっくりしましたもん」
「あれ、普通のサラリーマンに買える車じゃないよ。
もしかして、瀬崎家って、大豪邸なの?」
いつも落ち著いてる武先生らしくない興の仕方。
やっぱり、スポーツカーは男の子の永遠の憧れなのかな?
「新しくて綺麗なお家でしたけど、大豪邸って言うほどではありませんでしたよ?
この辺りでは一般的な戸建てだと思います」
「じゃあ、車だけにお金をかけるタイプなのかな?」
武先生は、まだ首を捻ってる。
「嘉人さんが、スポーツカー好きだからって言ってましたよ?
スポーツカーは、燃費が悪いし、小回りは利かないから、買わなかったけど、知り合いにハイブリッド車を勧められたって」
「へぇ。
俺には、勧められても買えないなぁ」
「そうなんですか?」
「だって、あれ、多分、夕凪先生の年収5年分で買えるかどうかっていうくらい高い車だよ?」
「え!?」
私の年収◯百萬×5年分!?
そんなすごいの!?
思わず、私も目が點になってしまった。
嘉人くんは車を降りると、にこにこ嬉しそうに、真っ直ぐこちらに走ってきた。
「嘉人さん!」
私の中のお説教モードのスイッチがった。
「ここは、どこ?」
「……駐車場」
「ここへ來る時、ちゃんと車が來ないか、確認した?」
「……してない」
「だよね。
もし、車が來てたら、嘉人さんはひかれてたかもしれないんだよ?
先生の大好きな嘉人さんが、ちょっとした不注意でけがをしたり、院したり、最悪、死んじゃったりしたら、先生は悲しいんだよ!
分かる?」
「……うん」
「じゃあ、これからは、駐車場では、走ら…?」
「ない!」
「そう!
お約束したからね?」
「うん!」
元気よく頷いた嘉人くんの頭を、私は両手でくしゃくしゃにで回す。
かわいい〜!!
と、そこで瀬崎さんと目が合った。
はっ!
まずい!
保護者の前でお説教しちゃった!!
「すみません。
私ったら、つい、余計な事を…」
私は、顔を引きつらせながら、謝罪する。
すると、瀬崎さんは、にっこりと笑って、
「なんで、先生が謝るんですか?
大切なことを嘉人に教えてくださったんです。
私がお禮を言うべきところでしょう?
夕凪先生、ありがとうございます」
と言ってくれた。
よかった。
當たり前の事を注意しても、今は、保護者からクレームがつくこともなくない。
先生の権威なんてとうの昔に失墜してるから、仕方ないんだけど。
私たち4人が店すると、すぐに店員さんがやってきた。
「お待ちしておりました。
どうぞ、こちらへ」
瀬崎さんが連絡をしてくれていたようで、奧の個室に通された。
10人ほどれる小さなパーティ會場のような部屋。
部屋の隅には、アップライトのピアノ。
「へぇ。こういうお部屋もあるんですね」
私はキョロキョロと部屋を見回す。
「忘年會とか歓送迎會なんかにご利用いただけるんですよ。
上には、ワンフロア貸し切りにできるスペースがとってあるので、レストランウェディングなんかもできますよ」
瀬崎さんが営業スマイルを見せる。
「こんな所で結婚式ができたら、素敵でしょうね。」
私が言うと、
「では、夕凪先生の結婚式は、こちらで承ります。
時期は、來年のジューンブライドの辺りを押さえておきますね」
と瀬崎さんが笑う。
「え!?
あ、いえ、そんな予定はありませんから!」
私が焦ると、
「くくっ
それは殘念です」
と瀬崎さんはさらに楽しそうに笑う。
「ねぇ、パパ!
ジューンなんとかって何?」
「ジューンブライド。
外國の言い伝えで、6月の花嫁は幸せになれるって言われてるんだ」
「へぇ。
じゃあ、夕凪先生、6月に僕のママになってよ」
嘉人くんの言葉を聞いて、武先生が固まる。
「嘉人さん、夕凪先生は、先生だから、お母さんにはならないんだよ」
武先生が嘉人くんに言い聞かせる。
「うん、知ってるよ。
でも、6月なら、もう僕の先生じゃないでしょ?」
嘉人くんは、にこにことご機嫌で話す。
「嘉人さん、それは分からないよ。
もしかしたら、夕凪先生、來年、2年生の先生になるかもしれないだろ?」
その言葉で、嘉人くんは不安な表を浮かべた。
「そうなの?  夕凪先生」
「うーん、そういう事がないとは言えないけど。
嘉人さんは、2年生になったら違う先生がいいの?
夕凪先生は、もう嫌?」
私が聞くと、
「だって、夕凪先生、ママがいいもん」
と口を尖らせる。
「嘉人、なんで夕凪先生にママになってほしいんだ?」
瀬崎さんが、聞いた。
「だって、僕、夕凪先生、大好きだもん」
かわいい〜!!
「そっか。
先生も嘉人さん、大好きだよ。
一緒だね」
私がそう言うと、嘉人くんは、嬉しそうに笑った。
私たちは、ノンアルコールのワインと、おいしいお料理を和気あいあいと歓談しながらいただく。
嘉人くんも周りを気にせず、きゃっきゃと騒げるのは、個室ならでは。
 
瀬崎さんは、きっと、嘉人くんのために個室を用意できる店という事で、ここを勧めてくれたんだ。
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