《妹は兄をする》5―憂鬱な雨―『忘れられない人……』

持っていた傘が手から落ちると、俺は雨に濡れながら呆然と彼のことを考えていた。

せめてこの気持ちを彼に打ち明けることが出來たら、俺の未來は変わっていたのかも知れない――。

「もしかして蓮一君…?」

誰かに名前を呼ばれると、フと振り向いた。するとそこには彼の両親がいた。

フと名前を呼ばれると、後ろを振り向いた。そこには彼の両親がいた。

俺は彼の両親に出會すと、只ジッとみつめた。

「蓮一君、みないうちに大きくなったわね。そのお花あなただったのね?」

「毎年、向日葵のお花が供えてあったから、誰だろうと思ってたけど、やっぱり蓮一君だったのね?」

「沙織里の好きな花、よく覚えていたわね。きっとあの子も喜ぶわ」

の母親はそう話すと、切なさを

滲ませながら笑った。

俺は彼の両親にお辭儀すると、そのまま

2人の前から立ち去った。 

傘をささずに、雨に濡れながら一人歩いた。

おもうのは彼のことだった。

沙織里のいない世界が虛しくて、

にあいたがいつまでも塞がらず、

ポカリと空いた虛しさは言葉では

言い表せない。

そんな生きてるのか、死んでるのか、

わからないような自分に嫌気がさしていた。

がもうこの世にいないなら一層――。

 

その日の夜、悩んだ末に、自分の手首を切って自殺を図った。

死んだら彼に會える。

そんな思いは、自分自さえも

見失いさせていた――。

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