《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》482
ラキュ、お前がした事を教えてやる!
はらわたが煮えたぎる思いで、わらわはその事を話した。
アヤネから聞いた事全てを……そしたらじゃ、奴はぽかーんとした顔すると。
「え、それ?」
とか抜かしおった。
それ……じゃと! わらわにとっては一大事だと言うのに、それじゃとぉぉっ!
「忘れたのかラキュ! その話はわらわがいずれ話すと言ってたじゃろうが!」
それを事もあろうに……と続けようと思ったのだが、突然ラキュが冷たい目でわらわを見てきて、こう言い放ってくる。
「言えてないじゃん」
「……え」
言えてない……とな?
真顔でキッパリと言ってきたラキュにきょとんとしてたら、続けて言ってきおった。
「最近、言うとか言ってたけど……言えてないじゃん」
すぅ……と目が細くなり、じりっと近付いてくる。
ラキュの気迫にビビり、わらわもじりっと後退りする。
え、おっおぅふ……なっなんか、こっ怖いのぅ。
「やる気まんまんで言うって言ってから何日も経つけど……言えてないよね? ねぇ、いつか言うって噓なの?」
「え、あ、そっそれはぁ……噓ではない……のじゃ」
うぅっ。
わらわが怒ってた筈が、逆に怒られてるではないか! じゃがまぁ……ラキュの言うことはもっともかもしれん。
しっしかし! 言うなと言った事を言うのはいかん。
そこの所を言ってやらんとダメじゃ!
「って! それよりもじゃ! わらわ、言うなって言ったじゃろうが! わらわ自が言わんと意味がないのじゃ」
だんっーー
と、足を踏み鳴らして詰め寄る、それに多ビビったラキュじゃが直ぐに立て直す。
わらわを睨む顔が一瞬にしてらかくなる。
ん? ど、どうした? 急に雰囲気変わったのぅ。
「ま、その気持ちは分かるけどさ」
「……はぇ?」
え? なんじゃ? わらわ怒られてたのに、なんか同意してくれた? なっなんで? わらわてっきり言い返してくるかと思ってたんじゃが……言い返さないのかえ?
思ってたのとちがくて小首を傾げてた時じゃ。
ラキュはさらりとこう言った。
「姉上、ここは素直に謝るよ。ちょっとでしゃばり過ぎたね」
「……え、おっおぉ。わっ分かれば……良いんじゃ」
謝ったのぅ。
すんなりと……っ!?
「ラキュが素直に謝ったぁぁぁっ!!」
「え、そこ。そんなに驚く事?」
なっなにを言うのかと思えば謝罪じゃと! あのラキュが? あの皮やからかう事が生き甲斐のあのラキュが? あっ有り得ん……明日は槍でも降るのではないか?
「ねぇ……そんなに驚かなくて良いよね? それと、今失禮な事考えてない? 僕だって素直に謝れるんだからね?」
「っ!? うっうむ……そうじゃな」
こっこやつ、わらわの考えを見かしておる。
ほんと? と言わんばかりに、わらわをじとぉっと睨み……その後がっくりと肩を落とし息をはいた。
「ま、その事は良いよ」
「いっ良いのか……」
「うん。今はそれよりも大事な事があるからさ」
「そっそうなのかえ?」
「うん、そうなんだよ」
怒ったり、謝ったり、話し変えたり……今日のラキュは可笑しいのぅ。
そんなだと、わらわ調子が狂ってしまうぞ。
「えとね……一応詳しく話しておくよ。シルク君に言った事をね」
「っ! そっそうじゃ……わらわはそれが聞きたい!」
話が変わってしまって、頭の中から消え去っていたが今思い出した!
場合によってはまた、わらわは切れてしまうかもしれん。
「はっはよう! はよう教えるのじゃ!」
「そんなに慌てなくても教えるよ」
そう言って、ラキュは思い出すかの様に話し出した……わらわはその話をしっかりと聞く。
しっかりと聞いて分かった事は……。
「なっなんじゃ。その話し、半分しか話しておらんじゃないか」
わらわが父上に話をする。
そこからは話しておらん、ここからがわらわにとっては大きな第一歩となる話し……そこを話してなくてほっとした。
「そうだね。全部話すつもりでいたんだけど……アヤネに邪魔されちゃったよ」
「くっ……この愚弟め。全部話したその時は張り飛ばすからの」
「くはははは……それは恐いね」
呑気に笑うな! わらわは本気じゃからな!
と、それにしてもじゃ……良いタイミングでアヤネが割ってったのぅ。
本人はいないが、この場で謝しようかの。
ありがとうアヤネ、よくやった!
「でもさ……」
「んぅ?」
でもさ、なんじゃ? なにか言い分があるのかえ? わらわ、そう言う大事な事は自分で言いたい系の魔なんじゃぞ。
それに関してはどんな意見も聞かんからな。
「姉上だけ頑張って々してるのにさ……向こうは何も知らないで普通に此処に暮らしてるから、し腹が立ったんだよ」
「……へ?」
「そろそろ向こうも気付くべきなんだよ。々アプローチしてるのに全く気付こうとしないにぶちんだけどさ」
 「ら、ラキュ?」
なに突然長々と語っておる? そんなしんみりした顔で何を言っておる?
えと……あれか? 勝手に推測すると……勝手にわらわの昔話をしたのはわらわを想っての行なのか?
え、なにそれ……きゅんとくるんじゃが。
あと、こやつにこんな可い一面があるなんて……と意外に思ってしまうんじゃが。
そう思ってしまったわらわは、照れ臭くなって頬を赤く染める。
くぅ……ラキュめ、可い奴じゃ。
そんな事を言われると照れるし、心がぽかぽかするではないか!
「ま、姉上もはっきりと話せないヘタレなんだけどね」
だがしかし、その一言を聞いた瞬間、わらわの気持ちは一気に冷めた。
なんじゃ、何時ものラキュじゃ……撤回じゃ撤回、可い所なんてひとっつもなかった、いつもと変わらずいけすかん愚弟じゃ。
「ラキュよ」
「……なにさ?」
そんな愚弟に対して言っておかねばならん事がある、とっても大事な事じゃ……。
正直、分かって貰えるかは分からんが……一応伝えておこう。
わらわの今の気持ち、そして、未だナハトの正はわらわじゃと気付かぬシルクについてをの。
- 連載中95 章
不器用な愛し方
あることがきっかけで幼馴染に逆らえなくなった亜衣。 本音を言えないまま一線を越え、捻れて拗れて2人はどこに辿り著く? シリアスでちょっと切ない初戀物語。 2022年10月15日更新で完結。 長いお話にお付き合い下さったみなさま、ありがとうございました。 また、違うお話でお會いできることを願って……感謝。
8 159 - 連載中54 章
ヘタレ魔法學生の俺に、四人も美少女が寄ってくるなんてあり得ない!
魔法__魔力を使い、何かしらの現象や事象を起こす力。 そんな力が使える世界。そこで雨宮暁は、『魔導衛師』と呼ばれる職業に憧れ、魔導學園に入學する。そこで彼を待ち受けていたのは、刺激的な學園生活だった___ 追記:タイトル変更しました。 元タイトル:『俺と魔法と美少女ハーレム』
8 153 - 連載中18 章
非リア充の俺がまともに戀なんてできるはずがないと思った
高2の吉井成彌 (なるみ)は、コミ障だ。 オタクで、休日になると家からほぼ出ない。 そんななるみは、早川千遙に告白される。 しかし……。
8 78 - 連載中278 章
本日は性転ナリ。
如月瑠衣(きさらぎ るい)は、ごく普通の男子高校生として代わり映えの無いつまらない毎日を送っていた。 しかし"ある日"を境に、その"代わり映えの無いつまらない毎日"は虛実が混じり合って作られた"幸せで平穏な日々"だったのだと思い知らされる。 幼馴染の"高梨莉結(たかなし りゆ)に手を借りつつも、男に戻る事の出來るその日まで女としての生活を送る事となった瑠衣。 これは"性転"してしまった瑠衣が、様々な"モンダイ"に見舞われながらも、周りの人々との出會いによって"本當の自分"を見つけていくストーリー。 興味を持って頂けたら是非一話だけでも読んで下さい。つまらないと思った方は、良ければその理由などもコメントして頂けたら、出來る限りの改善をしていきたいと思います。 未熟者が書いた素人小説ですが、創造をカタチにしていく勉強の真っ最中なので、是非溫かい目で見守ってください。 古い話から常時改稿していますが、途中から読み進めるのが嫌になるような文體になるかもしれません。 それは、この「本日は性転ナリ。」が、攜帯小説を始めてから、初めて完結まで続けられた作品なので、未改稿部分はルールや小説執筆の常識等も知らないままに思い付く事を書き毆ったからです。笑 今でも"改稿"と言える程の事は出來ていないかも知れませんが、以前と比べて確実に読み易く直せていると思いますので、是非改稿後の方も読んでいただけると幸いです。 この小説を執筆するにあたって、読者の方々に大変勵まされております。この物語が続いているのはその方々が居るからです。 本當にありがとうございます。
8 161 - 連載中57 章
甘え上手な彼女3 秋編
季節は秋!! クラスマッチで盛り上がる、繁村・赤西視點のクラスマッチ編と種學旅行編がスタート!! 繁村と赤西に彼女!? 由美華にも戀人が!! そして、現れる転校生!! 相変わらずラブラブな二人の前にまたしても試練が!? その真相は是非本編を読んでお確かめください!
8 125 - 連載中55 章
戀した魔法少女~生まれ変わった魔法少女が、15年ぶりに仲間と再會する~
「あの時死んだ魔法使い、佐倉町子は私だよ!」 二〇世紀も殘り僅かとなった時代。 大魔女から力を授かり、魔法使いになった五人の少年少女が居た。 最初こそテレビのヒーローのように、敵を倒して意気揚々としていたが、楽しいことばかりは続かない。 ある日、魔法少女の一人・町子は、不可解な行動をする仲間を追って戦闘になり、この世を去る。その魂が蘇った15年後の世界で、彼女は仲間だった魔法使い達に再會して-ー。 仲間との年齢差・約16歳の、記憶と戀が求める未來は? ※過去に新人賞用で書いていたものです。以前カクヨムにアップしていました。 完結済み作品なので、毎日更新していけたらと思っています。 よろしくお願いします。
8 57