《家庭訪問はのはじまり【完】》第63話 解決
それから、何事もなく穏やかな日々が過ぎていく。
なのに、2月の第2土曜の朝、瀬崎さんから、
『今から行く』
と電話があった。
なんで?
私は慌てて、掃除をする。
だけど、掃除が終わらないまま、玄関のチャイムが鳴った。
「はい」
私が玄関を開けると、瀬崎さんが笑顔で立っていた。
「夕凪、おはよう」
「……おはようございます」
「っていい?」
「あの…
まだ、散らかってて… 」
私がおずおすと言うと、瀬崎さんは楽し気に笑った。
「ははっ
分かってるから、気にしなくていいよ。
それとも、掃除、手伝おうか?」
っ!?
「いえっ!  それは!」
「くくっ
じゃ、お邪魔します」
焦る私を橫目に、瀬崎さんはうちに上がってしまった。
「なんだ。思ってたより、綺麗だな」
えっ?
これで綺麗って、どれだけ散らかってると思ってたの?
「お茶れるので、座っててください」
私が聲を掛けると、
「夕凪は、朝ご飯食べたの?」
と聞かれた。
「いえ、まだですけど」
私が答えると、
「じゃあ、作ってやる」
とキッチンにやってくる。
「えっ、あの、私は大丈夫ですから」
と遠慮するが、
「俺が大丈夫じゃないんだ。夕凪が空腹を我慢してるなんて、俺が我慢できない。だから、作らせて」
と言って、手早くサンドイッチと野菜スープを作ってくれた。
それをコーヒーを飲む瀬崎さんと向かい合って食べる。
「それで、今日は突然、朝からどうしたの?」
サンドイッチを頬張りながら、私は尋ねる。
岳さんの件が落ち著くまで、もう會わないって言ってたのに。
「夕凪を陥れるような電話をしてきたのって、岳 華みたけ はなだろ?」
岳 華は、真奈ちゃんのお母さん。
「なんで分かったの?」
「興信所を使って調べた」
ああ…
そういう手があるんだ。
「俺が気づいてなかっただけで、尾行したり、うちのゴミを漁あさったり、いろいろしてたらしい」
「そうなの?」
「ああ。
ひどいのは、嘉人を手なずけようとしてた事。
平日は大抵、実家に行ってるから、接できなかったみたいだけど、それでも、何かを取りに帰宅したりすると、お菓子を持ってお裾分けのような顔をして嘉人に取りってた。
母も一緒だったけど、親切なご近所さんだと思ってたから、あえて何も言わず、その場でお返しになるものをお裾分けして返してたらしい」
「そんな… 」
「毎回、娘を連れてきて、一緒に遊ばせようとしたみたいだけど、嘉人は忘れを取りに來ただけで、すぐに実家に帰るから、遊べなかったって」
そんなの、真奈ちゃんをぬか喜びさせたじゃない。
お母さんがってくれるなんて、真奈ちゃんにとっては、たまにしかない嬉しい出來事なのに。
「うちのゴミを持ち帰る畫や俺を尾行する畫を証拠として、弁護士立ち會いで話し合った結果、今回は警察には屆けない代わりに、一切のつきまとい行為を止める事と、無関係な夕凪への攻撃をしない事を誓約する書類を書かせたから、もう大丈夫。
何かあったら、警察沙汰になる上に、賠償金も請求される事は理解してるから、これ以上、何かしてくる事はないよ。
俺が気づくべきだったのに、夕凪に迷を掛けて、悪かった」
瀬崎さんは、そう言うと、頭を下げた。
「いえ、瀬崎さんのせいじゃないでしょ。
気にしないでください。
私ももう気にしてないし」
本當にそう思う。
今年度もあとひと月ちょっと。
最後まで擔任としてみんなを2年生に送り出したい。
それが出來るだけで、私は満足なんだから。
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