《妹は兄をする》5―渇き―『に飢えた獣』

理科室にると、奧の部屋へと進んだ。そこに彼がいた。

「――遅かったわね。でも來ると思ったわ」

「ウフフ。教育実習生の私が、こんなところで生徒と會するなんていけないわよね?」

はそういうと、長い髪を耳に

かきあげてイタズラに笑った。

その面影がどこか、懐かしさを漂わせた。彼を見るだけでの奧がジリジリした。

「――答え。教えてくれるって、僕にこの前言いましたよね?」

「その答えってなんですか?」

俺は目の前の彼を遠巻きで見ながら、

近くにあった椅子に座った。

すると、彼は何も答えずにブラインドをおろした。

「答えならもうわかってるじゃない。貴方が私のところに來た。それが正解よ?」

「茶化さないで下さいよ。僕はそんな答えを貴から、聞きにきたんじゃないんです」

俺は一言そう言い返すと、腕を組んで

をジッと見つめた。

やっぱり見れば見るほど、彼は俺の心をかきした。

だってそこには、「彼」がいた――。

「フフッ。この前って、あの車での話のことかしら?」

「そうよ。貴方がむものを私があげる。例えば、貴方が手にれたくても、決して手にらなかったものとかね――」

「解ってるんでしょ?」

「だから私のところに來た。そうよね?」

はそう言って悪戯に笑った。

―――まただ。そうやって笑うところは、彼そっくりだ。

だって彼は…―――。

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