《妹は兄をする》3―妹―『兄達の悩み』

母から妹だと聞かされた直後は、病室で大泣きした。 

なんで弟じゃないんだって母を責めた。

両親は、そんな泣きじゃくる俺を見ながら困っていた。

でも、そんな悲しみも直ぐに吹き飛んだ。母の腕に抱かれた赤ちゃんが、俺に小さな手をばしてきた。

父に言われてなんとなく妹に手をばした。すると、妹は小さな手で俺の指先を握ってきた。

その瞬間、今まで以上のしさをじた。がギュッとなって、それと同時に喜びをじた。

――たしかに俺は弟がしかった。でも、妹の小さな手が俺の指先を握ると、そんなことが一気に吹き飛んだ。

弟だとか、妹だとか、そんなことなんか、もうどうでも良かった。

ただしさが溢れると同時に、兄としての自覚が芽生えた。 

俺が妹を守る。

俺は父と母の前で、小さな妹の手を

握りながらそう言った。

妹は母の腕に抱かれながら無邪気に笑っていた。

小さくて可い妹。そんな妹に俺は、生まれてきてくれてありがとうって、そう言ったのを今でも覚えている――。

 

妹はよく笑う子だった。

俺は小さい頃から妹の面倒をみてきた。

妹は無邪気に笑って、俺になついていた。そんな妹が鬱陶しいとか思ったことは一度もない。

それに兄妹だ。今まで一人っ子だったからその分、自分に妹がいるだけで遊び相手にもなった。

妹はどこ行くにも俺のあとをついて來た。そんな妹が可いかった。

兄妹で口喧嘩なんかしたこともない。

ましてや兄妹喧嘩なんて、今では考えられない。

 

妹は良い子だ。俺よりも二歳、年が離れてるだけなのにしっかりしている。

たまにどっちが年上なのか、わからなくなる。両親には、お兄ちゃんよりも妹の方がしっかりしているとからかわれる。

確かに妹は、俺よりしっかりしている。ついでに細かいところにも気がつく。

昔は俺がよく気がついたのに、今では妹がよく気がつくようになった。

兄妹で立場逆転なんてのはさすがにないが、そんなしっかり者の妹が兄の俺としては鼻が高い。

それに妹は小さい頃よりも、もっと可くなった。

昔はあんなに小さかったのに、今では年頃の長している。

それは俺が思ったよりも遙かに大きな衝撃だった。妹はますます可いくなった。

そんな可い妹を他の男達がほっとけないことは解っていた――。

 

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