《家庭訪問はのはじまり【完】》第44話 冬休み開始

その翌々日には終業式を終え、績表も渡し、冬休みにった。

と言っても、冬休みなのは、子供だけ。

私たちは、一般の公務員と同じように年末まで勤務しなければいけない。

瀬崎さんには、武先生に言われた事は、まだ伝えてない。

それを言うためには、クリスマスイブに武先生と出掛けた事も言わなければいけなくなるから。

仕事納めの日の夜、いつものように、瀬崎さんから電話が掛かってきた。

「はい、こんばんは」

『こんばんは。夕凪、お疲れ様』

「ふふっ

瀬崎さんもお疲れ様でした」

『夕凪は、明日から休みだろ?

どうするんだ?』

「とりあえず帰省しようと思ってるよ。

瀬崎さんはいつからお休み?」

『俺も明日から休む予定。

クリスマスを過ぎれば、しばらくは予約も減るし、取引先もみんな休みにるから、俺の仕事はほとんどないんだ』

「そうなんだ。

じゃあ、嘉人くんとゆっくり過ごせるね」

『ああ。

夕凪は、向こうで予定はあるの?』

「3日は高校の時の友達と食事に行くよ。

後は、実家でゴロゴロしたいけど、多分、姪っ子の子守りかな」

『へぇー、姪っ子がいるんだ』

「うん。

兄夫婦が離れに住んでるから、朝寢坊したくても、『ゆうちゃーん!』って、勝手にってきて布団を剝ぎ取られるの」

『くくっ

楽しそうだな』

「ええ!?

全然、楽しくないよ。

瀬崎さんは?

嘉人くんとどこか、お出かけするの?」

『スキーに連れて行ってやろうと思ってるよ。

夕凪も行く?』

行きたいけど…

「無理…かな」

特定の教え子とスキーには行けない。

『だよな。

じゃあ、夕凪とは、また來年だな。

でも、帰りに偶然會うくらいはいいだろ?』

偶然って…

「ふふっ」

計畫的に偶然を裝って會おうって言ってる?

私の実家は、スキー場から車で30分ちょっと山を下りた辺りにある。

時間を示し合わせて、近所のコンビニに寄れば、偶然會う事も不可能じゃない。

『夕凪は、正月でも出て來れる?』

「うん。特に予定がある訳じゃないから」

『じゃあ、また連絡するよ。

  夕凪、おやすみ。してるよ』

「おやすみなさい」

ふふっ

お正月…

退屈な冬休みが、なんだかちょっと楽しみになった。

    人が読んでいる<家庭訪問は戀のはじまり【完】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください