《家庭訪問はのはじまり【完】》第54話 會いたいから
その夜、また瀬崎さんが來てくれた。
「夕凪が心配だったから。
っていうのは言い訳で、単に會いたかっただけなんだけど」
そう言って、瀬崎さんは笑う。
今日は、1度ご実家に帰宅し、嘉人くんと食事をした後、自宅に帰る前に寄ってくれた。
瀬崎さんとお茶を飲みながら、まったりと會話する。
「夕凪は、明日から仕事だろ?
大丈夫?」
「うん。きっと武先生にも、何かここを通る理由があったんだよ。そこまでして私に執著する理由が分からないもん」
私があっけらかんと言うと、
「夕凪は人を信じすぎ。ちょっとは、疑うとか警戒するとかした方がいいよ。心配で仕方ない」
と呆れられた。
「うーん、でも、武先生はそんな事をするタイプには見えないけどなぁ。ほんとにいい人なんだよ?」
でも、武先生をよく知らない瀬崎さんには伝わらないかなぁ。
「とにかく、ちょっとでも何かあったら、すぐに相談して」
瀬崎さんが心配そうに言う。
「うん。ありがとう。それより、嘉人くんは大丈夫かな?」
「嘉人?」
「先生ん家に行った、とか、晴と遊んだ、とか、言わないかな?」
言わない約束をしても、ぽろっとボロを出す事はあるかもしれない。
「言わないようには言っておくけど、萬が一、洩らすような事があっても、スキー帰りに偶然會って、同い年の姪っ子と意気投合して遊びに來たって、正直に言えばいいと思うよ」
「そっか。そうだよね」
うん、別にやましい事は何もないし。
「學年主任さんが言うように、俺がここに來てる事が、どこかから噂になるような事になっても、料理を習ってるだけなんだから、堂々とそう言えばいい。
嘉人だったら、夕凪先生が僕のママになるために練習してるって喜ぶんじゃないかな。誰かが嘉人を傷つけるような事を言っても、嘉人は夕凪のために戦うと思うよ」
それは嬉しいけど、人は想像するより殘酷な事を言う時もある。
それが小さな嘉人くんに向かわなければいいけど…
「だから夕凪は、気にせず、料理を習えばいい。俺も気にしないから」
「ほんとにそれでいいのかな?」
大丈夫だと言われても、一抹の不安が殘る。
私の不安のを読み取ったのだろう。
瀬崎さんが妥協案を提示した。
「じゃあ、俺がタクシーで來るよ」
「えっ?」
「車が目立つからダメなんだろ? なら、車で來なきゃいい。
タクシーなら、出りの瞬間さえ見られなければ、俺がここに出りをしてる事は分からないだろ?」
確かにそうだけど…
「でも、それじゃ、瀬崎さんにタクシー代を払わせる事になるじゃない。それは申し訳ないよ」
私が言うと、
「それくらい、外にデートに行く事を思えば安いものだろ? 気にしなくていいよ」
そう…かもしれないけど…
「……いいの?」
瀬崎さんは、フッと笑みをもらす。
「もちろん。夕凪は、そんな些細な事、気にしなくていいんだよ。俺が會いたいんだから」
キュン…
會いたいと言われて、の奧が締め付けられた気がした。
結局、次回からは、瀬崎さんがタクシーで來るという案を呑む事になった。
瀬崎さんに會いたいって言われると、嬉しいのもあって、なかなか反論できない。
こんな優不斷な私でいいのかな?
嘉人くんの幸せより、自分のエゴを優先させてるんじゃないのかな?
多の罪悪をの奧にしまって、その日は瀬崎さんを見送った。
  
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