《家庭訪問はのはじまり【完】》第59話 結婚を前提に

3時間目、4時間目と終わり、給食も職員室で取った。

晝休み、職員室に戻ってきた武先生が、驚いた顔をする。

「あれ?  夕凪先生、いるじゃないですか?

子供たちが、夕凪先生がいないって言ってたから、早退でもされたのかと思ってましたよ」

武先生の優しい笑顔を見た瞬間、それまで堪えていた涙が一度に溢れ出した。

「えっ!?  夕凪先生!?」

私は、即座にハンカチで顔を覆ったつもりだったけど、武先生には見られてしまったようだ。

「ごめんなさい。なんでもありませんから、気にしないでください」

私はそう言ったが、武先生が「はい、そうですか」と言うわけもなく…

「そんなの無理に決まってるでしょう? だいたい、どうして夕凪先生がいるのに、1組を三宅先生が見てるんですか?」

「それは… 」

私が答えようとしたところで、校長先生が校長室から現れた。

「木村先生、ちょっと校長室まで來ていただけませんか?」

武先生は、私をチラッと見やってから、

「はい!」

と返事をして、校長室へとっていった。

それから私は、深呼吸をして、自分を落ち著かせる。

こんな事で揺を見せるなんて、それこそ教師失格だ。

私は、給湯室でコーヒーをれて、席に戻る。

コーヒーの香りが私をし落ち著かせてくれる。

私は、普段後回しにしている學年通信を作ろうとパソコンを立ち上げた。

が、起後すぐに木村先生に呼ばれた。

「夕凪先生、ちょっと」

私は慌てて校長室へ向かう。

校長室のり口で武先生は、

「俺の言うことに合わせて」

と囁いた。

どういうこと?

私が校長室にると、校長が口を開いた。

「今、木村先生から聞いたんだが、神山先生は木村先生と結婚を前提とした関係だというのは本當ですか?」

えっ!?

私は思わず、振り返って武先生を見た。

武先生は、私を見て、穏やかに頷いた。

これは、武先生が私を守るために噓を吐いてくれたんだ。

ここで頷けば、私の立場は良くなるのかもしれない。

だけど…

やっぱり、噓は吐けない。

武先生、ごめんなさい。

私は首を橫に振った。

「武先生から、そのような申し出はけましたが、お付き合いはしてません」

すると、武先生が口を挾んだ。

「夕凪先生は、真面目な方ですから、1年生の擔任同士でそういう関係になるのは不適切だと考えてらっしゃいます。

また、料理ができないのに、結婚を前提というお付き合いは、私に対して申し訳ないともおっしゃってます。

だから、今回の件もきっと、私のために緒で料理を習おうとされた結果が招いた誤解だと思います。

どうか寛大な対応をお願いします」

武先生が頭を下げてくださる。

私なんかのために…

「まぁ、そういう事でしたら…

神山先生、本當に瀬崎嘉人のお父さんとは、男の関係ではないんですね?」

「はい」

私は好きだけど…

その言葉は、めて私は頷いた。

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