《家庭訪問はのはじまり【完】》第31話 運會の後で

ん?

何かなってる?

どこかから聞こえる音楽に意識がしずつ呼び戻されていく。

なんだろう?

聞いたことがあるメロディ。

っ!!

電話だ!!

私は飛び起きて、攜帯を探す。

あった!!

枕元に攜帯を発見して、慌てて出る。

「もしもし」

『こんばんは』

瀬崎さん!

「こんばんは」

『くくっ

もしかして、寢てた?』

「え?」

なんで分かるの?

『聲がなんとなく寢起きっぽいから』

「うん。

ご飯の前にちょっと…と思ったら、がっつり寢ちゃったみたい」

時計を見ると、すでに10時過ぎ。

『くくっ

嘉人と一緒だ』

「え?」

『嘉人も帰ってすぐ風呂にれたら、飯、食う前に寢てた。全然、起きなくて、今も寢てる。多分、朝までコースだな』

「なんか、小學生と同レベルって言われてるみたい」

言われても仕方ない行とってるんだけど。

『小學生に負けないくらい頑張ったって事だろ? お疲れ様』

不思議。

瀬崎さんに労ってもらうと、一気に気分が上昇する。

「瀬崎さんもお疲れ様でした。応援もお弁當作りも、大変だったでしょ?」

『親が子供のために頑張るのは、全然大変じゃないから。今日は、嘉人の活躍も見られたし、大満足な1日だったよ』

電話の向こうで瀬崎さんが笑う。

「そうですね。

嘉人くん、今日はとっても頑張ってました。順番を待ってる間に地面にお絵描きしたり、砂遊びしたりしたら、最後のリレーは出さないよって言ってあったので、一生懸命我慢してたんですよ。

開會式も閉會式もちゃんと列に並んで立ってましたし」

ADHDの子が、運會で1番辛いのがいちゃいけない開會式と閉會式。

だけど、嘉人くんは多、フラフラ揺れてはいたけど、その場を離れる事なく、最後まで頑張ってた。

『そうか。

じゃあ、明日起きたら、それも褒めてやろう。今日は、リレーとかけっこしか褒めてやらなかったから』

「ぜひ、褒めてあげてください!

そしたら、嘉人くん、また頑張れると思います」

『いつもありがとう。

夕凪が擔任で、本當に良かった』

「いえ、私は當たり前の事をしてるだけですから」

『今まで、その當たり前の事をしてもらえなかったんだ。

夕凪に出會えて良かった。俺も、嘉人も』

「そんな… 」

『じゃ、夕凪の晩飯が遅くなるといけないから、切るよ。

また、明日』

「はい」

『おやすみ、夕凪。してるよ』

「おやすみなさい」

瀬崎さんは、こうして毎日、電話をくれる。

仕事と子育てと家事で、きっと私より忙しいのに。

だけど、私は瀬崎さんの好意に何も返せない。

デートもできなければ、好意を告げる事すら出來ない。

瀬崎さんは、そんな私で本當にいいのかな。

っていうか、そもそもなんで私なんだろう。

かっこいいし、社長さんだし、きっと私なんかより素敵なは、周りにたくさんいるだろうに。

最初に、真面目で一生懸命なところがって言ってくれたけど、裏を返せば、私にはそれしか取り柄がない。

そんな私のために毎日、時間を割いてくれるなんて、奇跡みたいなものだ。

そんな事を考えながら、溫めた冷凍パスタを頬張る。

うん、おいしい。

そういえば、瀬崎さんに教えてもらった冷製パスタ、結局1度も作ってないなぁ。

明日、お休みだし、作ってみようかなぁ。

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