《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》484
ちゃぽんっ……。
靜かな空間、湯気が辺りに漂い何とも言えん景が広がっている。
「はぁぁぁ……やっぱり、風呂はゆったり浸かるのが良いよなぁ」
ちょっとじじ臭い事を言って、肩まで風呂につかる俺。
ちょっと前に言ってた事をしに來たのだ。
実際、あれから數時間程経った。
案外すんなりと抜け出せて良かった、ラキュの部屋から戻った時ロアはいなかったしここに來るときに誰にも出會さなかった。
いやぁ良かった、運が良いな。
皆はどうしてるかは知らんが、俺はこっそりここにやってきたのだ。
「まだ湯が殘ってて良かったぁ」
ちょうど良い溫度の湯が俺を癒す、本日2度目の風呂も良いもんだ。
だが誰かが「掃除だー」とか言ってくるかも知れない。
それまでには出ていかなきゃな。
だが……ギリギリまでっていよう、せっかく來たんだもの。
「あぁぁぁぁ……」
誰も居ないので気の抜けた聲をらし、腳をぐぐぅっとばす。
さいっこうだな、これ……今度から風呂はこの時間に來ようかな。
……うん、そう思うのが遅すぎだな、最初からそうすれば良かった。
「…………」
なんて考えつつ、ぼぉっとする。
じわぁっと額に汗が出てきた、それと指がしわしわになってきたな。
うん、そろそろ出た方が良いかも。
いや、でも……あとしだけってよう。
◇
……結局あれからたっぷりと風呂を堪能した、おではぽかぽかだ。
「良い湯だったなぁ」
ゆったりした表で呟きながら歩いてる俺。
今はロアの部屋に戻ってる所だ、後はぐっすり眠って明日に備えたい。
そうしたいんだけど、そうさせて貰えるかな? ロアかアヤネのどっちがやってきてそうはならない気がする。
だがしかし、めげずに自分のやりたい事をしよう。
頑張れ俺! 自分自で鼓舞しながら歩いてると、ふとあるものが目にった。
「ん……扉が開いてる」
そう、開いてるのだ。
ここは薄暗い廊下、しだけ開いてる扉からがれ出てる。
……なんかこう言うの見たら気になって首を突っ込まずにはいられない。
だから早足でそこに近付く。
息を潛めて、ゆっくりとその部屋を覗くと……。
そこにはロアとヴァームがいた。
と言うことはここは、ヴァームの部屋か? ロアの部屋って事は無いな、だってあいつの部屋はここじゃない。
裝棚や、んな服が飾られてるのを見ると……うん、やっぱりここはヴァームの部屋だな。
なんでロアがヴァームの部屋にいるんだ? まぁ……別に良いんだが。
って、ん? なにか……やってるな、あれは……編み、か?
薄暗い部屋、ランプの燈りを頼りにチクチク糸を編んでる。
うぉぉ……あんな細かい事、良くできるなぁ、俺には無理だ。
って、普通にこうやって覗き見てるが……良くない事だよな。
だがしかし……なんか気になる、だからここをけない。
……ごめんなロア、暫く見たら直ぐ居なくなるから編み頑張ってくれ。
「……うぅぅ。ほっぺた痛いぃ」
あ、喋った。
そうか、ほっぺた痛いのか。
って、おいおい……痛そうにしてるが大丈夫か?
「あらあら。なにかあったのですか? あ、良く見たら赤く腫れてますね」
「ん? 今気付いたのか……」
「はい、今気付きました」
おぅ、なんか主人と従者とは思えない會話してるな。
もっと主人を心配してやれよ、めっちゃ不満そうにふくれてるぞ。
あ、いや……ヴァームはあれで心配してるのか、多分そんな気がする。
「相変わらずの反応じゃな」
「はい、何度か見たので放っておいても大丈夫だと判斷しました。何があったのかは察しがつきますよ」
「ヴァームよ、お前は……いや、良い。いつもの事じゃからな」
この従者は全く……と愚癡をこぼし、編みに集中する。
ヴァームは何があったか分かるって言ったが俺は分からない。
「それにしてもラキュめ。あんなに強く打たなくても良いのに」
だから詳しく言ってほしいなぁ? なんて思ってたら話してくれた。
ラキュに打たれたのか、さては何か変な事言ったな? 多分それで打たれたんだ。
「ただ可いって言っただけだと言うのに……」
ほら當たった。
理由は間違いなくそれだ、十中八九ロアが悪いな。
ヴァームもそう思ったのか「うふふ」と笑って。
「あらあら。それは打たれても仕方ありませんね」
と言った。
うん、その通りだ、仕方ないぞ。
俺もそんな事言われたら打つぞ。
「何が仕方ないじゃ! って、あぁぁぁっ!! 編み目が絡まったぁぁっ!」
「あらら。これはここからやり直した方が良いですね」
「なっなんじゃとぉぉっ!!」
あっあはははは。
話しながらやったのか、絡まったらしいな。
えと……ロアが編んでる、あの縦に長いじからして、マフラーだな。
ほぼ出來てたのに、し前からやり直し、これはキツいな。
編んだ事無いからそのキツさは分からないけどな……。
「くっそぅ、まぁたやり直しじゃ」
悔しがるロアを見た俺は、小聲で「頑張れ」と呟いた。
多分聲は屆いてない、いや屆いてたら困るから小さく言った。
その後、俺は靜かに去ろうと思った。
そろそろ離れた方が良い、ここにいるのがバレたら何かと面倒そうだ。
そう思って、覗くのを止めて立ち去ろうとしたその時だった。
「なぁヴァーム、ラキュがな……わらわのい頃の話をしていたんじゃ」
聞き逃せない事をロアが言った。
その瞬間だった、俺はピタリときを止めた。
そして、また扉を覗きこんだ……バレるかも知れないのに呼吸が荒くなってくる、だが俺は気付いてない、気づく筈が無い。
だって……今まさに、ロアが過去の話をするかもしれないからだ。
ラキュから聞いた話の続きが聞けるかも知れない……そう思った俺は、話してくれるのを期待して聞き耳をたてた。
- 連載中34 章
夜明けを何度でもきみと 〜整形外科醫の甘やかな情愛〜
菜胡(なこ)は、整形外科外來のナース。 ある日職場でもある整形外科外來室に見知らぬ男性がおり、追い払おうとした時、転びそうになって男性に助けられる。 お禮を言おうとしたら、抱きしめられて、いきなりの口づけが落ちてきた。 ファーストキスを奪われた上、この男性は新しく赴任してきた整形外科醫だと知って驚く。 初対面でいきなりキスをされたのに、その日から男性のことが気になり始めて……。 過去の戀愛に良い思い出のない二人が、最悪の出會いを果たした。運命の糸が緩やかに絡んでいく。
8 166 - 連載中24 章
あれ、なんで俺こんなに女子から見られるの?
普通に高校生活をおくるはずだった男子高校生が・・・
8 112 - 連載中101 章
みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです
「何? なんか言いたそうな顔してるけど。」 「んー?? そう見えるのはアンタが何か言って欲しいからじゃないのか?」 「…………はあ?」 時にはぶつかる事もある。ちょっぴり甘酸っぱい、全速全力バスケ部ラブコメ!! ※なるべくルールが分からなくても楽しめるように工夫していきます ※バスケシーンが読みたいんだよ! って方は2章から読まれることをお勧めします
8 76 - 連載中14 章
血が繋がってないからあなたに戀してもいいよね
頑張ってみましたが変だと思います そんなでも見てくれたら嬉しいです
8 67 - 連載中50 章
ニート16歳の俺が、戀愛なんて間違っている
久々に、學校に行ったらクラスメイトから「おまえいたっけ?」といわれたけど久々だから仕方ないと思いつつ內心傷ついているのに誰も気が付いてくれなっかったけど、「やっほう、お久―」といわれて、(付き合いてぇぇえええ!!!)と思い俺は、、、、、
8 66 - 連載中10 章
メイドの鈴木さんは僕に戀をした
主人をとても愛してるメイドは存在するのだろうか? 主人公はとある金融グループの子供だが少し変わった生活を送っている。 それはメイドが主人である主人公のことを愛してやまないのである。主人公は少しずつ慣れようとはしているがメイドの行ってくる行為が余りにも刺激が強いため焦りを隠せずメイドに対して冷靜にしつつも心の中ではハラハラドキドキしている。 主人公とメイドは両思いのはずなのに空振りまくりのお話。 これはメイドと主人のラブコメ小説。
8 154