《家庭訪問はのはじまり【完】》第55話 忘れ
それから、程なく3學期が始まった。
武先生は、特に変わりなく、瀬崎さんの言うようにストーキングされてる様子もなかった。
帰宅時は特に、ミラーで後続車を気にしていたけど、武先生の車がついてくる様子もなく、アパートの前の道路は元々、車通りのない道という事もあり、後続車そのものがいない事の方が多かった。
3學期は、期間が短い上に行事もいくつかあるので、授業計畫通りに進まない事も多い。
だけど、ほんの2ヶ月で3學期の績をつけなきゃいけないから、授業を遅らせる訳にはいかない。
私は、3學期の単元を確実に終わらせる事に集中した。
1月の中旬、私は放課後の教室で、嘉人さんのノートを見つけた。
ランドセルに持ちをしまった後で、宿題だった計算ドリルのノートを配ったから、ロッカーの上に置き忘れたようだ。
嘉人くんは、その時やりたい事を優先してしまうから、おそらく、ノートをしまいには行ったけど、何か他の事に気を取られた瞬間にロッカーの上にノートを置いた事すら忘れてしまったんだろう。
學校にを忘れるのは嘉人くんに限った事じゃない。
特に宿題に使うだと、家で困ってると思うので、私は電話をするようにしている。
もちろん、先生によっては、「忘れる方が悪い」と翌日まで放置の先生もいらっしゃるけど。
だから私は、學校の電話から、瀬崎さんの攜帯に電話をする。
プルル…
『はい』
「瀬崎さんの攜帯でしょうか?
私、嘉人さんの擔任の神山と申します」
あくまで、擔任として連絡をれる。
『くくっ
ああ、いつもお世話になっております』
瀬崎さんが電話の向こうで笑う。
「こちらこそ、お世話になっております」
『嘉人、またなんかやらかしました?』
「いえ、実は今日、嘉人さんが學校に計算ドリルのノートを忘れまして…
宿題に計算ドリルが出てるので困ってるのではないかと思ってお電話したんです。
とりあえず、今日の宿題は算數のノートにやっていただいても構いませんが、し遅くなっても良ければ、私が帰る時に家までお屆けしますけど、どうしましょうか?」
これは、他の子が忘れた時にも言ってる事。
大抵の保護者は、ここで他のノートにやるから屆けなくていいと遠慮するんだけど…
『じゃあ、お願いします。
何時頃になりそうですか?』
……やっぱり。
「瀬崎さんは、何時頃ならお帰りですか?」
『んー、今日はこの後、特にアポもってないので、6時半には帰宅できると思います』
「では、その頃、お伺いします」
『はい。お待ちしております』
私が電話を切って席に戻ると、武先生の刺さるような視線をじた。
「屆けるんですか?」
責められてると思うのは、私の被害妄想なのかな?
「はい。
嘉人くんはこだわりも強いので、算數のノートだと嫌がってやらないのかもしれませんね」
私は、もっともな理由を答える。
「大丈夫ですか?」
「何がですか?
心配なさるような事は何もありませんよ」
私は思わず突き放すような言い方をしてしまった。
「ごめんなさい。
嫌な言い方をしてしまいました」
私はすぐに頭を下げる。
すると、武先生は苦笑いを浮かべながら、
「いえ、俺も嫌なことを言いすぎたのかもしれません。お互い様です」
と答えた。
こんないい人がストーカーな訳ないじゃない。
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