《家庭訪問はのはじまり【完】》第35話 うちで

それから3日後の土曜日、私は朝から大掃除をしている。

來客の度に大掃除をしなきゃいけない私って、どうなの?

學校では、子供に「使ったら片付けなさい」と指導しておきながら、自分の部屋はついつい出しっ放しの散らかし放題。

だって、普段、來客なんてないんだもん。

早朝から頑張って、今日は冷蔵庫の中も掃除した。

11時

玄関のチャイムが鳴る。

インターホンで確認するまでもなく、瀬崎さん。

「はい」

私はドアを開ける。

「こんにちは」

瀬崎さんが微笑んで挨拶をしてくれる。

「こんにちは。どうぞ」

私が瀬崎さんを招きれると、

「はい」

と、スーパーの袋を渡された。

それを私は一旦冷蔵庫にしまう。

「今、お茶をれますから、座っててください」

瀬崎さんに聲を掛けると、そのままキッチンでお茶をれて、運んだ。

「どうぞ」

私はお茶けにお煎餅を添えて出すと、瀬崎さんの向かいに座った。

「ありがとう」

瀬崎さんはお茶を一口飲んで、

「おいしいよ」

と微笑んでくれる。

私は瀬崎さんに褒められる事が恥ずかしくなって、俯いて湯のみを眺めながら、

「あ、ありがと」

と答えた。すると、瀬崎さんが笑う。

「くくっ

夕凪、どうしたの?

すっごく大人しいけど」

「別に。

どうもしてないよ」

「やっぱり、先生の夕凪より、の子の夕凪の方がかわいい」

瀬崎さんがそんな事を言うから、ますます顔をあげられない。

照れ隠しにお茶を飲んでたけど、それも飲み干してしまった。

「ねぇ、夕凪、こっちに來て」

何?

瀬崎さんに呼ばれて、私は立ち上がった。

椅子を下げた瀬崎さんは、自分の膝をポンポンと叩く。

は!?

「ここ、座って」

はぁ!?

そんな恥ずかしい事、出來る訳ない。

「無理!」

私は首を橫に振って、元の席に戻ろうとすると、手を握られた。

「夕凪、お願い」

いつも大人な瀬崎さんなのに、なんでこういう時だけ、上目遣いで可くお願いしてくるの?

ずるいよ。

私は、瀬崎さんの膝に座る事も、瀬崎さんの手を振りほどく事も出來ずに、立ち盡くしていた。

すると、瀬崎さんに不意に手を引っ張られてバランスを崩す。

「キャッ!!」

正面から瀬崎さんに抱きとめられ、そのまま反転させられて、膝に座らされてしまった。

「捕まえた」

瀬崎さんの腕がかっちりと腰に回され、逃げられない。

しかも、膝の上に座ると、背の高い瀬崎さんとも目の高さがほぼ同じになって、どこを見ていいのか分からなくなる。

「あの… 」

私は苦し紛れに口を開いた。

「何?」

「お料理は… 」

「後でね」

瀬崎さんは、後ろで束ねた私の髪を指に絡めて遊ぶ。

かと思うと、その手がうなじに添えられ、

あっ…

と思った時には、が重ねられていた。

しっとりと押し當てられたは、そのまま啄ばまれる。

私は、瀬崎さんの背中のシャツをキュッと握りしめた。

すると、くちづけは更に深いものへと変わり、私のは早鐘を打つように忙しなく鼓する。

私は、思わず、瀬崎さんの背にしがみ付いた。

今度は耳を食まれ、あられもない甘い聲がれる。

それが自分でも恥ずかしくて、思わず口を手で押さえると、今度は首筋にキスを落とされた。

こんな事、もう何年もされた事がないから、自分でも聞いた事のない聲がれて恥ずかしくなる。

「せ…ざき…さん、ダメ…です…

あっ… 」

私がそこまで言うと、瀬崎さんはようやく私の鎖骨の下辺りまで下がっていたを私のまで戻して、チュッと軽いキスをした。

「夕凪がかわいすぎて困るよ」

瀬崎さんはそう言って私の頬をでる。

えっ!?

私のせい!?

瀬崎さんの言い分がおかしい事は分かっていても、言い返せないのは何故なんだろう?

「あ、あの、お料理しませんか?」

私が言うと、

「そうだね。そろそろ始めようか」

と答えて、ようやく私を膝の上から解放してくれた。

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