《家庭訪問はのはじまり【完】》第67話 武先生と
懇談後、私が職員室で力して呆けていると、武先生に聲をかけられた。
「夕凪先生、大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫です。
ちょっと、疲れただけで」
私が答えると、武先生は心配そうに覗き込んで言う。
「何かありました?」
「岳真奈ちゃんのお母さんに直接攻撃をけたんです。なんとか、かわしたんですけど、神的にちょっと消耗したんで、バテてました」
私は思わず自嘲気味に答える。
「それは大変でしたね。でも、夕凪先生を攻撃しないって、瀬崎さんと約束したんですよね?」
「はい。瀬崎さんはそう言ってましたけど、複數の人がいる場所なら止められないからチャンスだと思ったんじゃないですか?」
はぁ…
私は思わずため息を吐く。
「そんな事して、逆に自分がストーカーだって暴されたらどうするつもりだったんでしょうね」
確かに。
「でも、そんな事が分かる人なら、そもそもストーカーなんてしてないと思います」
「ははっ
それもそうですね」
私は、武先生との談笑でし気分を癒されて帰宅する。
それからの日々が早かった。
6年生を送る會の練習をし、本番を迎える。
その頃には、毎日テストをして、3月頭には績をつけなければいけない。
授業も滯りなく進めないと、テストもできないし、テストができないと績もつけられない。
全てが悪循環に陥ってしまう。
私は、嘉人くんに授業を何度も止められながらも、予定通り終われるように毎日頑張っていた。
そして、ようやく績もつけ終わり、授業も消化期間にった。
3月の第3土曜日。
私は、コンビニへ行こうと部屋を出た。
すると、前からやってきた車が、突然、私の橫に停車した。
何?
怖くなって、一瞬、警戒するが、運転席に見知った顔を発見して、ほっとをで下ろす。
助手席の窓がウィンと下がって、小さな男の子と武先生が顔を覗かせる。
「夕凪先生、どちらへ行かれるんですか?」
「ちょっとそこのコンビニまで。武先生は、こんなところでどうされたんですか?」
「妹の子なんですけど、妹が仕事なので預かってるんです。
男2人で家にいるのも退屈なので、そこの公園で遊ぼうかと思いまして。
夕凪先生、もしお時間があるようなら、一緒にどうですか?」
まぁ、暇といえば、暇なんだけど…
「チビですけど、結構走るのが早いので、追いかけるのが大変なんですよ。
手伝っていただけると助かるんですが… 」
頼られると、嫌と言えない私。
「じゃあ、午前中だけなら。
後ろ乗せていただいてもいいですか?」
「もちろん。
コンビニに回りましょうか?」
武先生が気を遣ってくださる。
「いえ、暇つぶしに本でも買おうかと思っただけですから。
本より楽しそうな暇つぶしに出會えましたから、もういいんです」
と私は笑った。
「僕、お名前は?」
「木村 悠まつもと ゆう」
「悠くんかぁ。お姉さんもねぇ、ゆうちゃんっていうんだよ。一緒だね」
私がそう言うと、悠くんは、にこっと笑った。
かわいい〜!!
天使みたい。
「悠くんは何歳?」
「昨日、6歳になったの」
「へぇ、昨日、お誕生日だったんだ。
おめでとう。ケーキ食べた?」
「ううん。僕、食べられないから」
男の子はそう言って首を振る。
「悠は、アレルギーがあるんですよ。
製品がダメで… 
昨日はたまたま、行きつけのアレルギー対応をしてくれるケーキ屋さんが、定休日だったので、今日、お祝いの予定なんです」
武先生が説明をしてくれる。
「それは、大変ですね」
ほんの數百メートルしか離れていない公園には、すぐに著いてしまう。
私たちは車を降りて、公園のブランコに向かった。
「悠くんのお父さんもお仕事ですか?」
私は小聲で武先生に聞く。
「いえ、妹はシングルマザーなんです。
どれだけ聞いても相手の事は、頑として言わないので、諦めてます。
俺は結婚しないし、妹はシングルマザーだし、親不孝な兄妹ですよね」
「じゃあ、武先生がお父さん代わりみたいなものですか?」
「そうですね。
人使いの荒い妹なので、頻繁に子守りをさせられてます」
そう言って武先生は、苦笑いをこぼす。
「あ、じゃあ、瀬崎さんの車を見かけたっていうのも、この公園に來てたからですか?」
「はい。
ここは、小さい子用の遊も多いですし、奧まった所にあるので、飛び出して事故に遭う事もないから、よく來るんです」
だからかぁ!!
私は、ようやく謎が解けてすっきりした。
私たちは、その後、り臺をして、鬼ごっこをして、砂遊びをして、楽しく午前中を過ごした。
「夕凪先生、お休みの日に子守りに付き合わせてすみませんでした」
武先生が頭を下げる。
「いえ、私も実家ではいつも子守りをさせられてるので、平気ですよ。午後からは大丈夫ですか?」
「はい。
これだけ走り回ったので、きっとすぐに晝寢してくれます。
俺も一緒に一眠りしますよ」
武先生は終始にこやかだ。
「夕凪先生、今日は、楽しかったよ。
最後にいい思い出ができた」
最後って…
私が何も言えないでいると、武先生は明るく笑った。
「ははっ
やだな。気にしないで。
俺がやれる事はやったよ。
それでも、夕凪先生の気持ちが俺に向かないのは、誰のせいでもない、仕方のない事でしょ?
夕凪先生が今日1日で気持ちが変わったのなら、喜んでけれるけど、違うでしょ?
だったら、男らしく潔く諦めるよ」
武先生は私の頭をくしゃりとでた。
「送るよ。乗って」
武先生はそう言うけれど…
「ううん。散歩して帰るから大丈夫」
私は斷った。
なんとなく、振った相手に甘えちゃいけない気がしたから。
私は、武先生の車を見送って、のんびりと歩いて帰った。
もったいないことしたなぁ…なんて、ちょっと思いながら。
  
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