《妹は兄をする》4―電話―

「決めた。お前とは修學旅行、風呂も布団も一緒に寢てやんない」

『なっ…!?』

蓮一はその言葉に衝撃をけた。

「ん、なんだよ?」

「優斗…そ、それはつまり…――」

「つまりそう言うことか…?」

「ん?」

「まさかお前がそこまで考えていてくれたなんて…!」

「えっ?」

優斗はおかしな彼の発言に、思わず唖然となった。蓮一はウッすらと瞳に涙を浮かべると、眼鏡を人差し指で押さえながら深々と語った。

「つまり俺とお風呂も、布団も一緒にってくれるってことだろ?」

「ああ、やっぱりお前は可いな。さすが運命の人だ」

「あぁっ!?」

蓮一の思わぬ勘違いに優斗は聲を荒らげると、思わずツッコミをれた。

「ちげーよっ!!」

「何だ、照れてるのか?」

「素直にYESと言え。そしたら今すぐに俺の人にしてやる――」

「アホかお前ーっ!!」

優斗は暴走する彼にツッコミをれると、そこで自転車を降りた。

「もういい、一人で帰る。ついて來るなよな」

「なんだ優斗。一人で帰るのか?」

「せっかく送ってってやるのに殘念だ」

「それをお前が言うな!!」

サラッとそう言う彼に対して、優斗はしキレ気味になりながら言い返すと、そこで自分の鞄を肩にかけた。

「お前を家まで送れなかったのは殘念だけど、2ケツは楽しかったぞ。またいつでも乗せてやる。後ろはお前専用だからな」

蓮一はそう言い返すと、キザっぽく前髪をかきあげた。

「ったく…相変わらずキザな奴だな。そう言うことは普通、子に言えよ」

「俺が子に構ったら、お前妬くだろ?」

「あぁっ!?」

蓮一はサラッとそう言い返すと、かけている眼鏡をクイッと人差し指であげた。

優斗は鞄で彼を叩くと、再びツッコミをれて怒鳴った。

「――さてと、俺は塾があるからここで失禮させてもらうぞ。帰りは変な人について行ったらダメだぞ?」

「お菓子あげるってついて行ったら、悪戯されるかも知れないしな」

「お前なーっ!!」

「誰がお菓子について行くだって~!?」

「俺は男だ!!」

「イタズラされるワケねーだろっ!!」

「アホかお前っ!!」

優斗はそう言い返すと、フンと怒り気味に前を歩いて行った。

蓮一は優斗の怒った表にクスッと笑うと、そこで2人は別れた。

優斗は蓮一と別れると、一人で家に帰って行った――。

 

蓮一と別れた優斗は一人で家に帰って行った。家の前まで歩くと、そこでフと気がついた。

家の前の電信柱に人影が見えた。いかにも怪しい人影に、優斗は早歩きすると急いで電信柱に駆け寄った。

『おいお前っ!!』

聲をかけた途端、怪しい人影は走り去って行った。曲がり角を曲がった瞬間、すでに人影はなかった。

周りを見渡したが、誰もいなかった。

そこで怪しい人影を見失うと、優斗は仕方なく家に帰って行った。

玄関前まで歩いて戻ると、不意に嫌な予が過った。もしかしたら今のは不審者かも知れない。そう思った途端、優斗は急いで玄関のドアを開けた。

『母さんっ!!』

『梨乃っ!!』

迫した聲をあげて家にるなり、優斗は家族の名前を呼んだ。

鞄を廊下に投げ出すと、リビングの扉を

バンと開けた。

『りのっっ!!』

その瞬間、リビングの居間に梨乃がいた。妹は外出するのか、上著を羽織って出掛ける様子だった。

優斗は妹の安否を確認するなり、そのままバッと駆け寄って

梨乃を抱き締めた。

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