《社長、それは忘れて下さい!?》1-0. Prologue
出社した涼花すずかが最初に行うことは、執務室に朝のを取り込むことだ。いつものように電子パネルを作してオートブラインドを開けると、広い室はあっという間に自然で満ち溢れる。
地上二十八階ビルの最上階に差し込む朝日は、地上のよりも強く眩しくじる。涼花は高い場所からコンクリートの絨毯を眺めて、深く息を吐いた。
この週末で何度目になるかわからないほど、溜息と深呼吸を繰り返している。新卒で社して六年目、社長書に配屬されてから四年目ともなれば、大きなミスはしなくなっている。だから溜息の理由は、仕事のミスが原因ではない。
涼花が深い息を吐き切ると同時に、執務室のり口からドアロックが解除される電子音が鳴った。
思わず呼吸を止めてしまう。涼花は自分のが強張るのをじたが、わかったところでコントロール出來ない。
ロックの解除音の後にってきたのは、グラン・ルーナ社の社長第一書で先輩でもある藤川 旭ふじかわ あさひだった。
「おはよう、涼花。今日も早いね」
旭の出社にほっと息をつくと、いつもの挨拶に応える。
「おはようございます、藤川さん」
「今朝のチェックれた?」
「まだです。私も今來たところで……。あ、コーヒー淹れますね」
その提案に顎を引いた旭は、向かい合って配置されたPCのスイッチを順番にれていく。涼花は部屋のり口近くにある対面式キッチンに立つと、コーヒーメーカーに豆とフィルターをセットする。
飲みの準備をしていると、再びドアロックの解除音が聞こえた。その音を聞いた涼花は、今度こそ本當に直してしまう。息をすることさえ忘れてしまう。
程なくしてってきた人は室にいた二人の姿を見て、
「おはよう。早いな、二人とも」
と軽快に聲を掛けてきた。
「おはようございます、社長」
「……おはようございます」
二人が朝の挨拶をすると、社長である一ノ宮 龍悟いちのみや りゅうごがちらりと涼花の方を見た。涼花がコーヒーの準備をしていることを確認すると、いつものように低くてよく通る聲に名前を呼ばれる。
「秋野あきの、俺もコーヒー」
「……はい」
自分の勤める會社の社長であり、直屬の上司である龍悟の顔をまともに見ることが出來ず、涼花は俯いたまま小さく返答した。龍悟はその様子には目もくれず、自分のデスクの傍でジャケットをぐと旭に軽口を叩く。
「二人とも早いなぁ。もうしゆっくり來てくれよ」
「どこの世界に社長より遅く出勤する書がいるんですか。社長こそ、もうしゆっくり來てくださいよ」
「やだよ。これ以上遅く來ると渋滯にハマるから、俺はこの時間でいーんだって」
「じゃあ俺たちの出勤時間も変わらないですね」
を尖らせる旭の様子に、龍悟が聲を立てて笑う。
涼花は普段から、龍悟や旭と必要以上に雑談をわすことはなかった。聞いている分には楽しいが、頭の回転が早い二人の軽快なトークのスピードについていけず、あちこち転がる話題を追うことに疲労してしまう。
最初こそそんな冗談めいた會話にも參加していた。だが何も言わなくても二人が気にしていないと気付いてからは、無理して日常會話にらなくなった。だから今日もこの會話に加わらないことも、特段不思議には思わないはずだ。
龍悟のデスクにいつも用している群青のマグカップを置くと、今度は旭のデスクにエメラルドのマグカップを置く。龍悟は涼花のそんな作をじっと見つめていた。涼花も龍悟に向けられる視線には気付いていた。
気付いていたが、何も言えなかった。今、自分がどんな顔をしているのかは想像がつく。
自分のデスクに桜のマグカップを置くと、トレーを戻すために小さなキッチンへ向かう。しかし後ろへ下がろうとした涼花のきは、びてきた龍悟の手に腕を摑まれたことで妨げられた。思わず聲が出そうになるが、涼花の驚きは龍悟の低い聲にかき消される。
「ちゃんと覚えてるぞ」
ほんの一瞬、たった一言だけそう言って、後は何事もなかったかのように再び腰を落ち著ける。龍悟の突然の行に腰が抜けそうになったが、ヒールが割れるのではないかと思うほど足の裏に力をれて、その場に崩れ落ちないようどうにか踏ん張る。
エメラルドのマグカップに口をつけながら手早くメールを確認する旭は、涼花の異変には気付いていない。気を張ったままキッチンの傍に戻ると、二人に気付かれないよう再び深呼吸をする。
(覚えて、いる……?)
龍悟の言葉にじた、にわかに信じがたい気持ちを抑えて。
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