《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》39

 ロアが作ってくれた料理はお粥だった、病人にはこれ! とうメニュー……熱々で味しそうだ。

「薬味もあるがどうする?」

「いや、このままで食べるよ」

お粥からは湯気があがっている、熱いに頂きこう……ロアの返事に軽く応じ土鍋の橫にあるスプーンを取ろうとするが……。

「あっ待つのじゃ!」

「ん、どうした?」

ロアがそれを制止した、代わりにロアがスプーンを手に取る、そしてうつ向き気味で恥ずかしげに話してくる。

「わっわらわが食べさせてやるのじゃ」

きた、いつものやつだ、料理を持ってくると聞いた時から薄々じていたがやはりこうなったか……。

「いや、自分で……」

「シルクに拒否権はない!」

そう言ってお粥を掬って口元にスプーンを持ってくる、食べさせて貰う程衰弱してないんだがな、正直恥ずかしいから自分で食べたい……だが俺の為に作ってくれたんだ、それ位聞きれよう。

「わっ分かった……そうさせて貰う」

「っ! おっおうふっ……いっ何時になく素直じゃの、どうしたのじゃ?」

素直に聞きれたってのにこんな言葉を返された……。

「どっどうもしない……」

「そうか……」

ロアは凄く嬉しそうだ、これはせめてものお禮だ、普段ならこんな事は斷るんだからな! と言い訳を考えていた時だ……今までで黙っていたラキュが口を開く。

「何だか良い雰囲気だね、姉上もしかして僕はお邪魔かな?」

何時の間にか椅子に座っているラキュは悪戯に笑う。

「まっ全然全くもって邪魔ではないから食べていけ!」

そんなラキュの言葉を聞いて恥ずかしがるロア、ん? なんかこの景、珍しくないか?

「そう? じゃぁ、食べて行こうかな? まぁ僕の事は空気だと思ってよ」

ラキュがまた姉貴をからかってる……楽しそうな顔をしてるな、恥ずかしがるロアは、べしべしっーーとテーブルを叩きラキュを睨む、完全に遊ばれてる。

「ほっほれ口を開けるのじゃ、あっその前に…」

スプーンを手に持ち、リゾットを掬すくうロア、それを「ふぅ…ふぅ…」と息を當てて冷ます、なんか可いな…。

「ねぇシルク君、今どんな気持ちかな? 見てて微笑ましいと思わない? なくともそんな顔してるよね?」

「っ!?」

うおっ! いきなりラキュが話し掛けて來たぞ、橫から俺を覗くように見て來るラキュ…その顔はにやにやと笑っていた。

「今、姉上が……ふぅふぅしてくれて、可いなって思ってない?」

「!!」

なっなななっ……こっ心を読まれた……だと!

「その顔は図星? 図星だよね? そっかぁ思ってたんだ、ねぇ否定しても良いんだよ? あっ、本當に図星だったじかな?」

はっ話し出したら止まらない、と言うかこっこいつ……。

「シルク……この愚弟は凄くうざいじゃろ?」

あぁ…もの凄くうざい! 絶対に人をからかうのが大好きだろ!

「ごめんごめん、シルク君もからかうと面白そうだからね、ついやっちゃった、くはははっ」

満面の笑みで言いやがった、絶対に反省してないなこいつ。

「たくっ……程ほどにするんじゃぞ?」

「わかったよ姉上」

棒読みじゃないかったち悪いなこいつ、そんなラキュの様子を見てため息を吐きスプーンを俺に近付けてくる。

「さて、もう冷めた筈じゃろう……口をあけるのじゃ」

俺は頷き言われるまま口を開く。

「すっし焦げてしまったが…気にするでないぞ?」

そうか…し焦げたのか、俺の口にスプーンをれる……リゾットを口の中にれるとスプーンを元に戻す。

「どっどうじゃ?」

俺はもぐもぐと咀嚼そしゃくする、トマトの酸味が良い味出してるな……しかし風邪で味があまり分からない、薄くじてしまう、だが味しいのは分かる、ごくっーーリゾットを飲み込み想を言う事にしよう。

「旨いよ…ロア」

「そっそうか、旨いのか、ふふっ…嬉しいのじゃっ」

本當に嬉しそうな顔をしている、微笑ましい。

「あっ……尾がたっておる」

「……あっ本當だ」

忘れていた、俺は今貓耳と貓の尾がついているんだったな、この貓耳狀態早く戻れば良いんだけどな……まぁその事は今置いておいて言う事を言わなければいけない。

「ロア、ありがとう」

ロアにお禮を言うと照れる仕草を見せると「うぅ…」と小聲で言って下を向く。

「ロア、後は自分で食べるよ」

「え……あっあぁ、そうか」

ん? 殘念そうな顔をしたな……ん? 何か可笑しくないか? 何時もなら俺の言葉を無視してぐいぐい來る筈なのに素直に退いた……気になってロアを見てみると俺はある事に気が付いた。

「…ロア、目元どうしたんだ?」

「ふぇ!? なっ何も無いのじゃが?」

目元にくまがあるな…もしかして寢てないのか?

「わっわらわの事は気にせず食べるのじゃ、冷たくなると味が落ちてしまうぞ?」

笑って誤魔化すロア、そうか俺が病気になってる間ずっと介抱してくれたんだ、だからあまり寢てないんだ、それなのに料理まで作ってくれた…寢不足にもなるだろう。

「俺は寢れば治ると思う…し寢たらどうだ?」

そう言ってロアの頬をる、すると顔がぼふっーーと一瞬で真っ赤になる、まるで茹ゆで蛸だこだ。

「しょ……しょしょ……しょんな事はははっ!」

慌ただしく目が泳いでる……図星か。

「人の介抱して自分が病気になったら駄目だ、寢てくれ」

「シルク君の言う通りだよ、姉上全く寢てないんだから……汗とか拭いたり、タオルとか拭いたりしてさ……時折、微笑みながらシルク君のにキスしたりしたよね?」

ラキュがそう言うとロアががたっと席を立つ、って俺が寢てる間にそんな事をしたのか?

「はわわわっ……わっわらわは! わらわは! もう帰るのじゃぁぁっ!」

ロアは大聲をだし涙を流しながら部屋から掛け出ていってしまった、普段もキスする癖に何を恥ずかしがる必要があるんだ? その事実を知らされた俺の方が恥ずかしいんだぞ。

「あはははっ姉上って隠し事をばらされてるとこうなるんだよ」

そっそうか……と言うかラキュあまり姉をからかうんじゃない! そんな事を思いながらロアが作ったお粥を口にれる、旨い……そう思いながらゆっくりと料理を堪能するのであった。

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