《妹は兄をする》10―渇き―『に飢えた獣』

冷たい床に彼を押し倒して、飢えた獣の様にを貪った。

自分の下でれる彼に、「彼」を重ね。ただ激しく彼を求めた。その境目に、 理なんてものはなかった。

ただ本能だけが、彼のを突きかした。

下で彼れればれるほど、中が熱くなった。

とっくに理を失うと、もうそこに躊躇いなんてものはなかった。

激しく彼を抱くことで、の奧から熱を放った。

らなぎ聲にを熱くさせ、さらに激しく求め続けた。その度に恭香は、悩ましげな姿をさらした。

互いのが重なりあうと、はうっすらと汗ばんだ。

蓮一は彼を抱きながら、切ない表を浮かべた。その瞳の奧は、彼の中に「彼」を探していた。

恭香はそのことに気づいているのか、それとも気づいていないのか。彼が自分の中に姉の姿を探していると口元が微かに笑った。

彼の表は苦しそうだった。

そして、瞳からは涙が溢れていた。

彼のが小刻みに震えると、恭香は蓮一の頭を抱き締めた。

全てを包み込むような優しさにれると、蓮一はそこで彼の中に「彼」を見つけた。その途端、両目から涙が溢れた。

「っ…沙織里……」

「沙織里ちゃん……」

「そこに………」

蓮一はそう言って恭香の顔を見つめると、震える手で彼の顔にれた。

恭香は何も言わずに微笑むと、黙ってキスをした。その口づけに彼はハッとなった。

「っ…!」

「ちがっ…!」

「貴は…!!」

「ごめん…!」

「ごめん沙織里ちゃん…!」

「俺は…!!」

蓮一はそこで心の中を激しくかきされると、目の前にいる恭香が段々と沙織里に見えてきて、そこで混したように怯えた。

小さく震える彼を前に恭香は、くすっと笑った。

「いいのよ蓮一君、ほらそうやって苦しみから楽になるの。私の中に彼を見ても構わないのよ。だって貴方を救えるのは、私しかいないわ……」

「私を沙織里って呼んでいいのよ蓮一君」

「っ…!」

恭香のその言葉が彼の心に深く

突き刺さった。蓮一は彼の前で小刻みに震えながら謝った。

「ごめん……!」

「ごめんっ…!」

蓮一は彼の前で自分の頭を両手で抱えると、取りしたように泣き出した。

泣きながら謝る彼を前に、恭香は優しく話しかけた。

「苦しまなくっていいの……」

「貴方の苦しみは深すぎるわ……」

「私にはわかるの。だから私が貴方を救ってあげるわ……」

「…香さん…――」

「私が抱いてあげる…――」

恭香はそう言って優しく聲をかけると、彼を床に押し倒して上にがった。

蓮一は彼に抱かれると、ゆっくりと瞼を閉じた。深い悲しみが差する中、そこで見たのは彼の幻だった。

彼が瞳を閉じるとそこには、大好きな沙織里がいた…――。

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