《家庭訪問はのはじまり【完】》第69話 離任式
私はそこで大きく深呼吸をした。
「先生から、みんなにお話があります」
子供たちは怪訝な顔をして私を見つめる。
「先生は4月から、他の小學校の先生になる事になりました」
「ええ〜!!」
子供たちが驚いた聲をあげた。
「なんで?  なんで先生行っちゃうの?」
嘉人くんは、立ち上がって駆け寄ってくる。
「嘉人さん、まだ授業中です。
授業中には席を立た…?」
「…ない。
でも、だって、夕凪先生が!」
分かってはいても席に戻れない葛藤を顔に滲ませる。
「先生もみんなともっとお勉強したかったけど、他所の小學校にも先生とお勉強したいっていうお友達がいるんだって。
だから、先生は4月から違う小學校に行くけど、きっとみんなとはまた會えるから、それまでちょっとだけ、さよならね」
私は、機を後ろに下げて、クラス寫真を撮った。
すると、巡回していた三宅先生が聲をかけてくださる。
「神山先生も一緒にってください。
私が撮りますから」
教務主任の先生に撮ってもらうなんて…
でも、にこにこ笑って手を出してくる三宅先生に斷る事も出來なくて…
「ありがとうございます。
お願いします」
とカメラを手渡した。
私は、子供たちの真ん中にれてもらって、寫真を撮った。
その後、機を戻して終業式のため、育館に向かう。
無事、終業式を終えて、教室で績表を一人一人に渡す。
手渡しながら、昨日から考えてきたその子その子のいいところを伝えていく。
學活の後は、離任式。
私は、1年1組を三宅先生にお願いして、校長室へ向かう。
再び、育館へるが、さっきと違うのは、子供を先導しての場ではなく、校長に先導されての場だという事。
ステージ上に用意された席に著席して、離任式に臨む。
定年退職される先生から順に挨拶をしていく。
6人いる離任者のうち、私は5番目。
張とともに、マイクの前に立った。
「みなさん、こんにちは!」
「こんにちは」
私が聲を掛けると、全校児から挨拶が返ってきた。
「私は3年間、この學校でお世話になりました。
最初は3年生だった今の5年生の擔任でした。
とても明るくておしゃべりさんが多くて、楽しいクラスでした。
だけど、授業と休み時間のけじめをきちんとつけられるしっかり者が多くて、私の理想のクラスでした。
昨年度は、5年生だった今の6年生を擔任させてもらいました。
さすが高學年。
一生懸命、委員會の仕事をがんばる姿は、私の自慢でした。
そして、今年は1年生。
とっても小さくてかわいいみんなも、1年経つと、とてもしっかり者のお兄さん、お姉さんになりました。
きっと4月からは、新1年生のいいお手本になってくれる事だと思います。
そんなみんなとお別れするのは、寂しくもありますが、を張ってみんななら大丈夫だと言えます。
どうかこれからも、みんならしく、元気で明るい川上かみかわ小學校を作り上げていってください。
先生も時々、遊びに來たいと思います。
では、みなさん、また會いましょう。
さようなら」
  
「さようなら」
子供たちから、挨拶が返ってきて、続いて暖かい拍手を送られた。
泣き蟲の私が、涙をこぼす事なく挨拶ができるなんて、自分で自分を褒めてあげたい。
私は元の席に戻り、最後の先生の挨拶を聞いた。
その後、各クラスの代表者から花束をもらう。
私が學活を終えて、校長室に行っている間に、三宅先生が決めてくださったクラス代表は、嘉人くんだった。
嘉人くんが代表に選ばれるなんて、三宅先生は、一どんな決め方をしたんだろう?
私は、「へへっ」と照れ笑いをする嘉人くんから花束をけ取ると同時に、そのままぎゅっと嘉人くんを抱きしめた。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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