《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》28
突如俺の前に現れたナハト、し気まずくなって黙ってしまった、だって突然「よろしく頼む」と言われたんだ! どうすれば良いか分からなくなって黙ってしまうのは突然だろう、でもこれじゃいけない……取り敢えず何か喋らなければ。
「あっあの……何か様か?」
無難な一言から切り出して見る、するとナハトはあごに手を當て話し始めた。
「うん、し道に迷ってしまったんだ、良ければ道案を頼みたいんだが……良いかな?」
小首を傾げるナハト、そんな仕草をされたら斷りづらいじゃないか……いや別に斷るって訳じゃないんだが。
「別に良いが……何処に行きたいんだ?」
「くふふ……ありがとう、案してくれと言ったが何処に行きたいと言うのじゃないんだ、ただ街を観したいと思っていたんだが……恥ずかしながら迷ってしまったんだよ」
「そっそうか……大変だな」
「そう、大変なのだ」
そんな會話をわしながら軽く笑い合う、無邪気に笑うナハトを見て俺の心はどきっと揺らいだ、髪と同じの大きな紫の瞳……とても綺麗だ。
「さて、では案をして貰おうか」
「……あっ、分かった」
いけない……つい見とれてしまった、俺は気を取り直して案を開始するのであった。
「で、此処が公園だ」
「ほぅ……良い所じゃないか」
ナハトの案をして公園にたどり著く、遊がなく中央に噴水、その近くに木のベンチがある、そんな公園だ。
「し歩き疲れてしまった……休まないか?」
「えっ……あぁ、そうだな」
とナハトが言ったのでベンチに腰掛ける俺とナハト、ん? この狀況って何か人っぽくないか? いやいや初対面の人に何を考えてるんだ……その考えを振り払うように噴水を見る。
「し話をしないか? 君に會ったのは何かの縁だ、々話そうじゃないか」
心を落ち著けていると、ナハトからそんな言葉が出てくる。
「はっ話し!?」
「くふふ……駄目かい?」
くすくすと笑い掛けてくるナハト……なっなんだろう、同い年なのにこの大人びた雰囲気は…。
「別に嫌じゃない……」
「そうか……では話そう、と言っても何を話したら良いか検討も付かないね、くふふふっ、さぁ困った事になったねぇ、どうするシルク?」
いや、どうすると言われてもな……困った表を浮かべ自分の髪のを弄る、するとナハトが突然吹き出す、なっなんだ……どうしたんだ?
「くふふふふっ、いやぁ……すまない、そんなに困り果てた顔をするなんてね……しからかい過ぎたよ……しっしかし、今の君の顔と來たら……くふっ……くふふっ……くははははっ!」
自分のお腹を押さえながら笑うナハト、みっ見事にからかわれてしまったのか? ぐっ……はっ恥ずかしい!
「そんなに笑わなくても良いだろう! あんな事言われたら誰だって困る」
「いや、シルクにしかあの質問はしないよ」
すっと元の表になるナハトは俺の目を真っ直ぐと見つめる。
「……またからかってるのか?」
「さぁ、それはどうだろう?」
くすくすっーーと笑ってベンチに深く腰掛けるナハト、さっきから弄ばれてるよな?
「さて、あまりからかうと嫌われてしまうかな?」
「そう思うなら止めてくれ」
「くふふ……すっかり拗ねてしまったね、可い奴め」
悪戯に笑うナハトは、つんっと俺の頬を突っつく、なんだよっと言いたげに俺はその手を軽く払う。
「もちだね……シルクは素敵なの子だね」
そして俺の気に障る事を口走った、俺は聲を大にして言い放つ。
「俺は男だ!」
「だろうね……ちゃんと男の子聲だし、仏もある、君はあれだ……そう男の娘だ」
「いや……何言ってるか分からんないそま? えとっ……まぁ俺は男だ
、二度と間違わないでくれ」
それを聞いたナハトは「すまない」と笑いながら答える、分かってて言いやがったな? たちの悪い奴だ。
「ふむ、何を話そうか迷ってた割には話せてるね」
「あぁ……そうだな」
「お互い初対面だと言うのに此処まで話せるなんて……不思議だ」
ナハトの言う通りかも知れない、お互い初対面、なのに友達の様に話せてしまった、まぁそれも良いんじゃないか? 仲良くなる事は悪い事じゃないし……。
「きっと、シルクと我とは相が良いのかもしれないね」
「相……か、まぁ……そうだな」
そうとしか言い様がないかも知れない。
「君とは良い関係になるかもしれないね……人とか」
と、ゆったりと考えてたら、ナハトがまたとんでもない事を言ってきた。
「っ! なっ何を言ってるんだ!」
顔を真っ赤にして良い放つ、ナハトはまたも、くすくすっーーと笑う。
「何って、そのままの意味さ、人……カップル……あぁアベックとも言うね」
「なっナハト……お前本當に何を」
「くふふ……本當にシルクは面白いね、我の言葉を否定しないとは……これは満更でも無いじかな?」
こっこいつ……人を弄ぶのが好きな奴なのか? ぐぬぬぬ……相手のペースに乗せられてしまっている、何とかせねば……と俺がそう思った時だ。
「もしそうなら我は嬉しいな……」
「……え?」
その言葉は山彥の様に響いて聞こえた、するとナハトは続けて話し出した。
「さて我はもう帰らなければいけない、シルクまた機會があれば會おうじゃないか」
ナハトが急に立ち上がりそんな事を言ってくる。
「……出來れば俺は會いたくない」
「悲しい事を言うね……何故だい?」
「散々弄ばれたからだよ!」
俺の言葉を聞いたナハトは目を丸くするも、「くはははっ」と笑いだして肩をぽんぽん叩いてきた。
「なっなんだよ……」
「いや別に、面白かったからついね……」
「くっ……もうさっさと帰れ!」
俺がそう言うとナハトは笑いながら俺の顔を見ながら後退りする。
「では、そうさせて貰うよ」
「あぁ……じゃぁな、気を付けて帰れよ」
「……くふふ、一応心配してくれるんだね、ありがとう……嬉しいよ」
「煩い……阿呆が」
俺の言葉を最後にナハトは去っていった、ナハトが遠くに行った時、俺の方を見て手を振ってくる、なので俺も小さく振り替えしてやった。
「……俺も帰るか」
もうやる事は何も思い付かないしな……。
「ナハトか……変な奴だったな」
初対面なのに人をからかってきた、本當に変な奴だ……でも嫌な奴ではないと思う、俺はベンチから立ち上がり公園をあとにする。
「また、會えるかな……」
ふいに言ってしまった言葉に驚く俺……また會いたいと言ったのか? なぜそんな事を思ったのか今は意味が分からなかった、もう帰ろう……そう思って自分の家へと足を進める。
ナハトと出會って1日目、またあいつと出會う機會があるのなら今度はからかわれない様にしよう。
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