《家庭訪問はのはじまり【完】》第68話 修了式

それからは、卒業式の練習や、來年度に向けての會議やクラス編など多忙を極めた。

宿題を見る時間もないほど忙しいのに、ドリルを3回目まで終わらせようと、毎日たくさん頑張ってくる子もいる。

そのやる気は尊重してあげたいので、私は死にそうに忙しいのに、にっこり笑ってチェックをする。

2回目まで終わるとシールをってあげるんだけど、さらに3回目まで頑張った子には、キラキラの大きなシールをご褒としてってあげている。

だけど、不思議なもので、やらない子はシールが貰えてもやらないし、やる子はシールがなくてもやる。

このやる気はどうすれば生まれるんだろう。

できれば、サボリ魔な子たちに分けてしい。

そんなことを思いながら、毎日、チェックシートにスタンプを押していく。

そして、明日はとうとう卒業式。

小學校にとって、1年で1番大切な行事。

練習に練習を重ね、歌や呼びかけを頑張ってきた。

會場準備の手伝いを終えると、私は校長室に呼ばれた。

「神山先生、示が出ております」

「はい」

私は姿勢を正して、校長先生の言葉を待った。

「神山 夕凪こうやま ゆうな先生、4月1日より、秋川あきかわ市立西端にしはた小學校への勤務を命ずる」

「はい」

よかった。

ここからそんなに離れてない。

「神山先生なら、どこへ行っても大丈夫です。頑張ってくださいね」

校長先生は、優しい笑みを浮かべて言ってくれる。

「ありがとうございます。

ここでの経験を生かして、頑張ります」

私は、一禮して、校長室を後にした。

その夜、いつものように瀬崎さんから電話はもらったけど、示のことは伝えなかった。

やっぱり、これは離任式まで言っちゃいけない事だと思うから。

翌日、無事、卒業式を終えた。

普段、じっとしていられない嘉人くんも、多の手遊びや足をぶらんぶらん揺らす事はあったけど、最後までなんとか頑張った。

そして、とうとう終業式および修了式の日。

この子たちも、ようやく1年生を修了する。

私は式の前に教室で話をする。

「みんな、1年生でやる事、一杯がんばったかな?

お勉強も遊びも係の仕事も、一生懸命がんばれたよっていう子、手を挙げて」

私がそう言うと、みんな一斉に手をあげる。

「はい。下ろして。

そう、みんな、とってもがんばったよね。

ドリルを4回やった子も、大嫌いなのにがんばって2回は終わらせた子も、二重跳びができるようになった子も、後ろ跳びができるようになった子も、できる事は違うけど、一人一人が自分の中の一杯の力でがんばれたのは、夕凪先生の自慢です。

1年1組は、こんなに頑張れる子ばかりのクラスなんだよって、他の先生にもを張って自慢したいと思います。

だから、みんなも、僕は私は、もっと頑張れるんだって事に自信を持ってください。

そして、2年生になっても、ずっと頑張るみんなでいてください」

「はい」

みんなが返事をしてくれる。

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