《妹は兄をする》8―妹―『兄達の悩み』
蓮一の顔を拳で一発毆ると、優斗は立ち上がってフェンスに憑れた。
「俺、お前のそう言うところ嫌い」
そう言って優斗は空を見上げると、呆れたため息をついた。
「ハハッ、冗談のつもりなのに毆るなんて酷いな」
蓮一は顔を押さえると、フと笑って彼の隣に並んだ。
「だいたい俺の妹が作った弁當を狙うな。そんなに食べたければ、彼にでも作ってもらえ」
優斗の何気ない言葉に、蓮一は隣で鼻で笑った。
「彼か。俺には無縁な話だな…――」
そう言って呟くと、蓮一は左手に巻いてる包帯を眺めて瞳を伏せた。
「ん、どうした?」
「…いや、なんでもないさ。ただそんな話はやめよう。傷口が痛む」
「傷口って…?」
「にあいた傷口さ。そこがずっと痛むだ」
「お前それを言うなら、腕の傷口だろ?」
何も知らない優斗は、そう言って彼の腕を指差した。蓮一の左手には包帯が巻かれていた。
蓮一は彼にそのことを言われると、靜かに笑った――。
 
「…彼か、そうだな。お前が俺の彼になってくれたら嬉しいな」
「なっ…!?」
蓮一の何気ない言葉にがドキッとなると、顔をひきつらせた。
蓮一は優斗にそう言うと、フェンスに両手をついて迫った。
「お前、可いから直ぐに俺の彼にしてやるよ。どうだ?」
「その素敵ないを俺に本気で言ってるのか?」
「冗談はよせよ。お前の冗談キツいんだよ」
優斗は蓮一にそう言って迫られると、顔をひきつらせながら言い返した。
「お前とだったら斷の林檎に2人で手をばしてもいいぞ。そして楽園から2人で追放されてもいい」
「お前だったら、俺から"彼"を忘れさせてくれるか…――?」
「彼…?」
蓮一の口から出た言葉に、優斗は不意に聞き返した。
「…彼って?」
「もう何もいうな…――」
聞き返すと、蓮一は優斗の顔をジッと見つめた。
「優斗…」
蓮一はそう言って彼の名前を呼んだ。
どこか妙な気を漂わすと、優斗はその場で揺した。
顔が間近に迫ってくると、がビクッと反応した。
「蓮…――」
 
「ぷっ…」
「あははっ…!!」
その途端、蓮一は優斗の前で聲を
上げて笑った。
自分に迫るだけ迫っておいて、それが冗談だと解ると、優斗は蓮一の足を踏みつけた。
「お前ふざけるなっ…!!」
「今度こんな冗談やったら、招致しねーからなっ!!」
そう言って怒鳴ると、彼を突き飛ばした。
蓮一は突き飛ばされると地面に笑い転げた。
「あははっ、やっぱり面白いな!」
「今のはドキッとしただろ?」
「…っせーよ!」
「どうせこんなことだと思ったぜ、お前の冗談は相変わらず悪趣味なんだよ!」
そう言って優斗は怪訝な表を浮かべると地面に座った。
優斗のことを茶化すだけ茶化すと、隣でケラケラ笑っていた。
蓮一は地面に寢そべったまま、思い出し笑いを続けた。
優斗は隣で呆れた表を浮かべながら、彼の左手に巻かれていた包帯を眺めた。
さすがに気になってくると、何気なく尋ねた。
「…なあ、お前のその左手に巻かれている包帯 一どうした?」
「それに彼って?」
「まさかお前がずっと前、俺に話していたあの彼のことか?」
そう言って尋ねると、蓮一はそこで急に黙った。
 
「消え去ることもない想い人、か…――」
「ん?」
「…なあ、どっちが辛いとおもうか?」
「その人を好きで、片想いで辛いのと、お互い両想いで辛いの。俺は片想いだと思うな…――」
「…蓮一?」
優斗は彼の何気ない話しを、隣で黙って聞いた。
「両想いで辛くても、お互いが相思相なら、そんなに辛くないとは思わないか?」
「…だけどその人に一度も好きって言えずに終わる片想いは、それ以上に辛いさ」
「ましてやその人が亡くなったら尚更だ。その想いは、いつまでも宙ぶらりんなんだもんな…――」
「そいつの想いは救われることはないさ、だろ?」
「蓮一、お前……」
「だから俺の想いは、いつまでも宙ぶらりんなんだろうな……」
蓮一は彼の隣で何気なくそう話すと、
寢そべったまま靜かに瞼を閉じた。
 
「生きているうちに好きって言いたかったな…――」
「そしたらこんな想い、しなかったのかもしれない……」
「うそでもいいからもう一度會いたいよ、沙織里ちゃんに…――」
「蓮一……」
隣で黙って聞いていた優斗は、彼の悲しそうな表を見て、かける言葉も見つからなかった。
「…――消え去ることもない想い人か。蓮一、お前まだその人が好きなのか?」
「もう過去にとらわれるな、前をみろよ。いくら悲しんでも、その人は戻ってこないんだぞ?」
「…ああ、そうだな――」
蓮一は優斗の話しに小さく頷いてこたえた。でもその聲には元気がなかった。
「お前このまま化石になってるつもりか?」
「その人を忘れられなくて、ずっと化石になってるのかよ…――?」
「………」
優斗はあえてそのことを問いただすと、
蓮一は何も言わずに彼の膝に頭を乗せて橫を向いた。
黙って口を閉ざす彼をみながら、優斗は呆れてため息をついた。
 
自分の膝に頭を乗せて、無口になっている彼をみながら、優斗はため息をついた。
蓮一の心には忘れられないがいた。そのことを優斗は何となく知っていた。
過去に囚われて前に踏み出せずにいる友に対して、自分に何が出來るかを考えた。
「お前、もうはしないのか?」
「このまま化石になってても良い事はないぞ。それでも化石でいたいのかよ?」
「運命とか、出會いとか、いくらだってチャンスはあるんだ。簡単に諦めるなよ――」
優斗はそう言って彼を勵ますと、蓮一の頭を優しくでた。
「化石か……」
「ん?」
「いいさ、このまま化石になっても…――」
「俺はあの時、はもうしないって心に決めたんだ。お前に何が解る?」
「大切な人を失った喪失をしらないお前に、俺の気持ちの何が解るって言うんだよ」
「蓮一……」
 
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