《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》483
未だナハトの正はわらわじゃと気付かぬシルク。
前まではそれで安心した、じゃが最近になって言おう言おうと思って々して、気付かないシルクにイライラもしていた。
じゃが、なんやかんやでバレてなくて良かったと前までの考えのままでいる。
それは何度も言うように、ナハトの正がわらわだとしったら幻滅するんじゃないか? と思ってしまうからじゃ。
まぁ、そう言う事は何度もラキュに言っとる。
向こうも重々と分かっとるじゃろう、分かった上で「気にしすぎだよ」と直ぐ様返してくるじゃろう。
じゃから今わらわが言うのは、わらわの正に気付かぬシルクについての気持ちを言ってやろう。
「あのな。シルクがわらわの正に気付いてないのはどうも思っとらん。それにな、わらわから告白したんじゃ、相手が好きと言うまでこっちから想いを伝えないと可笑しいじゃろうが」
澄んだ目でわらわはそう言った。
これがわらわの今の気持ち、正直気付いてくれない事などどうでも良いのだ。
わらわはそう思ってるから良い、ラキュはきっとそう思ってくれる。
「はぁ? なにその謎のこだわり。ばっかじゃないの?」
事は無かった。
思いっきりバカにした様な顔で言われてしまった。
それが実の姉に対してする顔か?
「ばっばかじゃと!」
「ばかじゃん。自分の正伝えれてないのに良く言えたね? これ言うの何度めだと思ってるの? 同じ事何回も言わせるの止めてよね」
うぅぅ……。
散々言われた、わらわ傷付いたのじゃ。
「それにさ、姉上が足踏みしてるなら。向こうから來てくれないとダメだと思う、と言うかシルク君も何かするべきなんだ……。僕はそう思うよ」
むぅ。
難しい顔しとるな、本気でそう言う事を思っとるらしい……。
シルクからも何かするべき、か……シルクもシルクで何かはしてると思う、だがわらわが誤魔化したりしてるで気付いていない。
ん、あれ? わらわ……シルクと結婚したいのに自分で自分の邪魔しとらんか? いやでも、わらわ……まだ自分に自信ないし、誤魔化すのは邪魔ではなく戦略! と言う風にしておこう。
「ねぇ姉上、もう変な意地張るのは止めようよ」
「意地……」
意地か、それも変と來たか。
「自分で言いたい! って気持ちは分からなくは無いけどさ……。このままだと、見てて辛いんだ」
悲しい顔をしたラキュは、わらわから顔を反らして背を向ける。
……見てて辛い。
まぁたこやつは可い事を言いおって。
「まぁ、別に姉上の許可を得なくても勝手に言うけど」
「おい」
言うのか、しんみりと心が暖かくなる事を言ったと思えば勝手に言うのか!
って……背を向けたまま話すな、ちゃんとこっちを向かぬか。
そう思ったわらわは、ラキュの肩を摑む。
そしたらじゃ、ラキュはびくっ! とを跳ねさせて驚く。
「ラキュよ、わらわはな……おぉぉ」
驚くラキュを無視して、強引にわらわの方にを向けさせると……驚いてしまった。
あのラキュが、照れるシルクの様に顔を真っ赤にしておった。
思わず「おぉぉ……」と呟いてしまったが、これは仕方ないじゃろ。
だって、意外なんじゃもん。
「なっなにさ」
「……いんや、別に何もないのじゃ」
わらわは別に気にしてないと言うつもりじゃったが、その言葉をのみ込んでこう言ってやる。
そしたら、わらわの手を振り払って「そう……」と呟き離れていってしまう。
この反応、長く姉弟として過ごしていたが。
こうも姉に照れながら心配してデレ顔を魅せる事はなかった。
いっつもわらわを嘲笑してバカにしてからかう、そんな事ばかりされてきた。
じゃが今のラキュを見てふと思った事がある。
「ラキュよ」
「なっなに? 変な顔してたとか言うつもり?」
「いや、そうじゃなくてな」
わらわはなんとなく髪を弄り、ラキュをじぃっと見て……。
「お前……姉の事をこうまで心配するとは、意外と姉想いなのかえ?」
そう言った瞬間、ラキュのきが止まった。
そして、振り返った……って、おわぁっ!
「なんじゃその顔」
「うっうるさい!」
あんな赤面顔見たの始めてってくらい顔が真っ赤。
そしてがぷるぷる震えておる。
ふむ、この反応……図星か、なるほどのぅ。
「くふふふふぅ。ラキュよ、やっぱりお前は可い弟じゃな」
にぃっと笑ってそう言うと、ラキュがギリッと歯を食い縛った後……わらわに向かって走ってきおった。
「っ!! だっだまれぇぇっ!!」
腹の底からそうんだ後、ラキュは大きく手を振り。
バチィィィィンッーー
わらわは思いっきり叩かれた。
「痛ぁぁぁぁっ!!」
超痛い、ほっぺた痛い! こやつ姉を叩いた! 酷いっ!
「べっ別に好きじゃないから! 勘違いすんな、バカ!」
テンプレのツンツンな臺詞じゃ。
それを言い終わったら、ラキュは何処かに行ってしまった。
ふむ、なぁんか話がうやむやになってしまったのぅ。
「うむ、わらわも帰るかの」
ここにいてもやる事無いしの。
そう決めたわらわは、この部屋から出ていった。
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