《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》47
店から出した俺とラキュは街中を掛ける、し狹い路地を並んで走っていく、くっ……し走り辛い! だからと言って足を止める訳にはいかない!
「取り敢えず城下町から出よう、じゃないと危険過ぎる!」
「そうだな、案は任せた!」
あんなふざけた店を素直に経営する必要は無い! なんなんだよ店員にコスプレ出來て次いでに品も買えるって! 本業ざっかやがついでってどう言う事だよ! と、心の奧底でびを上げながら青空の下、複雑な路地を疾走する、正直俺一人だと何時逃げられなかったがラキュが一緒なら何とかなる筈だ!
「……まぁ、あの時は何とかならなかったけどな」
ラキュの部屋に行った時はヴァームが有り得ない方法でやってきて捕まったけどな……おっと、今はこんな事を考えない方がいいな。
「シルク君、このまま城下町を出よう」
「そっそれは良いがどうしてだ?まぁその方が安全だと思うが簡単にいかないと思うぞ?」
走りながらラキュが話し掛けてくる、おに著けてある犬の尾がふりふりといている、どうやっていているんだ? よっ余計な事を考えてしまった、こほんっーーと咳払いをしてその考えを消し去る、ラキュは間を置いて淡々と語り出す。
「このまま街を走ってたらいずれ捕まるからだよ」
たっ確かに、まだ追って來る気配は無いが何れは誰かが追ってくるだろうな……と考えているとラキュが「それに……」と呟く。
「それに?」
「シルク君の力の事もあるかな…正直このまま走り続けるの無理でしょ?」
「その通りだ…」
ラキュの言う通りこのまま走り続けるのは不可能、平気そうに話しているが既に橫腹が痛い。
「手っ取り早く城下町から抜け出してほとぼりが覚めるのを待とう」
「そうだな」
そうと決まれば早く出口に行かないとな。
「早くしないとあれを発させられるからね」
とその時ラキュが何か不吉な事を言った。
「あれって何の事だ?」
「シルク君が萬が一1人で城下町に逃げた時に発する魔法だよ」
そんなを用意していたとは……何処まで用意が良いんだ! と言うかそこまでして俺達にコスプレさせたいのか? かっ軽く引くわ……。
「多分まだ発はしないと思う、ラムはあの後報告に城へ戻る筈、しの猶予がある、だからその間に逃げよう」
「……あぁ」
魔法の事は凄く気になるが1つだけ確かな事がある、きっと録でもない魔法に違いないと言う事だ! さっさと逃げよう! とここである疑問が浮かぶ。
「なぁラキュ……」
「なに? 喋るなら手短にね?」
これはどうしても聞きたかった事だ、思えばあの時もそうだった。
「何故助けてくれるんだ?」
ラキュの部屋に行った時、ヴァームが目の前から現れる事を教えてくれた、俺とは初めて會った筈なのに今も逃げる手助けをしてくれている、ラキュは「くふふ……」と笑みを溢して答える。
「同じくコスプレを強要されてる仲だからかな…」
ラキュは背を向けたまま話す、その言葉は重みをじさせた……相當苦労してたみたいだ、辛かっただろうな……。
「そんな事より早く行くよ、一番最悪なのは呑気に話してる間に捕まる事だよ」
ラキュはそう言って足を速める。
「あっ……待ってくれ」
必死に追い付こうと頑張る……そう言えば今城下町のどの辺りにいるんだ? 今はし狹い路地を走っている、ちらほらとすれ違うんな奴等が何事だ? と俺とラキュを見てくる。
「最短ルートは避けようか、既に姉上の部下達を街に配置してるかもしれないからね……」
「そう……か」
「……あれ? シルク君?」
でぇ……でぇ……確かにラキュの言う通りだが……あぁ……橫腹が痛い! 息が苦しい……足が痛い……。
「もしかして……もう限界?」
走りながら俺の方を見てくるラキュ、俺の顔に汗が滴る、あれからしだけしか走っていないのに既に息切れ。
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……だっだい……じょぶ」 
「まったく大丈夫そうに見えないよ」
だがここで倒れる訳にはいかない! 俺は大丈夫だよ!と言う意味を込めて笑顔で応える。
「顔がひきつってるよ? 仕方ない、し休憩しようか」
「……いっ……いや、それは」
「ここでシルク君が倒れたら駄目だ……逃げ切る為の休憩だよ?」
此処で休憩していたら見付かる可能がある、出來れば休憩していたいがそんな事をすると自分で自分の首を締める様な、絶対に避けるべき行……それなのにラキュは俺を気遣って休憩を提案してくれた。
「さっ……そこの影に行こうか」
ラキュは足を止め俺の方にやって來る、そして俺の腕を摑んで近くにある小道へと連れていく。
「すまん……」
「謝らないでよ、僕と同じ様な事を起こさせたく無いんだ」
本當に申し訳ない気持ちで一杯になる、ラキュは優しい笑みを浮かべて俺を座らせ、その側に座ってくる、同じ事をけたからこそ他人に自分と同じ事をけさせない、その心意気に俺は泣きそうになる。
ラキュのこの親切心を無駄にしない為にもなんとしても逃げよう……それがラキュに対するこの行へのお返しだ! 理不盡なコスプレを回避する……ラキュと共にし遂げようじゃないか!
「なに、逃げられたじゃと?」
「申し訳ありませんの……」
一方でラムはシルクとラキュが逃げた事をロアに報告しに城へと戻っていた、自室の椅子に座り紅茶を飲むロアは膝まづくラムを見つめる、ロアの隣にはヴァームが靜かに立っている。
「まぁ、逃げるのは想定じゃ……」
くくくっと不適な笑みをしてティーカップをヴァームに渡す、どうやらシルク達の行は想定だったらしい……。
「ではロア様、あれを発するのですか?」
ティーカップをけ取ったヴァームは不適に笑いながら喋る……ロアが言う『あれ』とはラキュが言っていた魔法の事なんだろう、詳細不明の魔法、気になる所だ……だがヴァームのその言葉に対してロアは無言で首を橫に振る。
「側にラキュがいるからのぅ…それを見越して既に出口に向かっているかもしれん」
「では、どうするのですか?」
膝まずいたままのラムは疑問を抱き聞く、するとロアは小悪魔の如く笑ってこう語る。
「住民達に伝えよ……シルクとラキュを捕らえた者に『あの権限』を與えると」
その言葉を聞いて息を飲むヴァームとラム……だが直ぐに表がロア同様に小悪魔の表になる。
「了解いたしましたロア様、ラム! お手伝いしてくれますか?」
「分かりましたの……ふふふ」
……この部屋に不穏な空気が流れる、あぁ逃げてくれ2人共……こいつらガチで捕らえに掛かってくるぞ!
「くふふふ……住民が頑張ればあの魔法が発出來る、そうなれば2人はおしまいじゃ! くはははははっ!」
ロアの高笑いと共にヴァームが細く笑い、ラムは立ち上がって口元を押さえ上品に笑う、さぁ……2人の逃走劇はどう転ぶ? その運命は神さえも知らない。
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
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