《家庭訪問はのはじまり【完】》第40話 財閥解

「そう…だね。

小さな會社を大きくするのも、もちろん楽しいんだけど、大きな會社で、世界を相手に勝負するのも魅力的だと思うから」

ん?

「その東京の會社は、大きな會社なんですか?」

「ああ。

夕凪も聞いた事ぐらいはあるんじゃないか?

丸一まるいちグループだよ」

「丸一って、終戦後にGHQに財閥解された、あの、丸一ですか?」

「くくっ

そうそう、その丸一。

母は、その創業者、一宮 敬嗣いちのみや たかつぐの玄孫なんだ。

今、母の兄、つまり、俺の伯父が社長で祖父が會長をしてるんだけど、おじの所には、娘しかいなくてね。

優秀な社員と結婚させて…と思ってたらしいんだけど、その娘たちがまた、自由奔放な格で、長は婚約破棄してスポーツ選手と結婚したし、次は獨主義で、丸一のグループ會社で社長をしてるんだけど、本社を継ぐ気はないと言い張るから、困った伯父が俺の所へ來たんだ」

はぁ…

私は思わず、ため息を吐く。

私、6年生を擔任した時に教えたよ。

戦前の三大財閥がGHQによって解された事。

農地解放とかと一緒に、嘉人くんも5年後には習うよ。

瀬崎さんは、そんな會社を継ぐの?

でも、それって…

「そんな大きな會社の社長さんになるなら、奧さんは専業主婦じゃなきゃ、ダメなんじゃないの?」

「夕凪は、夕凪の好きな事をしていいんだよ。

俺は夕凪の人生を一生かけて守っていくから。

夕凪を縛り付けなきゃいけないなら、俺はそんな會社継がないし」

でも、そんなすごい人の橫に、私一緒にいてもいいのかな。

「ただ、俺がいくら頑張っても、東京の採用試験を免除にする事は出來ないから、そこは夕凪に頑張ってもらうしかないんだけど」

「それは、當たり前だよ!

一年後、無事、採用されるように頑張るね」

早速、東京の採用試験の容を調べなきゃ。

「くくっ

  ありがとう」

瀬崎さんは、なぜかクスクス笑ってる。

「瀬崎さん?」

「夕凪、気付いてる?」

「何?」

「夕凪、今、俺のプロポーズにOKの返事をくれたんだよね?」

「えっ!?」

私、そんなつもりは…

「俺が東京について來てしいって言ったら、東京の採用試験をけるって。

それって、俺と一緒になってくれるって事だろ?」

「あ… 」

どうしよう!?

擔任する児の保護者と人になるのもダメだけど、婚約者はもっとダメだよね。

「ま、でも、夕凪の立場もあるし?

今のは聞かなかった事にするよ。

でも、嬉しかった。ありがとう、夕凪」

返事に困った私は、また所在なくシャンパンを飲んでごまかす。

だけど、そのせいで限度を超えたんだと思う。

気付けば、私はベッドで寢ていて、辺りは真っ暗だった。

私は、慌てて飛び起きて、階段を駆け下りたけど、そこには當然、瀬崎さんの姿はなく…

テーブルの上に、メモが1枚置かれていた。

《夕凪へ

よく寢ているようなのでこのまま帰るよ。

また、連絡する。

來年は、一つ屋の下でクリスマスを

過ごせたらいいな。

今日は、楽しかったし、嬉しかった。

夕凪、してるよ。

瀬崎 幸人せざき ゆきひと》

ああ…

なんで私、寢ちゃったんだろう。

2階まで瀬崎さんが運んでくれたのかな?

重いのに、申し訳ない。

もうし、瀬崎さんと過ごしたかったのに。

    人が読んでいる<家庭訪問は戀のはじまり【完】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください