《家庭訪問はのはじまり【完】》第61話 思うようにならないのが
5時間目は、生活。
今日は、昔の遊びについて學ぶ。
來週、ボランティアの祖父母の方に來ていただいて、一緒に遊ぶので、どの遊びを験するか決めるのだ。
私が教室にると、早速、嘉人くんがぶ。
「ああ!! 夕凪先生、なんで3時間目からいなかったの!?」
半分、責めるような口調で問われる。
「ごめんね。
  ちょっと、お客さんが來ててね。
  先生がいなくて、寂しかった?」
私が問い返すと、嘉人くんは、
「べっ、別に。全然、寂しくなんかないし」
と慌てて否定する。
ふふっ
かわいい。
「ええ!? 先生はみんなとお勉強できなくて、寂しかったのにぃ。さ、今日は、何をやるか覚えてる?」
私が授業モードに話を切り替えると、子供たちはもう昔の遊びに夢中だ。
お手玉、あやとり、こま回し、折り紙、けん玉。
おじいちゃん、おばあちゃんは、そんな遊びの名人だから、今からとても楽しみにしている。
私は無事、5時間目を終えた。
子供を下校させ、ひとり、教室でほっと一息つく。
そこへ武先生が隣のクラスからやってきた。
「お疲れ様。今日は大変でしたね」
武先生が労ってくれる。
「いえ、武先生こそ、私のために大変な思いをさせてしまって、すみませんでした」
私が頭を下げると、武先生は苦笑いを零した。
「謝られるとは思ってませんでした。むしろ、怒らせて嫌われると思ってましたから」
「えっ?  なんでですか?」
武先生は助けてくれたのに。
「校長先生に、ありもしない際を宣言してしまいましたから」
「……ああ!
でも、あれがあったから、校長先生も信じてくださったんだと思いますし、武先生には、謝しかありません」
私が今、こうして1組の擔任でいられるのは、武先生のおかげなんだから。
すると、武先生が厳しい表をして私を見る。
「夕凪先生、このまま瀬崎さんとの曖昧な関係が続けば、次は白だろうとグレーだろうと周りに黒だと思わせるような証拠を持って乗り込んで來ないとも限りません。今すぐ、瀬崎さんとは距離を置くべきです。分かりますよね?」
「……はい」
武先生の言う事はもっともで、反論のしようがない。
「夕凪先生は、今年異ですよね? 場合によっては、思わぬ所へ飛ばされないとも限りませんよ?」
「……はい」
確かに。
「ま、それでも思うようにならないのが心なんでしょうが… 」
「えっ?」
武先生の思わぬ臺詞に驚いて顔を上げると、優しく微笑む武先生がいた。
「損得で想う相手を変えられるなら、今頃、夕凪先生は、俺を選んでくれてるでしょうからね」
武先生はそう言って、私の頭をぽんぽんとあやすようにでる。
「あ、いえ、その… 」
私が戸って返事も出來ずにいると、武先生はさらに笑った。
「くくっ
いいんですよ。分かってますから。
俺だって、夕凪先生以外を好きになれるなら、今頃、結婚してたでしょうし。
人の心は、思うようにはならないものなんですよ」
「武先生… 」
なんで、こんな私にいつも優しくしてくれるんだろう。
どうすれば、この恩に報いることが出來るんだろう。
「くくっ
そんなに見つめないでください。
勘違いしてしまいますよ?」
「えっ?  いえ、それは… 」
私が狼狽えると、武先生は、また私の頭をでて、
「冗談ですよ。
でも、夕凪先生が大切なのは、本當です。
だから、夕凪先生のために、瀬崎さんとは距離を置いてくださいね」
そう言って職員室へと戻って行った。
はぁ…
武先生の言う通りだよね。
瀬崎さんとは、3月の終業式まで會わないようにしよう。
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