《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》45
ヴァームとラムの魔の手から逃れ、颯爽と現れたラキュに助けられ棺桶ワープを使いラキュの部屋に移中……ラキュ、助けてくれて本當にありがとう!
そんな謝の気持ちをじながらワープ空間を移中、ラキュに擔がれて數秒後暗闇だった景が一変する、出た場所は薄暗くて赤と黒を基調とした部屋だった。
「此処が僕の部屋だよ」
「おぉ……なんと言うかその……凄く変わった部屋だな」
俺を降ろしてくれるラキュ、素直な想を口にしてしまう。
「そう? 僕は普通だと思うんだけどね」
ふっ普通か……る程な、部屋の四隅には黒い支柱が建ててあり、テーブルにソファー、シングルベットに本棚……小さなカウンターキッチンも完備していて住み心地が良さそうな部屋だ、言葉だけを聞けば赤と黒で格好いい部屋だ、と思うだろう……だが!
「とっトマトを模した家って普通なのか?」
全ての家がトマトを模している、しかもキッチンの隣には畑がある、勿論トマト畑だ……この部屋に來た時からずっとトマトの匂いがする、やばいぞ部屋!
「トマト家は今年のトレンドだよ?」
「……室菜園もか?」
「そうだね」
トマト家は絶対に今年のトレンドじゃないのは確かだろうな……。
ラキュはソファーに座り腳を組み「座りなよ」と言って來たので有り難く座る。
「凄くふわふわだな…」
「座り心地良いでしょ? これがトマトの凄ささ」
それは斷じてトマトの凄さでは無い! だからそのどや顔は止めてくれ! リアクションに困ってしまう。
「トマトベットも寢心地が良いんだよ?」
「そっそうか……」
ラキュが指差した方向にそれはあった、トマトを半分に切ったじだな……見た目はソファー同様にふわふわしてそうだ、その上に敷いてある布団…、赤一でし好みが別れそうな掛け布団……俺はそのベットには寢たくない、だって夢にトマトが出てきそうだからだ。
「寢ると夢にトマトが出てくるんだ、本當に素晴らしいよ」
本當にトマトが夢に出るのかよ……これ、同意した方が良いのか? 取り敢えずこう答えておこう。
「ラキュはトマトが好きなんだな」
「好きじゃない、大好きなんだよ!」
力強く語るラキュに軽くひく……そっそうか大好きならこうなるのは仕方ないな、そう思っておこう。
「あのトマトのフォルム……素敵だよね」
うっとりするラキュ……俺には何が何だか分からない、トマトのフォルムが素敵って何だよ!
「あっ、今朝採ったトマトで作ったジュース飲む?」
「……いっ頂きます」
軽やかに指を鳴らすとラキュの手にグラスが出てくる、綺麗な赤のトマトのジュース……朝採れトマトに興味が引いたので飲んでみる、と言うかラキュが目で言ってる「黙って飲め」と……。
ラキュからグラスをけ取り口をつける、トマトの酸味の薫りがする、きっとを込めて育てたんだろうな……良く味わって飲もうじゃないか。
「……旨い」
一口飲んで驚いた、今まででトマトジュースはあまり飲んだ事無かったが……今まで飲んだトマトジュースはなんだったのか!と言うレベルだ。
「でしょ? トマトって最高だよね!」
ラキュは俺の「旨い」と言う言葉を聞いて子供の様に喜ぶ。
「まだ飲む?」
「いっいや……もういい」
「遠慮しなくて良いんだよ?」
そしてまたトマトジュースがったグラスを出す。
「いや、遠慮じゃなくて……」
旨いんだが、これ……トマトの味が濃いんだよな……だから多くは飲めない。
「そう?」
ラキュは出したトマトジュースを飲み干し小さく舌を出す、味しかったのか表が緩む。
「今日のトマトも味しい……」
うっとりした表で自分の世界に浸っている、ラキュも変な奴だったか……まともな奴だと思ったんだけどなぁ。
「さて、たっぷりとトマトを堪能したからお話ししようか」
あれからラキュは30分間ずっとトマトジュース飲んでいた、俺は隣で黙って待っていた、その間暇で暇で仕方無かった…。
「……なんの話をするんだ?」
俺の気持ちも知らないで気にそんな事を話すから、イラっとする、だが我慢しよう……その事を言っても軽く流されるだろうからな……俺の勘がそう言っている。
「あれ? 何か怒ってる?」
「……いや、怒ってないぞ」
こいつはロアの弟、自分勝手なのは伝している……だから言うだけ無駄なんだ!
「そう……」
口ずさんだラキュはソファーに深く腰掛ける、そして天井を見上げ暫く黙る……なっなんだこの間は!
「ねぇ、シルク君」
先程とはうって変わって真剣な口調……周りに張が走る。
「なんだ?」
息を飲み答える……するとラキュは更に間を置いて喋り出す。
「姉上の事どう思ってる?」
出て來た言葉は俺が最も答え辛いだった、そうかラキュはロアの弟だから當然姉の好きな人は知っているよな。
「正直に答えてよ……」
天井を向いたままのラキュ、そこにふざけたじは微塵もじなかった。
「……」
 
相手がロアの弟だからか、自分には好きな人がいるからロアの事は好きでは無い……その答えは出なかった、と言うより最近ロアが笑った顔を見ると心が揺れるんだ、それは俺が風邪で倒れて夢を見た時からだ。
「何を考えてるのか分からないけどさ……」
俺がずっと黙っているのに痺れを切らしたのか俺の顔を見て話してくるラキュ、その表は何かを伝えたい様な顔だった。
「迷う必要なんて無いんだよ? だって……」
迷う必要なんて無い……その言葉が引っ掛かる、ラキュは俺に指を指し途中で口を閉ざす、俺は次の言葉を期待した……何故ならこの言葉を聞いたら何かが分かる気がしたからだ。
「シルク君の好きな人は」
ラキュが再び喋りだした、その時だ……ピシッーーと言う乾いた音が響く、それは何かが割れた音だった、その音に驚いたラキュは黙ってしまう、俺とラキュは辺りを見渡す。
「なに今の音……」
「さっさぁ…」
なんだ? 何が割れた音だ? その正を突き止める為に辺りを見たが何も見つからなかった、気のせいか……そんな事が脳裏に過る。
「駄目ですよラキュ様、姉の言い付け守らないと……」
!! この聲はヴァーム!? あの時撒いた筈だ、何で奴の聲が聞こえる? 心の底で焦り辺りを見る、どこもかしこもトマト家、別に変な所はない、家がトマトを模しているのを除けば……。
「っ! シルク君前だ!」
ラキュの聲で前を見てみる、すると俺は言葉を失った。
「さぁ始めましょうか、コスプレの時間を……」
そこにあったのは驚愕としか言えない景だった、空間に亀裂がりそこからヴァームが顔を覗かせている、しかもその亀裂を抉じ両手で抉じ開けようとしている、恐ろしく力がっているのか両腕の管が浮き出ている、それなのに表は曇り1つ無い笑顔、俺は戦慄しかじなかった。
「シルク君……」
「なんだ?」
弱々しく話し出すラキュ、俺も同じ聲で返す……これは逃げるのは不可能、そんな諦めのが滲み出た聲音だった。
「今度、被害者の會開こうか……」
「……あぁ、そうだな」
俺はその言葉に深く同意する、病気が治ったのにコスプレか……また倒れそうだな。
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